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……『ぐ』

 



 合コン後の帰り道。電灯に照らされた暗がりの中を歩く。

 電車を挟んだ道に架かる歩道橋に、足を踏み入れ、ふと半ばで止まる。

 橋の下。言うなれば俺の足の下を、ドコぞの誰かを乗せてるだろう、四角い箱の連結列が流れ去る。まるで左右に光りながらのたうち回って走り消えて行く、巨大な蛇のようだと思った。

 さすがにこんな感傷っぽい、抽象的な物言いを考えるコトに気付くと、希代美を馬鹿に出来ないなぁ、なんて。

「……俺もまだまだ子供(ガキ)だなぁ」

 溜め息一つ。

 その証拠に、今日の合コンでは俺は特に盛り上げもせず、彼女作りに躍起になっている友達を尻目に一人黙々と飲み食いしていた。

 いろんな可愛い()はたくさん、いた。

 だけども俺にその気は起きずましてや、今日言い寄ってきたなかなか美人の(どちらかと言うと多分世間で言う『セレブ系』とか言う感じの)オンナノコをそこそこ放ったらかしにして、やはり飲み食いしていた。

 相槌くらいはしていた。でもそれだけだ。

 ……。思うに、きっと明日明後日には友人のそこかしこでカップルが出来上がっているだろう。


 ……まぁ、別に彼女が欲しい訳ではないのでどうでも良いが。

 ただ、少ーし、悔しかっただけだ。


 希代美と“同類”かと、思ったから。


「……やっぱまだまだ子供(ガキ)だわな、俺も」

 こんなくだらないコトで悔しがる、そんなのはコドモで有る以外有り得ない。

「あー……」

 そっちのが情けない、か。

 確かに。

「……早よ、家帰ろ」

 欠伸一噛み。もう今日は眠い。今夜は遅い。止めたままだった足を押し出して帰路に着く。

「あー、そうだ」

 久し振りに、希代美の家へ遊びに行こうか。

[アイツ]もいるだろうし。

「……」




“一人の女性を待ち焦がれる”、と言うのはどんな気分だろう?

 随分長い、永い時間をそうしていると、言っていた[アイツ]。



 どんな、気持ちだろう。


「ま、俺はガキだから」

 ───考えたって、埒はあかない。


 明日は学校。けどサボり。

 今、決定。

 明日は、希代美の家直行。これ絶対。

 明日は“子供”の集まりだ。



 ……まぁ、いいじゃん。


《世界》は、[コドモ]にやさしい。







“愚者に幸有れ”。




【Then,what next?】

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