防具新調
「エリザベスのお弟子さんでしたか」
スーザンは事も無げに軽く頷いている。
「道理で凄い腕前だと思いました」
「師匠をご存じですか」
「はい。私とエリザベスは従姉妹なんですよ。母が姉妹なんです」
なるほど、大物っぽい感じは似ているな。
「そうでしたか、それはいいご縁をいただきました」
「ええ、私の方こそ、いいお宅を紹介していただきました。
それからスーザンは家の掃除に取り掛かった。
庶民は箒で掃いて、雑巾で拭く家も当然あるが、スーザンは自信があると言った通り、生活魔法でどんどん綺麗にしていった。基本的には聖属性のホーリー系の魔法に分類されるものを物とか人間に掛けて、綺麗にしていくわけだ。
魔法なのでとても早い。個室は、今回は部屋の主が見ている中でやってもらった。ほとんど無詠唱でどんどん清潔にしていく。
掃除の後は昼食を作ってもらった。料理は手を使うし、調味料も使うが、魔道具で洗ったり、加熱したりするのも技術は必要だ。
スーザンもテーブルについてもらって、全員で食事を摂った。
「美味いな」
「美味しいです」
「本当だな。専門料理店並みの腕前だな」
「ありがとうございます。お褒めにあずかり光栄です」
受け答えはやはり丁寧だ。
「どこかで修行したのかしら」
「いえいえ、年数やってれば身につくものでございます」
シロウと一緒で、どこまで真に受けていいかはよくわからない。
「ちょっと相談が有るんだが」
スーザンも居るが、食後に皆に話しかけた。
「なんだい」
「実は、みんなで見つけた金属を使わせてもらいたいんだが」
「金属って言うとオリハルコンとかってことかしら」
「ああ、オリハルコンとアダマンタイトで剣と防具を作らせてもらいたいんだ」
「ああ、防具は俺が壊しちまったからな。そういう意味では、俺の分は自由に使ってくれ」
「私も魔道具などを使わせてもらっていますので、ご自由にしてください」
「防具を作るのは構わないと思うけど、剣も作り直すの」
俺は真剣に・・・
いつも真剣だが、真剣な表情を作って頭を下げた。
「実を言うと、以前から思っていたんだが、ウーコンとシロウの力に頼りすぎると思っていたんだ。
それで、今回ウーコンと手合わせして見て、当然力の差は思った通りあったんだが、それでも自分もまだ強くなれるきっかけにしたいんだ。勿論体や技術は鍛えるが、それと一緒に剣も一新したいんだ。
ウーコンと向き合った時に赤の魔剣を貸してもらったが、その時の充実度は凄かった。
自分の力を目一杯出せる道具で戦いたいんだ」
俺は日頃からの思いを一気に言葉にした。
「リードえらいです。私も見習いたいです」
聖女も賛成してくれるようだ。
「僕も構わないよ。お宝は持っているだけじゃ、まさしく宝の持ち腐れだからね」
ほぼ、全員の賛同を得られたようだ。
「ありがとう。恩に着るぜ」
善は急げと言うので、俺は直ぐに錬金術の店に行った。
早速、シロウの繋げた転移陣を使って、あっという間だ。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
アイシャが出迎えてくれた。
「これは便利だな。アイシャもジミーに会いに行ってやってくれ」
「嫌よ、私が会いたいみたいじゃない。ジミーが来ればいいのよ」
意地っ張りの姉弟だな。
「ところで、エリザベスは出かけてるのか」
「買い出しに行ってる」
「そうか、留守にすまないが、お宝の金属を出してくれるか」
「いいわ、あなた達の物だから」
アイシャに立ち会ってもらって、アダマンタイトとオリハルコンを出してもらい、マジックバッグに詰める。
「ありがとう、エリザベスが帰ったら、魔法の付与を頼みたいと伝えておいてくれ。
じゃあ俺は防具屋に行ってくるから」
「行ってらっしゃい」
前回、ジミーの防具を作った店に行った。この店は大きい構えではないが、エリザベスの御用達で、腕自慢のドワーフの親父さんが作っている。
「こんにちは」
「おお、この前エリザベスと一緒に来た人だな」
ドワーフの中でも大柄のようで、体格ががっちりしているのは当然だが、身長もその辺の人間並みの高さだ。確か仲間内からは大男と呼ばれていると言っていた。黒い顎髭を蓄えて、それ程歳でっはないんだろうな。
「リードと言います。今度は俺の防具をお願いしたくて来ました」
「ああ、構わないぜ。そういう仕事だからな」
「材料は持ち込みでお願いしたいんですが」
俺はマジックバッグからアダマンタイトの延べ棒を出した。
大男の親父さんはしばらく眺めていたが。
「これは・・・アダマンタイトだな。どうした、どこで盗んできた」
「いや、盗んできたわけじゃないですが、遺跡で見つけたんです」
「おお、おお、そうか。そう言えば遺跡に行くと言っていたな。
ほお、これは見事なもんだ。こんなもんを良く見つけられたな。
まあ、これで防具を作るのはドワーフ冥利に尽きるってもんだな。いいぜ。
勿論金はもらうがね。仕事だから」
「勿論です」
注文を伝え作成料などの話もした。
軽鎧の上下と小手などを頼むことにした。
「材料は足りますか」
「こんだけあれば十分だな。もし余ったら貰っていいか」
「ええ、どうぞ。これからも親父さんには世話になりたいですから」
俺も中々如才ないことが言えるようになってきたぞ。普段仲間と会話をしているからだな。ソロのころは口下手だったが。
「ふん。お前さん、ちょっと口がうますぎるようだな」
うーん。ドワーフは頑固者が多いとは聞くけど、難しいもんだな。
「すいません。あと、剣も作りたいと思っているんですが、どこか紹介してもらえませんか」
「剣か。俺も作れないことはないが、専門じゃないからな。偏屈な名人と、調子のいい並の奴とどっちがいい」
究極の選択だな。
「名人をお願いします」
俺も強くなるためには、偏屈だろうがなんだろうが、当たって砕けるだけだ。
「ええとな、この辺だ」
親父さんは地図を取り出して、少し山の手の店を教えてくれた。
「腕のいい武器屋だが、頑固者でね。まあ、ドワーフで頑固者じゃないのは俺ぐらいだが」
自分で言うか。
「アウルヴァングルがよろしく言ってたって言っといてくれ。爺だから早くいかないと間に合わないかもしれないぞ」
アウルなんだって。長い名前だな。アウルヴァングルか。
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