剣作成
俺はドワーフの大男の親父さん、アウルヴァングルの教えてくれた店に向かった。
シロウのように転移はできないが、飛行術で向かえばそれ程の距離ではない。
山の手に登っていくので、民家は少なくなっていく。田畑と荒れ地が多く、今度の俺達の新しい家より、まだ田舎だな。
俺は目指す武器屋を見つけて地面に降りた。
周りに民家が無いこともないが少ない。おーいと呼んでも隣の家には聞こえないだろう。
店の間口はそれなりの広さで、奥も深いようだ。作業場とかがあるんだろうな。
「こんにちは」
「誰だ貴様。俺を殺しに来たのか」
いきなり大声で誰何された。命でも狙われているのか。
見るとがっしりしているが背の低い、いかにもドワーフという感じの男が立っていた。
長い顎髭は真っ白だ。確かに高齢なのかもしれないが、眼光はランランと鋭い。
「こんにちは、俺はリードと言います。アウルヴァングルさんに紹介されて来ました」
「んっ、アウルヴァングルだと、あの小僧に頼まれて俺を殺しに来たのか」
「いえ、そんなことはないです。剣を作ってもらいたくて来ました」
「剣だと・・・
するってえと客か。そうならそうと早く言え」
「すみません」
何なんだ。ドワーフは頑固とは聞くが、これは頑固じゃなくて変人なんじゃないか。
それか耄碌しているのか。
「んっ、お前何か失礼なことを考えてないか」
「いえ、とんでもないです。誠心誠意、剣作成のお願いに来ました」
「ふん、口のうまい奴は碌でもないと相場が決まっている。昔から巧言令色少なし仁と言うぞ」
どうすりゃいいんだよ。
「すみません」
俺は平身低頭するしかなかった。
「しかたねえな。アウルの小僧の紹介なら話だけでも聞いてやる。剣を作りたいのか」
「はい、剣づくりの名人を紹介してやると言われました」
「ほお、あいつも世辞が言えるようになったのか」
「材料としてこれを持ってきました」
俺はマジックバッグからオリハルコンの延べ棒を出した。横に机があるので、そこに置いたが、ミシっという音が聞こえた。
「ほお、これは」
剣づくりの名人は作業着からメガネを出して掛け、じっくりと延べ棒を見た。
「ふーん。本物だな。本物のオリハルコンだな。純度も高い。どこで盗んできた」
ドワーフはこれを言うのがお約束なのか。
「いえ、盗んできたわけではありません。遺跡を発掘してきました」
「まあ、遺跡って言っても、遺跡から盗んできたんだろ」
この男の方がアウルヴァングルよりひねくれている様だ。
「いえ、持ち主の霊に譲り受けました」
「へえ、お前さん真面目だな」
急に名人が相好を崩した。
「まあ、冗談だよ、冗談。亡霊なんかに断らなくったって、遺跡のお宝は早い者勝ちだろう。俺の冗談にいちいち真面目に答えてくれるとは。
さてはお前、真面目君だな」
なんて答えれば正解なんだ。もう訳が分からない。
俺がしどろもどろしていると。
「はははは。面白い奴だな。いいよ、作ってやるよ。これだけの材料を持ってきたんだ。これで剣を作るのはドワーフ冥利に尽きる。このグレンディル様が当代随一の剣を作ってやるぞ」
急に機嫌が良くなって、俺の腰のあたりをドンっと叩かれた。力があり、中々痛い。
「ドワーフが頑固だって言うがな、あれは嘘だ。そりゃあ譲れないものもあるが、俺達は単純だ。お前が真面目に剣を欲しいと言うなら、それで十分だ」
ほっとした。なんか力が抜けてきた。モンスターと向き合うより疲れるな。
「で、何か注文は有るか。両手剣でいいんだな」
「はい、注文ではありませんが、できてから魔力を付与してもらう心算です」
「ほお、誰にやってもらうんだ」
「錬金術師のエリザベスさんです」
「あの女か、あの女なら大丈夫だろうな。いや、俺も自分が鍛えた刀を訳の分からねえ奴に弄られるのは少しばかり気になるからな」
グレンディルはうんうんと一人頷いていた。
その後、作成料の話をした。
「多分、材料は余るが、貰っていいか」
「はい、どうぞ」
ここで、喋りすぎると不機嫌になるのかな。
「なんだ、素っ気ないな。グレンディルさんのような名人に使ってもらえるなら本望ですとか言うんじゃないのか」
「はい、本望です」
「今更言ってもなあ」
この人達は会話を楽しんでるってことだろうか。
背中を嫌な汗が流れている。
「まあいいや。余りはもらうぞ。その代わり、仕事はしっかりやらせてもらう。楽しみにしてろ」
俺は頭を下げて店を出た。
帰りも飛行術で帰るが、墜落しないか心配だ。
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