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親友なんてありえない 【ダッシュ】

「なんてな、軽いロシアンジョークだから――」


「うん、わかった!」


「――気にすん……な……?」


 しんみりとした雰囲気をぶち壊すべくはなった俺の小粋な冗談に、アキラは目元をごしごしこすった後、立ち上がっておもむろにスカートを手で掴んで持ち上げ……。

 満面の笑顔でパンツを見せてくれた。

 下着。ショーツ。パンツ。パンティ。パンテスト。

 細すぎず太すぎずで触り心地の良さそうな太腿の更に上。

 ピンク色で小さくて三角でシンプルな布切れが俺の目の前に。

 当のアキラはニコニコしながらパンツ見せてるし。見せまくりだし。俺の目の前50センチって距離だし。

 女の下着ってなんでこんなに小さいかな、食い込んだりすんの気になんねえのかな……ってうぉい!!



「ちょっと待てアキラぁ!!」


「え……?」


「お前なにやってんだ!?」


「なにって……パンツ見せているんだけど」


 なんでコイツはこんなに平然としてるんだ。目を逸らしたくても逸らせねえ……このまま見つめてたら中身透けて見えねえかな、って違う!



「お前……お前は……その……なんだ……」


 やべえ、上手く言葉が出てこねえ。

 俺がどもっているのを見て、アキラは少しだけ考えこんだ後、くるりと背中を向けた。



「わかった! 後ろからが見たかったんだな!?」


 おお……アキラはお尻もキュッとしててツンッと持ち上がってて、とてもとても良いヒップだなありがてぇ……ってうぉぉぉい!!



「違う! いいから隠せ! なんでそんな簡単にパンツを見せるんだ!?」


「なんでって……コーイチが見せろって言ったから。ほら、昔よくパンツ見せてって女の子に言っては殴られてたじゃない?」


 そうだな、比率的には半分は殴ってきて、残りの半分は先生にチクってたな……。



「でもオレは殴らないから安心していいよ? 久しぶりに会った親友のお願いだし、パンツ程度ならいくらでも……」


「そ、そうか……」


 なるほど、非常にありがたいし良い物を見せてもらったが複雑な気分だ。

 つーかコイツ何時までパンツ見せてんだ。

 こんな光景、万が一にでも他人に見られたら、人生が終わる気がする。

 しかも俺だけ。



「気持ちはうれしいが、とにかくパンツは隠せ。高校生にもなって本気でパンツを見たいとは思ってない」


「ん、そうなのか」


 高校生だからこそ、パンツとその中身は見たいけどな。

 しかし気持ち残念そうに見えるのは気のせいか? しぶしぶ、といった感じで手を離し、やっとパンツを隠してくれた。 



「俺も大人になったからな、パンツはもう卒業だ」


「ふんふん」


 本当は卒業してないけどな。むしろ俺のパンツはこれからだ、って所だが。

 それにしても小首を傾げながら頷くアキラはめっちゃ可愛いな。

 スカートの前で手を組んでいるから、ブレザー越しでもはっきり分かるくらい胸の膨らみが強調されてるし。

 うーん、巨乳だなアキラ。



「パンツよりも、よかったらオッパイを揉ませてくれ」


 俺はいったい何を言ってるんだろうな。

 


「うん、わかった!」


 そうかわかってくれたか……ってなにぃ!?

 プチプチとブレザーのボタンを外して、裾を手で持って広げ、胸を突き出してくるアキラ。

 Yシャツ越しだと更にはっきりと大きさが分かるな。なんというか……ロケット?

 重力に逆らっております。アキラのおっぱいはニュータイプなのか!?

 二重の意味で、にゅ~タイプだな。バーカ! 俺のバーカ!

 それにしても、だ。

 膝立ちになって近寄ってくるから、ドアップだ。大迫力だ。素晴らしいボリュームだ。おまけにブラジャー的な物が透けて見える。

 んでもって、先端にちょっとポチっとしたものが……もうちょい……じゃねえ! 止めろよ俺!



「ちょっと待てアキラぁ!!」


「え……?」


「え、じゃない! さっきからお前はなんなんだ!!」


「なんなんだって……その、おっぱい触らせようかと」


 そうか触っていいのか。じゃ遠慮無く……違う!



