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[2]物語は朽ち紡がれる

コンッコンッ。

 誰かがハルト達の部屋をノックした。

「ユーリさんかな。どうぞ!」

「お待たせ、諸君。」

「待ってました!」

「で、何から話しましょうか。」

「全部!」

「全部って、ハルト、分かりにくいよ。」

「そうね…じゃ順に話していきましょう。」

「お願いします。」

「サーヴノア王国は今から約150年前に誕生したわ。その時にはカルヴァトーリは存在しなかった。だけど国ができてから120年くらいたった今から450年くらい前カルヴァトーリは突然現れ、長らく続いた国の平和は乱れてしまった」

「突然現れた?カルヴァトーリはどこから来たのだろう?」

「…さあどこからでしょうね。」

「異世界だったら面白いのにな。」

「ふふっ。そうね。そして彼らは私達へ攻撃を始めたわ。」

「どうして?」

「わからないわ。そしてNA126年彼らはサーヴノアへの侵攻を行った。」


NA(エヌ・エー)…国で用いられている元号のようなもの。


「偉大なる王、香ラビット・ラ・リーム様、彼らが我が国に攻撃をし始めました。」

「なぬ?それは真か。」

「はい。リゼラ北部カミィの街、西部タルテスの村より攻めてきており、上空部隊も確認しています。」

「やつらめ。国民を避難させ、王政軍の全力を持って、彼らを倒せ!」

「了解です。」

 戦い始まったばかりの時は誰もカルヴァトーリの恐ろしさを知らなかった。 

「我々はカルヴァトーリ。魔の力を持ってお前らを殺す。」

「ふざけたことを言いおって。やれ!」

 その攻撃をひらりとかわし、続ける。

「我らが軍団ヴァルトレアのもとにひれ伏すのだ。」

「ヴァルトレア…サーヴ神話第1篇に登場する始まりの神の名。」

「お前らに神の名を名乗る資格なんてねぇよ!」

 何発もの銃が撃たれた。

「どうだ!我が王政軍の射撃は世界で一番だ。」

「ふっ。全く痛くも痒くもない。」

「なん…だと。」

「死んでねぇ。」

「あいにく体がちょっと丈夫でね。」

「撃て!撃ちまくれ!ここを通すわけにはいかん。」


「彼らはじきに負けるでしょう。」

「そうでしょうね。そのときは…」

 ガチャッ。

 急にドアが開き、軍人が入ってきた。

「どうしました?」

「奴ら、カルヴァトーリは不死身のようです…!」

「なんと。」

「撃っても切っても全然効いてないです。」

「恐ろしい。不死とは。」

「どうすれば良いというのだ。」

「そ、それは…」

 突然爆発音がした。

「何事だ!」

「おい、どうした!…なに?…現場からの連絡によると、奴らが火を出したとかなんとか。」

「そんな馬鹿な。」

「カルヴァトーリは魔術師なのだろうか。」

「このままではまずいことになる。」



「手も足も出なかったってこと?」

「そうね。当初は武器だって無かったわけだし、彼らを甘く見てた、てのもあるでしょうね。」

「それで、その後国はどうなったの?」

「カルヴァトーリにやられてばかりでリゼラの町の4分の1が破壊され、数百名の軍人が死亡したわ。」

「そんなにたくさん…」

「大変だったようね。最終的に王政軍はヴァルトレアと交渉をしたの。」



「このままでは我らの敗北は確実。」

「しかし、このまま負けを認めたところで、奴らは王都を、いや国そのものをすべて破壊してしまうだけだろう。」

「どうすれば、奴らの攻撃を止めさせることができる…」

「交渉するしかない。」

「あんな意味不明な奴らと、どう交渉するっていうんですか。」

「とにかくやってみるしかない。」

「そうですが……」

「敵の大将と話したい。現場に繋いでくれ。」

「……了解です。」


「ハールマン大将!」

「はっ。なんでしょうか。」

「カラビット王が奴らと交渉したいそうです。」

