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偽りの正義による支配

 世界は一度、破壊されなければならない。

 一度破壊してそれからどうする? 前とは違う何を作る?

 簡単なことだ。

 愛ではなく憎しみを中心に世界を建設し直すのだ。


 従来の世界には、わずかにも正義がなかった。

 なぜならば、偽りの正義が支配していたからである。


 偽りの正義はつまり、倫理的矛盾を真剣には憎んでいない。

 他者に対する許しを基盤にした世界だった。

 許しとはつまり、愛情が肯定され、憎悪は否定される。

 イジメられっ子の馴れ合いみたいな世界ですべてウヤムヤ。

 だから実際には陰湿なイジメがはびこった。


 つまり人類にとって不幸だったのは、西洋キリスト教世界で近代化と産業革命が起きたことだった。

 だから、愛の哲学であるキリスト教が世界の基盤になった。

 家畜を食べていた彼らの感性は個人主義に閉じていた。ゆえに愛とは自己愛であり、他者を侵害しないこと、つまり自由主義が倫理となった。

 利己的な自分自身への許し、そしてそれが侵害されることに対する暴力性への無制限の正当化。それらはマネーとなって世界を覆った。

 キリスト教道徳は奴隷道徳だとニーチェが言ったそのとおりだ。


 必要なのは、戦士の哲学だ。

 すなわち、戦って死ぬ覚悟である。

 それがあって初めて、倫理的矛盾を本当に憎むことができる。

 倫理的矛盾を真剣に憎むことこそが弱者への不正義への憎悪であり、それこそが弱者への愛情と裏表だ。

 すなわち、自己愛を中心にした西洋キリスト教哲学には、本物の愛情は存在しない。憎しみを悪徳に数える以上は、それが不可能だからである。

 西洋哲学は、小市民的で柔弱であったから、倫理的な懲罰には常に甘さが残り、商人的な打算が優先されて、結局は、マネーの哲学が世界を覆った。

 人類は拝金主義者、つまりゴキブリだけになった。

 後進国の中の最下級の貧乏人達までである。異常な事態だ。

 よって、世界秩序は一新されなければならない。

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