ボクサーパンツなんてありえない
色々とやりすぎたかもしれません。
最初の方を読んでダメだと思ったら、ブラウザバックをお勧めします。
あと、7割書いた所で保存忘れて、消してしまいました。
自分爆発しろと……。
今日の服装。いもジャー。以上。
あぐらをかこうが、大股で歩こうが問題ない。パンツを気にする必要もなく、股下がすーすーしない。
素晴らしいなジャージ。この世の服が、全てジャージになればいいのに。
しかしながら、気分はあまりよろしくない。最悪と言ってもいい。体調もすぐれない。お腹は重たい感じだし、頭は熱でもあるかのように、ぼーっとしている。
生理なんてありえない。
その真っ最中だけど。
10日くらい前から、イライラしたり落ち込んだり、かと思えば意味もなく浮かれたりと、妙に落ち着かない状態になった。
言葉遣いを直せだの、もっと女らしく振舞えだのと、母さんがガミガミ言い出した時期とかぶるので、そのストレスのせいかな? と思った。
そして数日前、体調にも影響が出てきた。胸が張っているような感じで、少し痛い。強く触ると何か出そうな気がして、怖くなった。
お腹も痛い。正確には下腹部。焼けた石とまではいかないが、熱い塊が、お腹をゴロゴロ転がっている感じ。
ちょっと口では言えない出来事もあったりして、母さんに相談した。
多分生理、あと2~3日で来るだろうと言われた。
なんとなくそうじゃないかな、と思っていたのであまり動揺はしなかった。実際に始まったら、予想以上に血がいっぱい出た事や、その他諸々で激しくショックを受けたけど。
色々と説明を受け、生理用品やショーツなどをもらった。種類が多くてびっくりした。ナプキンだけで、朝用だの夜用だの、ハネ付きだの無しだの、厚いだの薄いだの。
ショーツも色々あって、ボクサータイプと聞いて渡された物は、パっとみ単なるおばちゃんパンツだった。どうでもいいか。
お風呂はとりあえずシャワーのみ。あそこは清潔に。下着を汚してしまった時は、自分で洗った。基本的に元気はない。気付くと泣いてる。
母さんは色々と気を使ってくれ、優しくしてくれた。楽な格好でだらだらしてても構わない。ただ、食事はちゃんとする事、軽く体を動かす事、清潔にする事、の三点は心掛けなさいと。
素直に甘えさせてもらい、いもジャーでゴロゴロしてる訳。
しかし、思い起こせばかなり変な行動をしてたな。情緒不安定ってやつか。母さんはそんなオレを見て、そろそろ生理が来るんじゃないか、と思っていたそうな。
アレの前後は、肉体的にも精神的にも色々と影響が出るとの事。うーん、恥ずかしい……。
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いい加減に腹が立ってきた。
だいたい、ナンパ男対策にリバーブローの打ち方を説明したり、事あるごとに父さんを、文字通りぶっ飛ばしている人に『もっとおしとやかにしなさい』と言われても、説得力なんてゼロだと思う。
「ちゃんと聞いてるのアキラ、返事は?」
「はい、ワタシはちゃんと、お母さんのいう事を、聞いてマス」
この変なしゃべり方は、オレの言葉遣いに関して色々とやりあった結果である。
「なんでそんなにぎごちないのよ、丁寧語も敬語もちゃんとできてたでしょう?」
五月蝿いな、意識するとこうなっちゃうんだよ!
