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全滅なんてありえない

短めです。

あと今回もセーフだとうれしいです。


当方に土下座と差し替えの準備あり!

「中々熟練度が上がらんなー、この敵回避率高すぎなんちゃう?」


「後衛が殴るな、とは言わにゃいけど、おまえちょっとは空気読めニャー」


「師匠ヒール下さい」


 あれから順調にレベルも上がり、聖騎士への転職クエストを終えたオレは今夜もクランの皆と遊んでいる訳で。

 なお師匠は、オレの教育に悪いとか、職業が聖騎士と戦士だけなのはベテランとしてどうなの? と皆に責め立てられ、現在僧侶になっている。

 僧侶だったMiikoさんは竜騎士に。槍が得意武器で、常時発動はできないが定期的にパートナーである竜を召喚できる前衛職業。かっこいい。



「クアドラストライクを覚えるまで、ワイは殴るのを止めない!」


「なんでオークを真正面から殴るニャ? カウンターで反撃されまくりニャ、後ろか横から殴れニャ」


「あんな背中から不意打ちするような職業の真似できるかばかたれぇ!!」


「師匠ヒール下さい」


 盗賊という職業もあって、後ろから攻撃すると大ダメージを与えたり、アイテムを盗めたりするらしいんだけど、師匠は盗賊も嫌いな模様。昔なにかあったんだろうな……。

 それはさておきヒットポイントが半分切っちゃったので、ヒールして欲しいな。聖騎士もヒールの魔法は使えるんだけど、連戦につぐ連戦でマジックポイントが無い。



「熟練度上がったあ! 139になったで! クアドラまであと21も上げなあかんのか……」


「おまえその数字はなめてるニャ? 武器だけ立派でも当たらなくては意味ないにゃよ? 百歩譲って殴るのは許すけど、せめて命中率アップアクセサリを付けろニャこの扇風機やろぅ!」


「なんやとこのクソネコ!!」


「師匠ヒール下さい」


 ちなみに高レベルモンスターは全般的に回避率が高く、装備で命中率を上げないとこちらの攻撃はあまり当たらない。師匠曰く「漢は攻撃力アップ装備や、気合で当てればいいんや!」との事。

 だが、熟練度も低く命中率アップ装備も付けていない師匠の攻撃は当然スカスカな訳で……。

 ところで師匠、ヒール下さい。



「Akiraくんが死にそうじゃぞ?」


「一身に敵の攻撃を受け喘ぐイケメンキャラ……中身は男子高校生……」


 なんか背筋がゾクッとした。あとすみません中身は女子高校生です、一応。



「おお、すまんすまん。グレーターヒールっと」


「ありがとうございます師匠!」


「うむ」


 危うく死ぬトコだったなー、ってまだオーク倒せてないけど。



「Akiraくん、こんなバカにお礼言う必要なんてないニャ。ごめんニャ、おねーさんが僧侶のままだったら良かったニャ」


「ここぞとばかりにおねーさんとか言うて女性アピールかい、このネカマネコ」


「にゃんだとこのやろぅ」


 チャキン! とお互いに武器を構える師匠とMiikoさん。

 このゲームは対人戦もできたりする。専用コマンドを入力して、相手がそれを受ければPlayer vs Player、通称デュエル開始。

 せめてオークを倒してからにして欲しい。



 Sakapon:「WARINIG! WARNING! ≪target≫ がボクのやおい穴を狙っています!」


 むむ?


 Sakapon:「WARNING! WARNING! ≪オークライダー≫ がボクのやおい穴を狙っています!」


 やおい穴ってなんだろう?



「……お前のmob発見報告マクロは最低やな」


 マクロとはショートカットキーにコマンドなどを登録しておくと、キー操作ひとつでそれが実行できる機能。複数の行動をまとめて登録できるので便利。師匠のセリフ付きスキル発動マクロはかっこよかったな。



「ぎにゃー! オークライダーが追加で来たニャ!」


 なんかオークがいっぱい来た。



「ばあさんや、ばあさんや、今逝くからの」


「時間をかけ過ぎましたね」


「師匠ヒール下さい」


 と思ったら師匠が真っ先に死んだ。師匠ー!

