023 ルイ&ミンティ&リヒトVS反体制派老人
「……何者だ?」
リヒトがそう言った瞬間、
彼はカマイタチを喰らったかのように、壁へ押し付けられた。バキッ! と痛々しい音が聞こえる頃、ルイとミンティは臨戦態勢に入る。
「……、」
その白髪だらけでひげを生やした老人は、なにも喋らない。だが、眼光は尋常でないほど鋭い。
ルイはコートに言う。「通報しろ。すぐ来るか分からないけど、ないよりはマシだ」
「で、でも……」
「良いから!」
「は、はい!!」
コートを退かせ、ルイとミンティは身構える。
すると、
ミンティは、腕に青白いオーラのようなものをまとった。
彼は地面を蹴り、老人との間合いを一瞬で狭める。
そして、
ミンティは、容赦なく老人の腹部に拳を捩じ込ませる。
「……、」
だが、まるで無反応。ミンティは脂汗を垂らす。彼は再び地面を蹴り、飛び跳ねてルイの元まで戻ろうとするが、
その隙に、老人の一太刀が襲いかかる。さながら漫画に出てきそうな〝飛ぶ斬撃〟が、ミンティの胴部を斬り裂いた。
「ミンティ!!」
老人は、日本刀をルイに向ける。獲物を見定めるように。
(クソッ。大統領のボディーガードと、ミンティがやられるくらいの敵だぞ? 敵うのか……?)
四の五の言っても、相手は容赦してくれない。ルイは自身の魔術〝ヒト・モノを問わず操作する力〟で、オープンカー状態の車を老人にぶつけようとした。
だが、老人はそれすらも斬り裂く。
(車を斬り裂けるほどの力……。直接攻撃するのは、無理だろうな)
ルイは辺りを見渡し、車よりも大きいモノを探す。街路樹・トラック……いや、これすらも斬り裂かれそうだ。
そうして考えを巡らせた結果、ルイは致命的な隙を作ってしまった。彼は飛ぶ斬撃によって斬られる。
「ぐぅッ!?」
が、斬られたというのに血のひとつも出ていなかった。確かに内出血はしているようだが、外傷が全くないのだ。
(……峰打ちか? クソッ、ナメやがって)
ということは、ミンティもリヒトも峰打ちを喰らった、と考えられる。その証拠に、ふたりは起き上がっていた。
リヒトがこちらに向かってきて、ルイに言う。
「あの野郎、おれらを生け捕りするつもりみてェだ」
「生け捕り……?」
「ミンティは大統領の息子だから、確保できれば相当な身代金を手に入れられる。ッたく、あの世にカネは持っていけねェのに」
それに続いて、ミンティがルイの隣に立つ。
「なぁ、ルイ。おれとリヒトさんがチャンスを作る。一瞬の好機で、アイツを無力化させてくれ」
「……どうやって」
「気合いで、だ」
そう言い残し、ミンティとリヒトは風圧を残して老人に突撃していった。
(気合い……? そういえばさっき、ミンティは腕に青白いオーラをまとってたな。もしかしたら──)
ルイは、手を思い切り握りしめる。そうすれば、赤い閃光が腕全体を包み込んだ。これがなんなのか知らないが、相当な威力があるのは間違いない。
一方、ミンティは老人に格闘を仕掛けていた。ミンティを生け捕りするのが目的なら、彼はここで死ぬこともないが、リヒトは違う。彼には、生き死にが懸かっている。そのため、必死に挑むほかない。
そんな最中、
リヒトは、透明人間になったかのように姿を消した。ミンティとの格闘戦につきっきりだった老人は、透明になったリヒトに背後を取られる。
そして、
リヒトは、両手で老人の頭を凄まじい勢いで殴った。
「……!!」
「ちったァ効いたか。老害がよォ!!」
脳が揺れている今がチャンスだ。ルイは、老人に駆け寄っていく。右手にまとった赤い閃光だけを頼りに、その拳を老人の腹部にぶつけるのだった。
「……、」
しかし、現実は非情だった。その攻撃は、まるで響いていないのだ。老人はルイを睨み、そのまま刃の部分でルイを斬り裂く。