一人称はオレから私に。
しゃべり方は丁寧語に。
父さん母さんは、お父さんお母さんに。
丁寧語の部分のみ、オレが勝利した部分だ。本来は女の子言葉? だったが猛抗議の結果、ですます調で勘弁してもらった。他は前述の通り。全然勝利じゃない。
「だいたい何で怒られているのか、わかってるの?」
「新聞を、床に広げて、読んでいたからデス」
「あぐらをかいてた事を怒ってるのよ、アキラ今わかっててそう答えたでしょ?」
ピシッ! 痛いっ! 太腿を軽く叩かれた。ぶったね? 父さんにもぶたれた事ないのに! ぷー、くすくす。
にやにやしてたら、また叩かれた。うう……。
「かれこれ二週間以上経つのに、相変らず、がさつなのはどういう事かしらね?」
「この前なんか下着で台所をうろうろしてたわね? 前より恥じらいがないのは気のせい?」
慣れてきたから。あと風呂上りの牛乳はパンイチがジャスティスだ、ブラジャーもしてたしセーフだと思いました。
「まあまあ桜花さん、そのへんで。アキラちゃんは女の子らしく愛らしいじゃないですか」
「私に似て可愛いのは認めるけど、まだまだ女らしくないわ」
さらりと自画自賛してるな。
「ちょっとくらい男の子っぽい言動でもいいじゃないですか」
「自覚が足らない事を怒ってるのよ、自分でも頑張ると言ったのに」
明日から頑張る。
冗談はさておき、努力はしているつもりなんだけどな。まあいいや、この隙に逃げちゃえ。
「今度から気をつけます、ごめんなさい。では勉強してきマス!」
我ながら素晴らしいダッシュ。跳ねるようにして居間から飛び出す。
「アキラ! まだ話は終わって……」
「アキラちゃん、パンツ見えてますよ」
最近は写真も撮らなくなってきたので安心だ!
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だいたいオレだって結構頑張ってるのに。
料理はだいぶ上達した。煮物まで一人で作れるのは中々だと思う。味はまだまだ母さんには敵わないけど。
洗濯もしてるし、掃除も手伝っている。嫌々ながら一緒にドラマだって見ている。
おかげで、せっかくネットが繋がったPCにだって、全然触れていない。
それなのに、くどくど叱られればイラっともくる。思わず口ごたえをしてしまった事も。つっこみ以外で母さんに逆らったのは初めてだったかもしれない。
怒られるかと思ったが、母さんは何も言わずに考え込んでいた。そのせいで自己嫌悪に陥ったり、何でオレがこんな目に会うのだろう、と今更ながら考え込んで暗くなったり。
父さんは相変らずなので、ある意味安心する。なので、今も家族そろってソファーに座ってテレビを見ているが、オレは母さんを避けて、父さんの横にいたりする。
この北極物語というドラマはダメじゃないだろうか。いくらシブタクが主役でもこけたとしか思えない。これで制作費ウン億円だそうな。いいからイチローとジローをもっと出して欲しい。
あ、ソリ犬の事ね。犬万歳。小柄でモフってるのも、大きくて精悍なのも、均しく犬は可愛い。主役交代しろ。
ふと父さんを見ると、なにやら手帳に書き込みをしている。ドラマを見ないで何してるんだろ?
「アキラちゃんの美しさを称える為に、最近は詩作に凝っているのですよ」
また父さんが面白い事を始めた。どれだけオレの事が好きなの。あはは、ちょっとツボに入った。あと少しうれしいかも?
「くすっ」
大笑いすると母さんに何か言われる、と思って口に手を当てたが、少し吹き出してしまった。普段は呆れるだけなんだけどな。
「おおお! 今の笑顔! 春の日差しのように暖かで、鈴蘭のように可憐でしたよ! それでいてまったりとふくいくたる……」
後半は訳がわからない。そして抱きついてきた。別にイヤじゃないし大概慣れたけど、苦しいんだよな。
「お父さん、ちょっと苦しいデス」
「あ、すみません」
最近は言えばすぐ離してくれるんだよね。色々とかばってもらったり、駅前での出来事には本気で怒ったりと、基本的には良い父さんなんだよな。
たまにはその……、サービス的な事をしてみようかな? なんでこんな気分なんだろ? まあいいや。深く考えないでおこう。
「えっと、お父さん」
立ち上がって、そのまま太腿の上にちょこん、と腰を掛ける。……中々バランスが難しいな、少し脚を開いてくれないかな。父さんの手を掴んで、シートベルトのように前に回す。
「これなら、苦しくないデス」
むむ、反応がない。喜ぶと思ったんだけどなー。は、もしかして……。
「……重い?」
「ぜ、全然重くないです! 羽根のように軽いですよ、軽いですよ」
そっか、良かった。でもリアクションが薄いな、失敗したのだろうか。もっと大騒ぎすると思ったんだけど。
振り向いて、父さんの顔を見上げる。
真っ赤になっていた。
新鮮だ、面白いな。妙に浮かれた気分になってきた。掴んだ手をぎゅっと握り締めながら、脚をぷらぷらさせる。あ、ずり落ちそう。
「んー、落ちちゃう。父さん、もっとぎゅっとして」
「は、はひっ!」
はひ、だって。顔が更に赤くなり、まるでトマトのようだ。心臓も早鐘のように鳴っているな、密着してるのでよくわかる。
……なんだかオレまでちょっと変な気分になってきた。
自分の行動で、男がこんな反応をするなんて……。
って男じゃない、父さんだよ! あれ? あれれ?
