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徒然、気儘に

4、信用と信頼

作者: 桜月雪兎

信用と信頼は一文字違うだけなのに大きく意味合いが違うようだ。

私は人を信用しても信頼はしない。

信頼することはすごく難しいことだと私は思う。

最近よく話すようになったこの人も信用はしても信頼はしないだろう。

私の中にある『人』というものはよくない。

この人はそれを知ったうえで私のそばにいる。

正直、変り者だと思う。

それでもこの人は誰にでも好かれる。

実際、信頼されていると思う。

私にはよくわからない。

人はなぜ人を信頼できるのだろうか。

信じ頼ることは恐ろしいことだ。

そう思う私のほうがおかしいだろうか。


「ん?どうかしたか?」

「いや、君はよく人に頼られるなと思ってな」

「そうか?そうならいいな」

「なんでそう思う」

「人はさ、一人では生きていけれないんだよ」

「知っている」

「頼るってことはさ、人を信じるってことだからさ。信じてもらえるのが嬉しいかな」


この人は何を言っているんだ。

信じて任せること『信用』することも信じているからできることだろう。

『信じて任せること』と『信じて頼ること』の違いはそんなに大きなものなのだろうか。


「わからないって顔してるな」

「事実わからない」

「信用と信頼、どっちも信じてるからできることだろうけどさ。頼るってことは本当にすっごく信じてるからできるんだと思う。信用していても最終的には自分で確認したりするだろう」

「ああ」

「信頼はすっごく信じてるから確認しなかったりするんだと自分は思うよ。まぁ、しっかりと自分でも確認しないといけないんだけど。でもそう思うとしっかりとやらないとって思うんだ」


私は驚いた。

信頼することがそこまで人を信じることだとは思わなかった。

この人自身の持論なのはわかっているがそうだとしてもすごいとしか思えない。

そこまで信じることができることが。


「君もさ、いつかできるよ」

「は?」

「君はまだ知らないだけだよ。人がどんなに優しくて暖かくて……残酷なのかをね」


どうやらこの人が見ている『人』は私が見てきた『人』と違うようだ。

それでもなお『人』を信じれるこの人がすごいと思った。

この人なら信じれるのかもしれない。

この人が思うような『信頼』ができるかもしれない。

それはどんなものだろうか。

正直興味が引かれた。

でもすぐには難しいからこのまま一緒に過ごしてみよう。

そこからわかるのかもしれない。

この、時に意地の悪い笑みを浮かべるこの人のことも。



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