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秋の夜長と失恋の味

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/10/07

ご訪問ありがとうございます。

秋の夜長、冷めゆく珈琲とともに過ごす静かな時間をイメージして書いたショートストーリーです。

ほんの少し切ない余韻を感じていただければ幸いです。

秋の夜長に冷めきったブラックコーヒーを飲むとき、画面の向こうで更新されない君の SNS が、まさに失恋の味がした。

画面をすワイプする指先だけが虚しく動き、静寂の中に氷の溶ける音すらない。

二度と届かないと分かっているメッセージの下書きだけが、冷めた珈琲の底のように重く沈んでいた。

指先がなぞる液晶の光だけが

奪われた呼吸の痕跡を残している

送信されない文字列は

深夜の部屋に落ちた影の角を折り、

沈黙の温度を静かに下げていく

ぼくらはもう

既読のつかない夜の

余白のなかでしか出会えない。

夜がゆっくりと明けていく青い薄明のなかで、ぼくは冷えきったマグカップを静かに傾け、最後の一滴を喉に流し込んだ。

カーテンの隙間から差し込む光が部屋の影を溶かしていっても、画面の上の君は永遠に昨日のままで止まっている。

ぼくはそっとスマホを伏せ、一度も押せなかった「送信」の文字に、はじめて「さよなら」と打ち重ねた。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

秋の夜長、冷めていく珈琲と明けていく夜の青い空気に、胸の中に残る切なさを重ねて書いてみました。

画面の向こうの止まった時間と、少しずつ動いていく自分の時間を感じていただけたら幸いです。

もし少しでも心に響くものがありましたら、評価やブックマーク、ご感想などをいただけますと執筆の大きな励みになります!

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