 どうやら戦闘が長引きすぎて周回しているオークがからんできたっぽい。

 オークがオークを呼んで10匹くらいいる。Ojiichanなんか既に拳を納め、念仏らしき物を唱えてるし。


 全滅しました。




「久々に全滅したなあ」


「すみませんでした師匠……」


「力なく横たわるAkiraくんも良かったよ」


「ばあさんすまんのう、生き返ってしもうた」


 このゲームは、死んでから制限時間内に蘇生魔法を受けられないと、復活ポイントに設定した町に戻らされる仕様になっている。

 蘇生魔法が使える僧侶の師匠が真っ先に死んでしまったので、全員泣く泣く戻ってきた訳で。



「……いっぺんリアルで会ってトコトン話しをしたいニャ。特におまえとおまえ!」


 仁王立ちして師匠とSakaponさんを指差すMiikoさん。



「なんやオフ会でもしたいんか?」


「そういう意味じゃないニャ! お前らに説教をしたいだけニャ! ……でもオフ会も悪くないにゃね」


 オフ会って知ってるぞ、ネットで知り合った人達がリアルで会う事だな。

 大抵は普通に会っておしゃべりしたり食事をしたりらしいけど、油断すると香港に売り飛ばされたり、食べられちゃったり? するらしい。

 師匠達ならそんな事は絶対無いから安心か。



「やるか? 来週からゴールデンウィークやし、お前らどうせヒマやろ?」


「失敬ニャ、でもうちはヒマ」


「Kaitoとはちょくちょく顔をあわせているけど、他の皆とは一度も会ってないしね」


「ワシは孫が来るかもしれないから微妙じゃのう」


 うーん、行ってみたいけど問題がいくつか。

 まずはオレがネナベ? な事。元男だけど今は女で使っているキャラは男なので自分でも混乱する。

 あとは場所と時間。あまり遠くだと当然行けないし、皆大人っぽいから夜に待ち合わせてお酒でも飲みながら、とかだったら無理。お酒は二十歳からだし。

 最後は……。


 なんか生理が来そう。

 ここ数日、また胸と下腹が張っているような感じがする。気分的にもなんかそわそわするし。

 初めてきた前回からほぼ一ヶ月経ったし。若い内は周期が安定しないとか母さんが言ってたけど、この感じは来ると思うんだよな……。

 半年くらい来なくても全然構わないのに。引きこもるつもりだったけど、ゴールデンウィークに直撃されると思うと、本当に鬱になる。

 うーん、師匠達には会ってみたいんだけどなあ。



「Akiraはどないする?」


「えっと……その…………」


 うー、行きたい。悩む……うーんうーん……。



「無理強いはせんので気楽にな、住んでる場所とかもあるしな。他の皆も一度メッセくれい、ワイがスケジュールとか場所とか決めたる」


「珍しくリーダーらしい発言ニャー」


「了解、リアルAkiraくんとは是非会ってみたいね」


「年寄りに遠出はつらいのう、でも了解じゃ」


 流石師匠だ、行けるかどうかわからないけどメッセージだけは送っておこうかな。



「場所はワイの地元で決定やけどな」


「なんにゃそれずるいニャ」


「ボクは近いし構わないけどね」


「送迎バスはないかのう?」


「ま、なるべく皆の希望は聞くで? メッセに書いといてくれ、日取りとか時間とか」


 ゴールデンウィークの後半ならアレも終わってるかな? 時間は……お昼の12時からとかダメかなあ? ところで師匠の地元ってドコなんだろ?



「んじゃ、今夜は解散して寝るかー」


「おー^^」


「あ、おまえは報告マクロの件で話があるからもうちょっと残れニャ」


「なんでデュエルを申し込んでくるのですか? WARNING! WARNING! ≪Miiko≫ がボクのやお――」


 そういえばやおい穴ってなんなんだろう?




 ーーーーーーーーーーーー



「ポスターが大好評なのですよ」


「ふんふん」


 女子サッカー盛り上がってるからかな。それとも流行のルコちゃん人気か。巫女さん衣装も凛々しくて良かったしなー。



「だけど昨日貼った分はもう無くなっちゃったのですよ」


「なんで?」


「盗まれたですよ」


 なんだろう、凄く気色悪い。あと泥棒はいくない!



「放課後にまた刷って貼るつもりですよ。でも、またすぐ盗まれちゃいそうですよ」


「……部員は女子しか募集しないんだよね?」


「はいですよ」


「じゃあ女子トイレとか更衣室とか、男子のこない場所に貼るとか」


 あまり深く考えたくないけど、盗んでいるのは恐らく男子だろうし。

 なんだか寒気がする。うー……。



「おお! さすがお姉様なのですよ!」


 マツリちゃん、声が大きいよ。ちなみに古典の授業中です。



「村野――」


「はい、立ってるですよ」


「……いや、27ページを読みなさい」


 今日はセーフだった模様。



 ーーーーーーーーーーーー




 お昼休み。

 屋上が混んでいたのと、いつにも増してジロジロと見られたので教室に戻ってきたのだけど……。



「木村が2枚もってやがったぞーーっ!」


「あの強欲野郎! オレでさえ3枚しか持ってないのに!」


「お前も死ねええええええ!!」


 なんか荒れていた。

 あと田中が逆さに吊るされていてちょっと怖い。

 なにがあったんだろう……。

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