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元おじさん獣娘の異世界無双録-規格外の魔力で好き勝手生きる-  作者: 東山スバル
第一章

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12/24

012 死の商人国家・アンゲルス

「見ていたのは事実だけど、10代前半の子がタバコ吸っていたら普通見るでしょ」


 銀髪の少女は、ニヤッと口角を上げる。


「知らないのか。今はエイジレスという言葉があるんだ。私の自認は20歳なのさ」

「実際の年齢は?」

「12歳だよ」

「なら、駄目じゃん」

「説教ならお断りだぞ。誰かのお説教を聞く耳は持っていないので」

「そう。ところでさ、タバコ一本くれない?」淡白な態度だ。

「良いぞ」銀髪少女はルイにタバコを差し出す。「それと、これは友だちに」しかも3本も渡してきた。

「ありがとう。ついでにライターも貸してほしいな」

「あぁ」


 銀髪の少女は、手をパッチンと鳴らして火を起こした。ルイと彼女の間が近づく。


(すげェ香水の匂いがするな。タバコの匂い消しか)


 獣娘になったからか、香水がより強く感じるようになってしまった。大して香水をつけていないはずだが、思わず鼻をつまみたくなるような匂いだ。


「どうした? (しか)め面して」

「いや、香水の匂いが強くてさ」

「恋人がタバコの匂いを嫌うからな。香水は必須品だ」


 そうしてタバコにありつけると、


「なぁ。オマエどう見ても獣人だよな」

「そうだけど」

「香水云々言っていたが、タバコの匂いのほうがキツイんじゃないか?」

「ずっと喫煙者だからね。多少臭くても、ニコチンの快感には敵わない」

「へェ。ミンティみてェだな」

「ミンティなら、知っているよ。茶髪の猫との獣人でしょ」

「おぉ、やはり世界は狭いんだな」銀髪少女は苦笑いを浮かべる。「アイツとは父と母が違う兄妹でさ。父は現大統領で、母は着払いで大統領閣下にミンティを送ったらしい」

「父母が違うのなら、それはもう兄妹とは言えないんじゃない?」

「同じ父を持つんだから、兄妹だろ。アイツ、元気だったか?」

「出会ってから1日も経っていないから、平時のミンティは分からない」

 銀髪少女は目を細める。「オマエ、転生者?」

「そうだけど」

「お付きの天使様は?」

「今爆睡している」

「なるほど。私と同じく、ポンコツらしい」

「え、君も転生者なの?」

「あぁ。25歳のとき、くだらねェ仕事で死んじまった。ここへ来て、もう2年くらい経つのかね」

「へェ。ちなみに、名前は?」

「ルーシ。ルーシ・〝コバ〟・レイノルズだ」


 ルーシはタバコを携帯灰皿に捨て、ルイが吸い終えるのを待っているようだった。


「どうせお付きの天使様はろくな説明もせず、アンゲルスへオマエを投げたんだろ? だから私が説明してやるよ。暇だしな」


 吸い終えるのを待っていたわけではなかったらしい。ルーシは、2本目のタバコに火をつけた。先ほどのマジックみたいな発火で。


「アンゲルス連邦共和国。GDPが世界第7位の、イギリスとフランス、スペインの間に浮かぶ島国だ。領土は……リッスンブールって知っているか?」

「インターネット・ミームで生まれた、アメリカ人を小馬鹿にするための架空国家でしょ?」

「博識だな。んで、アンゲルス本島はリッスンブールとほぼ同じ領土を持っている。それに加え、ピースランドという、前世でいうところのグリーンランド的な島も保有している。グリーンランドと違って、自然豊かで大量の鉱物資源が取れるがな」

「アメリカが欲しがりそうだね」

「アンゲルスはNATOにこそ加入していないが、イギリス・アメリカと同盟関係だ。それに、アメリカが手出しできないほどの軍事力を持っている。宇宙空間からピンポイントで、ホワイトハウスを爆撃できるからな」

 手を開く。「怖いね」

「そして主要産業は、半導体製造とIT、銃火器製造とかだな。巷じゃ、死の商人なんて言われていたりする。世界中の戦争には必ず、アンゲルスの武器が絡んでくるからな」


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