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プロローグ・思考停止
初投稿です。救いのない話なので気を付けて下さい。
頭がぼうっとする。
腕には、生暖かい感触が、生々しい程に纏わり付いていた。
まるで、現実感がない。宙に浮く感覚。
鼓膜の奥では『ピーーー』という無機質な音が絶えず響き、思考を塗りつぶしていく。
その向こう側からは、悲鳴や怒号、様々な音が重なり合い渦を巻いて聞こえていた。
普段なら雑踏で埋め尽くされるその場所は、今はただ赤黒く染まり、異様な光景が広がっている。
その周囲の外には人集りが出来ていた。
彼らの視点はその中心に居る一人の男に向けられ、口々に何かを叫んでいる。
しかし、男には彼らが何を言ってるのか解らず、ただ呆然としていた。
――どうしてこうなった。
近づいて来るサイレンの音を聞きながら、リアムはその事だけを考えていた。




