表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高嶺の花なんかじゃないんだからねっ!  作者: 日々一陽
第2章 おっぱいスキャンダル
12/66

第2章 第1話

 第2章 おっぱいスキャンダル



 月曜日、予鈴5分前になっても、さくらさんは来なかった。

 いつもは早くから静かに本を読んでいるのに……


「おい赤月、お前うらやまけしからんぞ。なんだあのハーレム状態は! 二畳院さんと一緒ってだけでも許せないのに、もみじちゃんまでバイトに雇っちゃって」

「いや、僕の嫁は魔法少女の彩華ちゃん(はあとまーく)だけだから」

「またまた~、そう言ってごまかす~ もう騙されないぞ。開店前とか閉店後とか、赤月のハーレムじゃん!」

「きららばあさんもいるだろ」

「ああ、あの愛嬌あいきょうある婆さんね。お前ストライクゾーン広すぎね?」


 隣の席から岩本がウザイ。

 親友の岩本は昨日も来てくれた。一昨日は卓球部の連中と一緒だったが、昨日はひとりで。まあホントはチョットだけ僕を心配してくれてるみたいだけど。


「なあなあ、赤月は誰が好みだ? やっぱきららさん?」

「んなわけねえだろっ!」

「じゃあさ、二畳院さんともみじちゃん、あまった方俺にくれ」

「バカ言うなよ、僕らが相手にされるわけないだろ!」

「ま、そりゃそうだけどさ。でも、ちょっとした気まぐれとか、ちょっとした目の錯覚とか、ちょっとしたハプニングとか……」

「うるせえな、そろそろ先生来るぞ」

「ちょっとしたおっぱいぽろりとか……」



 ガラガラガラ……


「じゃあ、朝のホームルームを始めるぞ~ 日直は岩本だな~」


 瞬間、岩本は急に姿勢を正し一呼吸。



 起立! 着席! 礼!



「お前ら~、座って礼するな~!」



 起立! 礼! 着席!



「えっと、まずだな~、今日は二畳院が家の情事~、とかで遅くなるそうだ~」

「せんせ~、家の情事、って何ですか~? 家族ぐるみで情事ですか~?」

「すまんすまん間違えた~。家の事情だ~。それから~ 今日は雨だから二時限目の体育は~……」


 えっ?

 家の事情?


 彼女のお父さんは行方知れず、お母さんは実家に帰ってると言ってたけど。その家の事情ってどういうこと? お父さんが見つかったとか、お母さんに何かあったとか? ともあれ、悪い話でなければいいけど……


「なあ赤月、二畳院さんどうかしたのか?」

「いや、僕も知らない……」


 結局、彼女が登校したのは4時限目が始まる直前だった。

 昼休みになると自分の席で弁当箱を広げる彼女。僕が売店でコロッケパンとメロンパンを買って戻ったときには、彼女の周りにはたくさんの人だかりが出来ていた。


「ねえねえ、あの店の制服って、まるでメイド服ね」

「ええ、元々メイド喫茶の制服だから」


 店に来てくれた女子どもが彼女に話しかける。

 いかにも典型的な愛想笑いを浮かべる彼女は、しかしどこか元気がなさそうに見えて。


 家の事情って何だったのだろうか……

 彼女の周りからは友達が引きも切らず、時折僕に視線をくれるけれど、目があった瞬間にサッと逸らされるし……

 そんなこんなで彼女と話す機会もないまま放課後のベルを聞いた。


「じゃあな赤月、俺、部活行くわ」

「ああ、また明日な……」


 さくらさんは鞄を手にまたクラスメイトと何やらお取り込み中。

 なかなか話ができないな……


 と、ん?


 スマホのSNSに連絡が入る。

 ポケットから取り出し目をやると…………




 【紅葉ちゃん】

 もみじだよ。今日これからデートしましょ!

 お店の前で待ってるねっ!




 何なんだ、これは。

 いきなりこれからとか、どう言うことだ?

 僕は(そんなの急すぎ)と返信するけど。




 【紅葉ちゃん】

 チョットくらいなら待てるから、大丈夫(はあと)!




 聞く耳持たねえな、あいつ……

 (待っても無駄だぞ、部活あるし……)で送信、っと。




【紅葉ちゃん】

 昨日、部活してないって言ったのに。嘘つきいいいいい!

 何時いつまでも待ってやるうううううう!




 (あの女)は憎いけど、彼女はなんだか憎めないんだよな。

 仕方ない、帰るとしようか……

 って。


 そんなことをしている間に、教室からさくらさんは消えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご意見、つっこみ、暖かいお言葉など、何でもお気軽に!
【小説家になろう勝手にランキング】←投票ボタン
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