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[18]無限迷路の光

「不気味なところだね。」

「ああ。」

「中にいるのは雑魚ばかりだな。」

「なんだなんだぁ?」

「!」

「侵入者?へぇやるねぇ。」

「親玉はどこにいる?」

「教えるものか。」

「そうか。」

 目にもとまらぬ速さで敵を倒した。

「すげぇ……。」

「足手まといにはなるなよ。」

「っはい!」

「だが困った。迷路のようだ。」

「どこに行けばいいんでしょうか?」

「地下って言っていたぞ。」

「だけど階段らしきものはねぇ。」

「ううむ……。」

 ジジッ。

 何かの音がした。

「なんだ?」

『勇気ある若者よ。』

「誰だ?」

『光を辿ってこい。』

「?」

 そう言うと音声は切れた。

「光?」

「もしかしてこれですか?」

 道の脇に光るランプのようなものがあった。

「なるほど。」

「けど向こうに見えるのは青だぜ?」

「行ってみよう。」

 光の見える方に進んだ。

「色の違いはなんだ?」

「ジンさん!」

「どうした?」

「あっち!左!緑です。」

「緑を行け、ということか?」

 緑色の光を辿ってかなり歩いた。

「どこに向かっているんでしょうか?」

「さあな。」

「!」

 闇の中に突如扉が現れた。

「開けてみるか。」

 その扉を開けると、

「ようこそ。君らが第一号だ。」

「!」

 年老いた人物がひとりいた。

「お前がマスターか?」

「そうとも。」

「さっきの声の人だ。」

「仕掛けは楽しんでもらえたかな?」

「?」

「階段は1つもないが、緩やかに内部は下っている。光を辿れば誰でも来ることができる。」

「貴様を倒せば終わりだ!」

「いいや違う。」

「何!?」

「誰かがまたここに座るだけ。意志は受け継がれるのだ。」

「ちっ黙れ。」

 先ほどのように攻撃するも、

「まだまだだな。」

「!」

「君らはまだ数十年しか生きていない。私には勝てんよ。」

(逃げるのを追えなかった。くそっ。)

「仇討ちに燃える瞳……良いことだ。」

「中坊!連携していくぞ。」

「はい!」

(これがボス。震えるな。)

「おりゃぁぁ!」

「力任せでは駄目だ。」

「う!」

 急に目の前に現れ、剣を素手で止める。

「人はせっかく頭を持っているのだから。」

 その隙を狙うも、

「こざかしい。」

 瞬時に最初の場所へと戻る。

「久々だ。ゆっくりやろうじゃないか。」

「断る。早急に終わらせる。」


一方外では、

「くうう多いぜ敵が。」

「そうね。」

「すまないが、」

「!」

「護衛を頼む。」

「総帥!?」

「ジンたちが基地内に入った。私も行く。」

「ですが…。」

「頼んだぞ。」

「……分かりました。」

「基地へ向かうぞ。」


「セイラさんたちはいつも何をしていたんですか。」

「いつも?」

「待っている間ですよ。」

「そうね……普通に生活していたわ。訓練もあったけど。」

「ふつうに……。」

「いつもピリピリしていてもしょうがないじゃない。」

「………。」

「私達はこの時のために備えていたのよ。……はい!処置完了。」

「何だかすみません。」

「こんなに情がわくとは思ってなかったわ。」

「私も好きです。」

「え?」

「いつもまっすぐ私達のことを見てくれて、とても強くて……正体が誰であっても私の憧れです。」

「……ありがとう。」

 少し戸惑いながらもそう答えた。


「ははっ。口ほどにもないな。」

「っ強い!」

「マスターと言われるだけはある。」

「どうすれば?」

「私達は君らより賢いんだよ。」



「ルークさん。」

「どうだ?」

「排水設備はほぼ整ったかと。」

「そうか。」

「そういえば、これを。」

「果実?」

「採れたてだそうです。事業は上手くいっていますね。」

「ああ。自然の中に生きる、この信念は大切にしていかなくては。」

「続いてこちらの計画なのですが……。」

 国の一部に追いやられても、砂漠の中でも、豊かな街を作り上げていた。

「また国のものが……。」

「はぁ。」

 しかしよいことばかりではなく、

「砂嵐だ!」

 環境は時に荒れ、

「伝染病だ!」

 人は死ぬ。

「強く生きていかねば……。」

「はい。復興を急ぎましょう。」

「まずは食糧増産計画だな。」

「はい。」



「整わない寂しくも美しい場所で生きた我らは君たちより知恵がある。」

「くぅ……。」

「我々は光を失った!貴様らのせいで!」

「俺には関係ない!」

「なんだって?」

「お前らのことを聞いて……かわいそうだとは思ったけど、俺たちには関係ないことだ。」

「ふむ。」

「研究者を殺した時点で復讐は終わりだろ。」

「国を滅ばすまでは終わらない。」

「どうして!」

「もう一度創るのだ。美しい自然の国を。」

「……。」

「もう攻撃は終わりか?」

「おい!俺らを忘れるなよ!」

 3人が同時に攻撃を仕掛けるも、

「ふん!」

 バリアのようなもので防がれてしまった。

「ちょっと静かにさせないとな。」

「っ避けろ!」

「ぐぁぁ。」

 考える暇もなく攻撃がくる。

「ちくしょう!速すぎる!」

「打つ手なしか?」


「ユーリ。」

「!」

「どうした?」

「総帥……私はもう戦う気はありません。……過ごした時間が長すぎたのかもしれません。戦いにくいったらありゃしない。」

「そうか。」

「ジンたちは中に入りましたよ。」

「知っている。」

「そうですか。中に入ったら緑の光の方に進んでください。地下の扉にマスターはいます。」

「いいのか?」

「本当はここで戦うべきなんでしょうけど、たぶん負けちゃうので。同じですよ。それに私は……この期に及んで迷っているんです。覚悟は決めたつもりだったのに。」

「そうか。」

「私には決められないので、皆さんに託します。」

 うつむきながら答えた。

「ゆっくり話をしたいところだが、行くぞ。」

「はい。」

「……君のしたことは許されない。だが、殺すには惜しい存在だ。」

「………。」

「ぜひ今度君の思い出話でも聞かせてくれ。」

「はい。」

 いつになく優しく答えた。

「そんな風に笑うんですね。」

「え?」

「いつもぎこちない感じがしていたから。」

「そう。」

「今の方が好きです。」

「そう…ありがとう。」


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