「そんなに簡単に触らせていいのか!? おっぱいだぞ!?」


「ん、別に構わないけど。こんなの飾りみたいな物だし」


「何言ってるんだ、それはかなり重要な物だぞ」


 ガソタヌで言う所の、タヌ耳アンテナか木の葉ライフルくらい重要だ。断じて飾りではない、脚とは違うのだよ脚とは! 脚も良い物だけどな。



「あ、でもあまり強く触られると痛いから。えっと、揉むなら優しくして欲しい」


 ………………。

 危ねえ、理性が飛ぶ所だった。

 コイツはさっきから本当にサービス満点と言うか無防備と言うか挑発してるのかと言うか……。



「もっと自分を大事にしろ! パンツだのおっぱいだの男の前で……お前はあれか、ビッチなのか!?」


「ビッチって言うな!!」


 うお、アキラがすっげー怒った。なにかビッチって単語でイヤな思いでもしたんだろうか。



「……オレだって普段はこんな事しないぞ? コーイチのお願いだからやってるんじゃないか」


「俺のお願いだから?」


「そうだ! その……やっと会えたんだし」


 ほんのりと頬を染めて、はにかむアキラ。

 やばいくらい可愛いなコイツ。

 昔から可愛いヤツだったけど、ガチで女になった今の破壊力はマジでやばい。

 思わず呆けてしまい、まるでバカのように見つめていると、アキラは更に照れながら--



「とにかく! オレに出来る事なら何でもするぞ? コーイチの為だったら!」


 これはもしかしたら……。

 アキラは俺に惚れてるのか?

 いやいや待て、これは孔明の罠かもしれない。


 でも罠じゃないかもしれない。

 門はだだ開きで伏兵らしきものも見当たらないぞ、無条件降伏じゃないかこれは。

 愛の無条件降伏。


 ……念の為確認してみっか。



「あのな……アキラ、俺の事好きか?」


「うん! 大好きだ!」


 即答だよ、おい。

 困ったな、いや全然困らないけど。

 寧ろ望む所だと言いたい。なんたって俺の初恋だしな。

 当時は男だった? かもしれないが、今は女だしノープログラムじゃないか。もーまんたいってヤツだな。

 ありがとうロリ神! ロリ神教ができたら俺は真っ先に入信するからな。

 割と不幸だった俺にも可愛くて勉強もできておっぱいの大きい彼女ができました。

 ビバ! ロリ神!!



「コーイチ? ずーっと黙っているけど、どうかしたの?」


 しかしアキラが彼女か。

 しかも何でも言う事をきいてくれると。

 これ夢オチじゃねえだろうな?



「おーい、大丈夫? いきなりホッペつねって」


 よし痛い、夢じゃないな。

 最終的に結婚するとしてだ。

 子供は3人以上欲しいな。



「むー……コーイチ?」


 子作りと言えばエッチだな。

 しかし俺達まだ学生だしな。

 ……でもBまでなら。



「返事してよー!」


 なんかガクガク揺れるな、夢見心地ってヤツか。

 僕の股間も夢見心地ですって下品だな俺。

 落ち着け、まずはAからだ。

 よしっ!



「あ、あ、あ、アキラ!!」


「あ、やっと動いた」


 なんでコイツはこんな不安そうな顔をしてるんだ?



「どうしたのかと思ったよ、さっきから返事もしなかったし。もしかしてまだ体調悪いとか?」


 そうか、ついついアキラとの明るい家族計画を立てるのに夢中になってたからな。



「すまんすまん、ちょっと考え事をしててな。そ、それよりも!」


「んー?」


「お願いがあるのだが……」


「おう! なんでもきくぞ!」


 子作り的な行為を……じゃねえ、まずはAからだ。



「あのな……キ、キスをしてくれないか?」


「え、ヤダよ」


 即答だよ、おい。

 困ったな、いや本当に困った。

 ……つーかどういう事だ、おい!



「何故だあ!!!!」


「なぜって……そういうのは恋人とかとする事だろ?」


 うむ、彼女とか恋人とかとする物だな。

 アキラは俺の彼女で恋人じゃないのか!?



