☆を探せ!
父は、いつも星を探していた。
ユウヤは、ちょっとロマンチストな父をちょっとこそばゆく、しかし誇らしく思っていた。
今日も、父は望遠鏡を覗いている。部屋の中は真っ暗だ。星を見る時の鉄則なのだと、父は微笑んだ。しかし、子供には退屈な時間。ユウヤは幼稚園で習った折り紙で暇を潰していた。
「パパ、まだ星見えないの?」
眠たくなってきたユウヤは、目を擦りながら尋ねた。父は望遠鏡を覗きながら曖昧に頷く。
「もう少し、もう少しなんだよ」
確に、今日はあまり天気がよくなかった。星は天気がよくないと見えないことくらい、ユウヤにもわかっている。夕方、父とコンビニに行った時も曇り空だったから。
「キタ!」
父はそう叫ぶと、ユウヤに「部屋から出るな」と言い残して出ていった。いつもそう。星が見える頃、ユウヤは部屋においてけぼりだ。面白くない。眠いや。寝よう。
ユウヤはころん、と横になり、すやすや眠った。
その部屋の下、道ではパトカーのサイレンが響いていた。
「先輩、本当に、検挙率高いですよね」
「子連れだと、張り込みも全然怪しまれないからな。オマエも早く結婚しろ」
ユウヤの父は、誇らしげに笑った。
了