014 調べ物
そんなルイの態度に、ルーシは苦虫を噛み潰したような顔になる。
「オマエ、裏社会で生きられるくらいキッパリした性格だな」
「そう? 悪くないヒトは殺したいとも思わないけど」
「悪党が相手するのは悪党だ。良いヤツなんかいねェ。どうだ、私とパートナーにならないか?」
「パートナー?」
「そう。オマエなら、クーアノンどもをなぎ倒せる。アイツらを打倒できれば、私の商売もしやすくなる。ウィンウィンってわけさ」
「そうなんだ。ま、キャメルさんからMIH学園に誘われてもいるから、考えておくよ」
「私もMIHの生徒だぞ」
「へ?」
面食らうルイへ言う。「6年飛び級でMIHに入ったんだ。学年は高校2年生。キャメルは3年生だな」
「まぁ、君くらいの実力者なら6年飛び級していてもおかしくないか」
ルーシがふざけているくらい強いのは良く分かったので、小学生くらいの見た目だろうと高校でもおかしくはない。アンゲルスは〝実力至上主義〟だからだ。
「ま、色々考えておけよ。人生楽しくなきゃ損だしな」
その言葉に、ルイは口を尖らせた。
「どうした? 不服そうな顔して」
「いや……ここへ来る前のことを思い出してさ。人生なんて楽しくなかったもんで」
「けど今は、アンゲルスに転生したんだから過去なんて関係ない。だろ?」
「それはそうなんだけどさ」
昔を思い出せば、7時出勤の11時帰りを週5回繰り返し、小便も真っ黄色になって、健康診断もかなりの異常値が出た。あのときの記憶を消し去ることはできない。
「ともかく、私とパートナーになるかは別として、MIH学園に入るのはオススメできるぞ。大人の夏休みみてェなものだ。刺激もあるし、ノルマに追われることもない」
「中身34歳だけどね」
「だから、人生の夏休みなんだよ。まぁ良いや。スマホ、持っているかい?」
「いや、持ってない」
「なら、これが私の電話番号だ」ルーシは紙に番号を書く。「なにかあったら連絡してくれ。んじゃ、また逢う日まで」
ルーシはそう言って、うめき声しか出せないクーアノンをあえて踏みにじりながら去っていった。
「……これって、おれが逮捕されるヤツじゃね?」
こうなると逃げるしかない。ルイは近くに防犯カメラがないのを視認し、その場から立ち去るのだった。
*
21時になった。特段やることはない。
リリスはいまだ爆睡している。なんとも羨ましい限りだ。ルイなんて、睡眠薬がないと眠れないのに。
「せめてスマホかパソコンがあれば、情報収集できるんだけど」
やたらと広いホテルの一室なので、ひょっとしたらパソコンがあるかもしれない。ルイは、2階へと登ってパソコンを探す。
すると、
「ノートパソコン、あるじゃん」
これは良い、とルイはノートパソコンを開く。情報を制する者がすべてを制するらしいので、ネットの情報だけでも拾っておくべきだろう。
『アンゲルス タバコの値段』
それで良いのか、ルイ。
『アンゲルスのタバコの値段は、銘柄にもよりますが、7メニーから10メニーほどです。また喫煙率は12パーセントほどです』
「高いな。いや、日本が安いのか」
検索を変えてみる。
『アンゲルス 獣人 主な能力』
獣人がどんな力を持っているか、知っておかないとこれから厄介だと感じたからだ。
『獣人は、鋭い嗅覚・暗視能力・聴力の良さ・そして〝ビースト・マギア〟を使えます』
「ビースト・マギア?」
検索を変えてみる。
『ビースト・マギアとは』
結果を見た途端、ルイは目を細めた。
『ビースト・マギアとは、獣人の持つ原始的な力を発動させる魔術です。圧倒的な腕力と移動速度などが特徴的です。基本的に先天的なものですが、努力次第で扱うこともできます』




