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元おじさん獣娘の異世界無双録-規格外の魔力で好き勝手生きる-  作者: 東山スバル
第一章

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17/24

017 〝僕は、貴方のことが好きです〟

「これで自由だ。好きに生きれば良いさ」


 死体が転がる現場にて、ルイは売買されかけていた子どもたちにそう言う。


「あ、ありがとうございます」


 人数は4人。そのうちの3人は、一目散に逃げていった。

 ところが、ひとりだけその場から動かなかった。ボサボサの黒髪・碧い目・小汚い服装・覇気のない目つき・痩せっぽちの身体……そんな少年だ。


「どうした? もう自由なんだぞ」

「自由って、なんですか?」


 いきなり難しいことを聞いてきた。ルイは鼻を鳴らす。


「なんだろうな。ひとつ言えることは、それくらい自分で考えろ、ってことくらいかね」

「なら、僕はお姉さんについていきます。それも自由でしょ?」

「はァ?」

「自分で考えた結果です。これからどうするんですか? お姉さんは」

「どうするって……敵の応援が来る前にずらがるかな──」


 ダッダッダッ、と足音が聞こえた。随分早い追手だ、と思いつつ、ルイはアサルトライフルを構える。


「僕も闘います」

「闘えるのか?」

「音を破裂させる術式なら、使えます」

「音を破裂させる?」

「はい」


 少年は淡々としていた。

 そして、

 追手が、一斉に銃を構えてルイを撃ち抜こうとする。

 弾が放たれる直前、ルイは遮蔽に隠れようとするが、

 少年は、その場から一歩も動かなかった。

 ルイは訝るが、なぜそうしたかすぐ理解できた。

 銃弾が放たれる──つまり銃声音が聞こえた瞬間、それはバコンッ! と小気味良い爆発をした。


「へェ……」


 ライフルや拳銃は、見事に使えなくなった。それどころか、銃弾を放った者たちは爆発の所為で腕がえぐれてしまった。


「ぐあッ!?」

「な、なにが……ッ!!」

「クソォ!!」


 その隙を見計らい、ルイは連中の身体を操作して、内蔵を破裂させた。ぶしゃッ、とグロテスクな音が響くと、男たちは息絶えるのだった。


「まだまだやってきそうだな。さっさとずらがろう」


 魔術を使わない辺り、〝クーアノン〟系列の連中らしい。ルイは少年の手を引っ張り、走りながらルーシへ電話する。


「迎えの車、よこせ。今追われている」

「知っているよ。そこの角を曲がったところに、逃走用の車と運転手を用意してある」


 ルーシの手際は良いようだ。実際、角を曲がったところには、黒塗りのSUVが停まっていた。ルイと少年はそれに乗り込み、即座に車は発車した。


 ルイは息切れを起こす。「はぁ、はぁ……」


 少年に至っては、元々の体力不足の所為なのか一言も発せず、半ばフルマラソンを走ったかのように息切れしていた。


 車は、ルイとリリスの泊まるホテルへと向かっていく。


 *


 息切れも収まり、ルイと少年は車から降りた。

 少年は、豪勢なホテルに息を呑む。


「こんなところを、隠れ家にしてるんですか?」

「あぁ、私は転生者だからさ」

「獣人の転生者なんて、珍しいですね」

「良く言われるよ」


 ふたりはホテルの一室まで戻り、ソファーに腰掛け一旦落ち着く。

 リリスはいまだ寝ていた。ルイより早く寝たのに、ルイより遅くまで寝ているのは、天使として如何なものだとも思う。


「あの、この方は?」

「天使のリリス。私の監視役ってところだな。ところで、オマエの名前は?」

「僕は……コートです」

「そうか、コート。腹減った?」

「はい。でもその前に……」

「なんだ?」


「僕は、貴方のことが好きです」


 奇妙奇天烈摩訶不思議。ルイは転生2日目にして、少年から告白されてしまった。


「……オマエ、好きって言葉の意味分かってる?」

「分かってます。分かってるから、好きだって言ったんです」


 筋肉らしい筋肉がない、それなりに顔立ちの整った少年は、大胆にそう言い放つ。


「あぁ、そうかい。ならひとつ聞くぞ。オマエ、なんで私が好きなんだ?」

「ふたつあります。ひとつ目は、僕を救って〝人間扱い〟してくれたからです。そしてふたつ目は……、貴方が僕と同じ〝死にたい〟目をしていたから」


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