「何!屈せよと!?」

「はい。」

「しかたあるまい。っくそ!負けなんて。おいっお前。」

「お前、とは失礼な。」

「大将だってな。我が王が交渉したいそうだ。」

「そうか。それは面白い。」


「カラビット王、繋がりました。」

「ふむ。ヴァルトレアのものよ、答えよ。我が名はカラビット・ラ・リーム。サーヴノアの王である。」

『やあ、王様。俺はティビティ・アークビート。今回の大将さ。』

「お前たちの軍を撤退させて欲しい。」

『嫌だね。僕らは破壊を命じられているさ。負けを認めるなら壊していくさ。』

「やはり無理そうですね。」

「……しかたあるまい。我が軍はいくらかの武器を放棄する。そしてマーフェスの一部をお前たちに渡す。」

『うーん、どうだろ。ちょっと待っててくれます?』


『このように言ってますがどうしますか?』

「そうだな……。マーフェスの開放か。思い切ったことを。」

「もちろん答えはNO、だろ?全部壊しちまえば全て俺らのもんさ。」

「いいや。受け入れよう。」

「なんで!マスター?」

『そうですよ。今がチャンスなんですよ。』

「面白くない。もっと壁があってこその戦いだ。それに我が家族の恨みはこんなものではない。彼らにもっと痛みを!」

『なるほど。マスターの考えを理解した。』

「ちぇっ。しかたねぇ。待ってやるよ破壊を。」

「ティビティ!受け入れると伝えよ。」

『了解した。』

「なぁに破壊はいつでもできる。」


『マスターの命令において、今回は引き下がる。交渉成立さ。だが忘れるな。決して終わりではないと。』

「何とかなりましたね。」

「ああ。だがしかし、問題は増えてしまった。」

「街の修復、戦闘員の補充ももちろんのこと、対抗する術を探さねばなりませんね。」

「ああ。カルヴァトーリ、奴らが何者であるか、全力を持って調べよ!」

「はっ。」

("マスターの命令において"か。つまり今回来た奴らはヴァルトレアの一部にすぎないということか。恐ろしい。これ以上の強さを持つものがいるということか。)

「我々も軍を作らねば。」

「はい?ええと、それは……。」

「対抗するために。もっと強く大きな組織を作らねば。」

「いい策です。」

「王政軍を集めて会議だ。早急に手配せよ。」

「了解しました。」

(もう2度と彼らの刃で国が傷つかぬように。)



「ヴァルトレアはどうして引き下がったのかしら?」

「彼らは元よりリノー砂漠の奥にあるマーフェス古城周辺に基地を置いていたの。そこはもう放置された場所だったからよかったものの、その周辺には他国からの攻撃を防ぐ為に軍隊がいて、容易に基地を広げることができなかったの。」

「だから条件を受け入れたのか。」

「でもどうして王様は彼らに開放してしまったの?」

「確かにそうだ。危険が増えるだけだ。」

「さあね。私は王様じゃないから分からないを。そうでもしないと引き下がってはくれないと思ったのでしょう。カラビット王は国を国民をとても愛していたそうですから、それらが傷つくよりはと考えたのでしょう。」

「どうしてなのかなぁ。破壊したら終わるって気付かなかったんだろうか。馬鹿なのかな?結果的にはそれが良かったんだろうけどさ。」

(こいつらは"どうして"マシーンだな…私を誰だと思っているんだ。全て知っていて、全て話せるわけじゃない。まったく困っちゃうわ。)

「ドキドキするね。」

「ああ。このあとどうなるのか。」

「早く続きをお願いします!」

「お願いします。」

「ええ。分かってるわ。」

(ああ、今すぐにでも帰りたい、疲れたわ。若いもんはいいわね、元気で。今ばかりは見飽きたあいつの所に行きたい気分だわ。)

「それじゃあ次は、オラシオンができるまでの話をしましょうか。」


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