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魔宮再び

「ここは広くていいな。俺はこっちにしたいがどうだ」

「そうですね。移動方法には事欠かないので、田舎でも構いませんね」

全員の賛同を得て、郊外の家を買うことにした。

「ありがとうございます。それでは、書類を整えておきますので、明日以後店に来ていただけますか」


グレースの言う通り、翌日俺とイザベラ、それにジミーの3人が代表として店に行った。

内金として半額を支払い、契約は成立。

書類の整理と、家の清掃も入ってくれるそうで、一週間後に受け渡しを行うこととした。


「引っ越しの前にもう一度宮殿に行ってこようと思うがどうだ」

俺は意外と心配性なんだ。

「そうですね。一応ゴーレムは戻しておきましたし、滅多なことは無いでしょうが、ほったらかすのも良くないでしょうから、行ってみたいですね」

「じゃあ、明日はどうだ」

「ああ、俺はジェミニとクエストに行くから、みんなでいってきてくれるか」

ウーコンを欠くのは何かの時に不安だが、シロウが居れば大丈夫だろうな。

俺も随分二人に依存してしまっているようだ。

ノラはイザベラと街へショッピングに行くと言うので、ジミーを入れて3人で行くことにした。

大丈夫だとは思うが、ジミーには魔法付与の防具を着ていかせた。


シロウの転移魔法で宮殿手前の崖下に移動した。

「ワイバーンの声は聞こえないな」

「ウーコンが怖くてもう近寄らないんじゃないの」

その可能性が大きい。

俺達はてくてくと歩いて進んだ。

「ガーゴイルの残骸はそのままだね」

「そうですね。今のところ第三者が近づいた様子も含め、異変は感じられませんね」

「素材回収はしてないが、お宝が十分有るから、そんな気にもなれないな」

「そうですね。ガーゴイルの素材が必要になったら考えます」

回廊を飛び越して中庭に行くって手も有るが、何か変わったことがないか、前回と同じ道をたどった。

回廊の中は既にアンデッドは出てこない。ほどなく反対側に着き、中庭に降りる。

土は大体乾いているが、燃えた樹々はそのままだ。まだ、多少焦げ臭さが残っている。

「地表も樹木も妥当な状況ですね」

シロウが落ち着いた口調で言った。確かに侵入者の痕跡は感じられない。

宮殿の階段を上がり、転移の部屋の扉を開ける。

前回と同じ、いや、一体欠けて、五体のゴーレムがお出迎えだ。

「どうだシロウ、何か変わった様子はあるか」

「今のところ大丈夫ですね。ちょっと待ってください」

シロウは前回同様、スラっと魔剣を抜く。赤の魔剣も借りてきてある。

やはり紫の霧が現れたが、慣れたようで動きが早い。

間もなく霧は晴れた。

「大丈夫ですね。変わったことはありませんし、これでゴーレムを一時停止させました」

安心して部屋に入り、3人で転移陣に乗る。

ヒューンというような音が聞こえ、景色が変わる。

地下と思われる部屋に転移した。

扉を開けて長い廊下に出るとやはり違和感を感じる。

魔法の類がほとんど押さえられているのも前回と同じだ。

「あいかわらず不気味なところだぜ」

「もう、なんにも出ないんだよね」

「多分な」

ワッとか言ってジミーを驚かせたい衝動が湧くが、クエスト中の冗談はタブーだ。既に安全な場所だとは思うが馬鹿な真似は止めておく。

階下へ降り、お宝部屋を廻る。

「無事のようですね」

どの部屋も荒らされもせず、残りのお宝が残っていた。

マジックバッグをそれぞれ持ってきているので、お宝を適当に詰めて、帰路についた。

帰りはゴーレムの再起動を行い、宮殿から出た場所で転移した。


「ただいま」

帰るとイザベラとノラは戻っていた。

「お帰りなさいです」

「ウーコンは未だか」

「未だの様ね、遺跡はどうだった」

「不埒な墓荒しはいなかったよ。こないだと変わりなかった」

「私は今日の分を師匠の所に移動させたいと思いますがいいですか」

「ああ、そうだな。ここに置いて物騒と言うこともないが、あそこの方が安全だからな」

バッグを三つとも持って、シロウは転移していった。


暫くすると、ウーコンが戻ってきた。

なにか機嫌がいいように見えた。

「おかえり、なにかご機嫌か」

「ああ、今日は面白かった。

リード、ちょっと俺と戦ってみてくれ」

どうしてそうなる。


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