リードVSウーコン
「いきなりなんだ。俺とウーコンじゃ力が違いすぎるだろう」
「いや、リードと初めて出会った時の一合はいい勝負だっただろう」
そう言えばそうかもしれない。あの時は転移直後でこっちは必死だ。ウーコンはオシショウサマを守る立場で、俺を倒そうという気持ちも薄かったのかもしれない。それでも凄い殺気だったが。
「俺も剣聖と呼ばれたことはあるが、ドラゴンを殴り倒すような奴とまともに戦うのは無理だぜ。
そもそも、なんで急にそんな話になるんだ」
「ああ、実は今日、ヴァレンティーナと戦ってみてね、気持ちが高ぶっているんだな。だから、もう少し体を動かしたいんだ」
Sクラス同士の激突なら見たかったな。ただでやるのはもったいないくらいだ。
「勝負はついたのか」
「30分くらい戦ったが、引き分けだな」
ヴァレンティーナも化け物だとは思ったが、ドラゴンスレイヤーと互角かよ。
「リードも強いんだろ。俺も見てみたいな」
「そうだよな、ジミーも見たいよな」
無責任な観戦者が口を出してきた。
ウーコンは増々やる気になっちまったよ。
「じゃあ、幾つか条件がある」
「ああ、なんだ」
「まず、赤の魔剣を貸してくれ。それから、どちらかの得物が相手に一撃入ったところで終わりだ。仮に俺の剣がウーコンに当たったらそこで終わりだ。俺の勝ちとか言うんじゃなくていいから終わりだ」
まず、死なないことが一番の目標だ。そのためには、手早く終わらせたい。
「うーん、一撃じゃあなあ、三撃でどうだ」
一撃でも死んじまうかもしれないのに、三撃かよ。
「わかった、基本三撃でいいが、クリティカルヒットが入ったら一撃でも終わりだ。俺は死にたくないからな。
それと聖女」
「はいです」
「ノラは救護班だ。俺が危なかったら全力で回復魔法を頼む」
「任せてくださいです」
「イザベラは審判だ。危なくなったら止めてくれ」
「ええっ、巻き添えを食って死ぬのは嫌よ」
「普通に死ぬかもしれない俺の身にもなってくれ」
「わかったわ」
俺は覚悟を決めて外に出た。
全員で近くの空き地に移動した。
こんなことなら、アイシャに頼んで防具に付与してもらうんだった。
「じゃあ、準備が出来たら、私が開始の合図をするわね。ウーコンも私がヤメって言ったらやめるのよ」
「わかった」
本当にわかったんだろうな。
俺はノラから借りた赤の魔剣を構えた。軽い。そういう魔法がかかっているんだろうな。
俺は魔剣に一度魔力を通し、少しして逆に魔力を受け取るようにしてみた。
体中に魔力が漲ってくる。
ウーコンは石猿だから魔力を満たした魔剣でも斬れるかはわからないし、殺し合いじゃないから、斬れ味を高める必要はない。むしろ、俺の身体能力を高めることに使いたい。
そのまま、身体強化の魔法を使い、筋力、視力など全てを最大に上げる。オーラのようなものが体に充満するのがわかった。
こんなに高揚するのは久しぶりだ。
口角が上がるのが自分でもわかる。
「いいぜ」
「こっちもいつでもいいぞ」
「ハジメッ」
イザベラの掛け声が耳に届いたかどうかで俺は地を蹴っていた。
5メートルの間合いを一気に詰めて、右手に垂らしていた魔剣を跳ね上げる。
ウーコンは意表をつかれたようだが、ニョイボウで弾くように受けた。
俺は二撃、三撃と続ける。先手は取れた。
これだけの身体強化ができていれば、スピードだけは互角以上だ。
三撃目を弾かれた時に、ぐるっと体を右に回転させ、そのまま魔剣を回す。
殴り合いのバックハンドブローというわけだ。その刃を低く、ウーコンの右脛に当てた。ザクっと言う手ごたえが有った。
ウーコンが苦痛の表情を浮かべながら、ニョイボウで突いてきた。
喉元に伸びた突きを、体を捻り紙一重で右に流す。
ドサッと転がり、受け身を取って、直ぐに起きる。
一気に後ろに飛んで距離を取った心算が、離れた分だけウーコンが詰めていた。
攻守が入れ替わり。ニョイボウが何発も繰り出される。
体を捻り、パリィで流し、ステップで下がるがついてくる。
正面からの一撃を躱せずに、魔剣で受けた。
凄い力だ。普通の剣なら折られていただろう。しかし、魔剣は折れない。
俺もぐっと引くように受けて打撃を弱めたが、それでも凄い力だ。ドラゴンスレイヤーは伊達じゃない。
そのまま、押してくるのを、体を地面に倒し、のめったウーコンの腹を蹴り上げて投げ飛ばす。
ハアッと息を吸い、一気に間合いを詰める。
ウーコンも突進してきており、中央でガキっと得物が交差するが、直後に横に流し、右の肘をウーコンのこめかみに叩きつける。凄い衝撃だ。身体強化していても、固い石を叩いた手ごたえで、肘が砕けるかと思う程だ。
しかし、ウーコンも一瞬ふらついたようで、左手に持った魔剣を右膝に突き刺すことができた。今度も手ごたえが有った。魔剣はウーコンにも効くようだ。
しかし、次の瞬間、
「伸びろ如意棒!」
正面から伸びるニョイボウに魔剣を戻すのは間に合わず、右手で胸を守ったが、腕ごと、10メートルは飛ばされた。
「ヤメエエエッ」
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