生還
「リードしっかりしてくださいです。
私の声が聞こえているですか」
暗黒から引き戻されるように、意識が戻ってきた。
まわりの景色がぼうっと見える。
「あたっ」
右腕に激痛が走った。
「いてえなあ」
「ああ、意識が戻ったですね。良かったです」
俺は空き地に横たわったままで、治療を受けていたようだ。
右腕が凄まじく痛い。胸も痛いし、苦しい。
「俺は生きてるようだな」
「はいです。聖女ノラのお陰です」
ヒールを使ってくれたんだろうな。
体はあまり動かないが、視線を下げると、右腕や上半身がびしょびしょに濡れていた。
右腕に嵌めていた防具が無い。鎧は胸がべこっと凹み、鉄板が胸を押して少し苦しい。
「防具を外してくれないか」
イザベラとノラが二人掛かりで外してくれる。少し楽になった。
「すまなかったな」
ウーコンが頭を掻いている。
「まあ、命が無事でよかったよ」
ほっとしたのは事実だ。しかし、腕が痛い。
「ニョイボウの突きを右腕で受けた心算だったが、受け切れなかったということだな」
「受け切れないどころの話じゃないわよ」
イザベラが呆れたように言った。
「10メートルくらい跳ばされたから、私が直ぐに止めたのよ。
それで、ノラに治療させようと思ったけど、右腕の小手は外れて粉々だし、右手の骨はグチャグチャよ」
どうりで痛いわけだ。
「腕だけでは防げなくて、胸にも強い打撃を受けて、肋骨も折れてたわ。
それにその時は呼吸も止まっていた。それで」
イザベラは言い淀んで、横を向いた。
「イザベラが熱い口付けで魂を呼び戻したんです」
ノラが嬉しそうに言った。
「馬鹿な事言わないで頂戴。人工呼吸したのよ。呼吸が止まって5分もしたら蘇生できても、脳に障害が残るのよ。だから、私も必死だったのよ」
イザベラは真っ赤になっている。
「それはどうもありがとう。イザベラは命の恩人だな」
「違うわ、みんなで助けたのよ。ノラはハイヒールの最高の奴を何度もかけて、ジミーはポーションを掛けたり、飲ませたりしたのよ」
「そうか、みんなの協力で、命を取り留めたんだな」
ポーションは飲用と患部に掛けるものとに分かれる。共用できる物もあるが、通常は別に用意する。
肉体内部の損傷は飲用を使い、外部の損傷は傷に振りかける。その両方を使ってくれたんだな。
「ヒールとポーションを使いながら人工呼吸もしたのよ。馬鹿になっちゃわなくてよかったでしょ」
赤い顔で睨むように言って来た。
「ああ、助かったよ。一刻を争ったんだな」
これは心からの感謝だ。
「肋骨も腕の骨も折れた部分は回復したと思うですが、筋肉が回復しきれていない部分があるから、まだ痛みは有るです。2~3日は休養するですね」
当分休んでいたい。
どうにか体を起こし、ウーコンの肩を借りたりして家に戻った。
少しずつ痛みも我慢できるようになってきて、体も動くようになってきた。無理をしなければ日常生活はできそうだ。
帰ると既にシロウも戻っていた。
「お帰りなさい。リード、顔色が悪いですね。逆にイザベラは随分赤い」
「あ、赤くなんてないわよ。死にそうなリードを助けたから、力が入ってるだけよ」
「リード、死にそうになったんですか」
「ああ、ウーコンに殴り殺されるところだった」
シロウにもざっと経緯を説明した。
「なるほど、それは私も見たかった。次の時は私を外さないでください」
「二度とやらねえよ」
「だけど、俺もやられたんだぜ」
ウーコンが足を見せた。両足に傷が走っている。
「リードの斬撃を二発喰らった。俺は一発しか当ててないから、本当はもう一発殴っていいはずなんだ」
「馬鹿野郎。クリティカルヒットがでたら終わりだって言っただろう。こっちは死ぬところだったんだぞ」
そう言われれば魔剣の斬撃は手ごたえが有った。石の体にでも剣が通るんだな。
「俺も痛かったんだぜ、シロウに斬られたガーゴイルの気持ちが良くわかったよ」
確かに今回死ぬばかりだったが、魔剣の力を借りれば善戦はできたな。やはり二人に依存するだけじゃなくて俺ももう少し鍛える必要があるな。
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