慌てて目をそらすと、母さんが視界に入る。なにやら複雑な表情をしていた。
もしかして、オレがベタベタしてるから嫉妬してるのかな? 殴ったり怒ったりしてても、母さんは父さんの事が大好きだしな。
そこで何故か、不思議な感情に囚われた。上手く表現できないんだけど、後ろ暗くて、それでいて愉しい感覚。
表面的にはこんな感じ。ヤキモチを焼くかな? 怒るかな? といった軽い気持ち。父さんをもっとドキドキさせてみたいといった悪戯心。
体を横に向けて、膝をちょっと曲げる。俗に言う女の子座りっぽい。上半身を捻って更に密着して、腕をのばして父さんの首筋に抱きつく。
「これなら大丈夫かな? どうかな?」
頭を胸にすりすりとつけて、甘えてみる。普段ならありえない行動だ。さて、反応はどうだろう?
父さんはガチガチに硬直していた。まるで石像かなにかのよう。汗をだらだら流して、一言もしゃべらない。
押しつぶされた胸に伝わってくる鼓動は、ドクンドクンと爆発でもしそうな感じ。あははっ!
母さんはどうだろう? 怒ってるかな? ヤキモチやいてるかな? 顔を向けると、深刻そうな顔をして考え込んでいた。
あ……。
急速に頭が冷えていった。なんでこんな事しちゃったんだろう。しかも変な気持ちで。
おずおずと体を離し、ゆっくりと降りる。恐る恐る、もう一度母さんを見る。
ポンッ! と手を叩いていた。そして、わかったわかったといった感じで頷いている。表情も普通に戻った。
「そろそろお風呂頂くわね。それともアキラ、先に入る?」
何事もなかったかのように聞いてくる母さん。ちょっと、いやかなり動揺してしまった。
「あ、あ、あとでいいデス! ちょっと勉強してきます!」
いつだかのように、逃げるように自室へ。未だ硬直している父さんはほったらかしだ。
動揺。混乱。自己嫌悪。バッドステータスってやつだ。少しお腹も痛くなってきた。そして……。
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二日目。
出血。
予想以上に血がドバドバでる。なんでこんなに出るの。血って意外と黒い。直視したら、気を失いそうになった。ナプキンを交換する度に目眩を起こしてはたまらない。慣れよう。無理。
食事。
鉄分とビタミンを多く採りなさいとの事。ひじきやほうれんそう。あさりやしじみ。レバー。肉魚野菜。微妙に普段と変わらない。とにかく食べろと。食欲ないけど無理やり食べた。
体調。
全身がだるくて、もちろんお腹が痛い。なにやら頭痛もする。痛み止めは良くないとの事。要するに我慢しろと。動くのもおっくうだ。生理休暇を要求する。春休みだけど。
精神。
ガチ泣き3回。涙目になること数え切れず。乾いた笑い2回。幼児退行1回。ボクのからだ、どうしちゃったの? ちなみに小学4年まで、一人称はボクだった。ボクっ娘だな!