「じゃあキスを……」


「だから、そういう事は彼女としてよ。オレ達は友達だろ?」


 ちくしょう孔明出てこいよ、めちゃくちゃ罠じゃねえか。

 つーか友達はパンツなんか見せねえし、おっぱいも揉ませねえよ。


 ああ……。

 そっか……友達か…………。

 そういう事か…………………………。



「アキラー」


「んー?」


「お前、俺の事好きかー?」


「うん、大好きだぞ!」


「友達だもんなー?」


「うん!」


 ロリ神爆発しろ、中途半端に女にしやがって。

 ロリ神の仕業って決まった訳じゃねえけど、誰か恨まねえとやってられねー。

 とりあえずロリ神教が出来たら、速攻で内部崩壊させてパンツ教に変えてやる。教主は俺。


 はー……。

 ちくしょう、期待させやがって……。



「どうしたの? いきなり暗くなって……」


 心配そうな顔で覗きこんでくるアキラ。

 それは、昔、俺がバカをやって困らせた時の顔だ。

 そうか。

 俺はコイツの親友だったな。



 それもそれで--悪くはないか。



 アキラが不安そうだ、安心させよう。



「いや、大丈夫だ」


「……本当に?」


「うむ。ちょっと右手がうずいてな、鎮まれ! 的な意味で」


「大丈夫? おっぱい触る?」


 だから何でそんなにサービス精神旺盛なんだよ。

 おっぱいの代わりに頭を撫でてみた、ちょっと強めにぐしぐしと。

 子供じゃないんだから止めろーとか騒いでる。



「いやー、お前は子供っぽいと思うぞ? すぐ泣くし」


「むー……コーイチはバカのくせに」


「はは」



 確かに俺はバカだけどな。

 しかしアキラが子供っぽいってのは本当だ。

 もしかしたら、いきなり俺が消えたせいで、アイツの時間は止まってたのかもしれんなあ。



「まあ、おっぱいは今度じっくり触らせてくれ、それより結構な時間だぜ?」


「あ、ホントだ」


 それならそれで、もう一度進ませてやればいいか。



「プリントやる時間ねえな、ただでさえ出席日数やべえのに」


「じゃあオレがすぐ終わらせるから、それを見せる!」


 その上で、だ……。



「パンツ見せてくれるのか?」


「プリントだよ、もう。やっぱりパンツ見たいの?」


 アキラを彼女にしてみせる!



「それも今度じっくりな」


 しばらくは旧交を温めるか。

 3月に引っ越してきたなら遊ぶ場所も詳しくないだろうしな。

 そういやガソタヌの劇場版やってんだよな、誘って観に行くか。

 ゲーセンとかカラオケとかもいいな。


 でもってだ、何回も繰り返し遊ぶ内に、友情が愛情になったりする訳だ。

 やばいな俺、孔明のように策士だな。

 バカだバカだとアキラは言うけど、英語以外は何気にそれなりだしな。

 でなきゃ中学受験なんぞ受からん。



「コーイチ? 早く行こうよー」


 最終的に子供は5人だな。

 親御さんへの挨拶はどうすっか。

 アキラの親父さんは苦手だったな、遊びに行くと、何故かすっげーガンくれてきたし。



「うー……またコーイチが変に」


 お袋さんは大丈夫だったけどな、アキラに似て美人だったし、おやつだしてくれたし。

 つーかアキラ可愛いよアキラ。

 付き合うことになったら我慢できっかな……。

 学生のうちはBまでと言ったが、アキラがオッケーならC以降もやぶさかではない。



「え、なにがオッケーなの?」


 案外お願いすれば、もっと凄い事もさせてくれそうな気がするぞ。

 今現在でさえ、友達って扱いなのにアレだからな、パンツにおっぱいだからな。

 そう考えると何か楽しくなってきたぞ。

 色々とみなぎってきた、みなぎってきたぞ!

 ふはははははははははははははははははははははは!



「……どうしたのいきなり高笑いして」



 やべ、声に出てた。

 途中まで真面目にアキラの事を考え、シリアスな思考だったのに何でこうなる、どうしてこうなった。

 ………………。



 俺がバカだからだな、うん。

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