ベッドでぐったりとしていると、母さんが入ってきた。
大丈夫? と聞かれたので、大丈夫じゃない、と答えた。根性ないなオレ。
横に腰掛け、頭を撫でてくれた。あったかくて気持ちいい。そのまま無言で20分くらい? ずーっと側にいてくれた。
うとうとしてきた。このまま眠れそうだ。あ、でも謝らなきゃな。この前の事。
「……母さん」
「なに?」
「……この前は、ごめんなさい」
「なんの事?」
「……父さんに、変にベタベタした事」
ああ、といった顔の後、にっこりと笑った、
「子供が親に甘えただけでしょ、可愛かったわよ」
もう一度、クスッと笑った。
甘えただけ、か……。でも変な事も考えてたんだ。母さんにも父さんにも。ごめんなさい、ごめんなさい……。
「なんならもう一度甘える? 楓さん呼ぶわよ?」
からかうように言う。グスグスと泣いているオレを、ひたすら撫で続ける。
「……母さんに甘えたい」
しょうがない子ね、と言いながら一緒にベッドに入る。
母さんは、あたたかくてやわらかくて、どこか懐かしい匂いがした。
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五日目。
オレはラッキーな事に、短い人だったようだ。もう、軽やかスリムで問題ない! 軽くジョギングでもしてこようか?
そういや例のナンパ以来、本当に引きこもりになっていた。終わったら久々に外出しようかな。
浮かれていたら、若いうちは周期や期間が安定しないから、次はわからないわよ? と言われた。明るい気分を返せ。
母さんはあまり文句を言わなくなった。オレの立ち振る舞いも、少しは女の子っぽくなってきたのかもしれない。
単に生理中なので、やさしいだけかもしれないが。ただ、前より真面目に意識するようになったのは確かだ。
複雑な気分だが割り切ろうと思う。
あと、あぐらもやめた。幸い体は柔らかいので、膝を曲げて、脚を少し広げてペタンといった座り方。これならOKらしい。
NGだったら体育座りだったな。膝をかかえるとナチュラルに暗くなれます。
言葉遣いは、ある意味諦められた。
家族の間で、言葉遣いまで無理に変えさせるのは良くない、別に悪い口調でもないし、という父さんの意見が通った。
学校や外でだけでも、オレというのは止めなさい、丁寧なしゃべり方をしなさい、と母さんにしつこく念を押されたが。
大丈夫、ねこかぶりすればいいんでしょ? あー、ネコかぶりたい。頭にのせたい。
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で、またテレビを見ている。無駄にテレビ率が高い。ま、ネトゲは学校が始まってリズムができてからだな。ダウンロードだけしてある。
画面には、芸能人がアンサーのクイズ番組。おっとり天然系が売りの女優さんが、漢字書き取りクイズにチャレンジ中。
『え~、あたしこんなむつかしい漢字かけませんよぅ』などと言いながら、スラスラ書いてるぞ。薔薇、憂鬱、麒麟とか。しかも達筆だな!
せんべいをパリパリ食べながら眺めてると、父さんがチラチラとこっちを見てくる。
またスキンシップがしたいのだろうか? 悪いけど、サービス期間は終了しました。
無視していたら、シクシク泣きながら紙を切り始めた。……切り絵?
説明の必要もないだろうが、オレの切り絵を作っている。で、ぶつぶつなにやらつぶやいている。
「うっうっうっ……、この前はあんなに甘えてくれたのに、抱きついてくれたのに」
「ドキドキさせるだけさせて放置プレイなんて小悪魔としか。だがそれがいい、うっうっうっ……」
うっとおしい事、この上ない。あーもう面倒だな。抱きつかれると重たいし、抱きつく気分でもないし。
おっぱいでも触らせれば、大人しくなるかな。
「父さん五月蝿い。おっぱいさわっていいから静かにしてよ」
「マジで!?」
すっげー喰いついた。口調が若者っぽくなった。
別にいいけど。減るものでもないし。あ、でも痛くされたら殴ろう。
「いいよ、痛くしないでね」
「もちろん! やさしくします! やましい気持ちもないです! む、娘の発育を確かめるのも、親の努めですからね!」
「いいから黙って」
クイズの答え考えてるんだから。
「……目測では、既に桜花さんを超えてますね」
「なんですって?」
次の瞬間、父さんがテレビに激突していた。よく壊れなかったな、丈夫だな液晶のくせに。
あー、クイズの答え見逃しちゃった。
「アキラもそういう事は言わないの」
ゴン!
平手から拳固にレベルが上がった。うう、超痛い……。
「赤ちゃんできれば大きくなるんですからね、調子にのらない事よ?」
またこの引きなの!? しつこいよ、飽きたよ!
……部屋は余ってるし、本気なのかなあ。
生理描写はあえて表現を少し削りました。実際はもっともっと大変らしいです。