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聖女

お宝を懐に階段を上り、転移陣の部屋まで移動した。この部屋は魔法が制限されていないので、感覚的にも霧が晴れたような明るさを感じる。

全員で転移陣に乗り、地上へと転移した。

転移先の部屋では5体のゴーレムがお出迎えだ。

「もう用心もせずに移動してきたが、こいつらのスイッチは切れたままなんだろうな」

「そうですね。大丈夫のようですよ。でも、今後のために元に戻しておきましょう」

部屋を出てから、シロウが魔剣とペンダントを使い、紫の霧を発生させた。

行きよりも手際がいい。間もなく霧も消えた。

「これで、泥棒除けは大丈夫ですね」

外に出ると未だ地面は濡れていた。

トレントも含め、かなりの樹木が焼けて倒れていた。

空では数は減ったようだが、ワイバーンがギャーギャーと鳴いている。

「ここからならシロウの転移で帰ることもできるんだろ」

「それはできますが、途中に異変がないかは確認していきたいですね」

「じゃあ、歩いて行くです」

歩きにくいが、足場を確認しながら回廊に進んだ。

ワイバーンの鳴き声はずっと続いている。

「ウーコン、ワイバーンの様子を見てきてくれるか」

「ああ、任せろ」

さっとキントウンを呼び出し、あっという間に樹々の間を縫うように空に昇って行った。

「さあ、俺達は歩くぞ」

足元を濡らしながらも、回廊に着いた。

回廊を廻ると、見るまでもないが、死屍累々。アンデッドの死体の山。いや、元々死んでいるか。

「そうだ、ノラ、何か聖属性の魔法をやってみてよ」

「えっ、今ですか」

「そうよ。このままじゃ汚いでしょ。聖属性の魔法でパーッと綺麗にしてよ」

「そんなうまくいくですか」

「うまくいくといいなあってことよ」

「どうやればいいですか」

「私にわかるわけないでしょ。リード教えてあげて」

「酷い無茶振りだな。

ノラ、回復魔法はわかるだろ」

「はい、聖女ですから」

自称聖女な。

「基本は回復魔法だ。それとアンデッドは信仰に関係があるから、神をイメージしてくれ」

「わかったです」

ノラは回復魔法のように掌をアンデッドに向けた。呪文を唱える。

ヒールとそれほど変わらない透明な光が降り注ぎ、アンデッド達は姿も存在も薄くなっていった。

「おおいいぞ、その調子だ」

それ程の時間を掛けずに。全てのアンデッドが消え去った。

こいつは本当に聖女かもしれない。

「流石聖女ね」

「はいです。私は聖女です」

床や壁に汚れは残っているが、アンデッド自体は完全にいなくなった。たいしたもんだ。


回廊から外に出たところで、ウーコンが降りてきた。

「ああ、お疲れ様。ワイバーンはどうだった」

「行きの半分も居なかったな。殆ど巣に帰ったんだろう。向かってきた奴が居たんで2、3匹叩きのめしたらみんな逃げちまった」

良く追いかけなかったな。ウーコンにも自制心が芽生えたと見える。

「こっちはノラの活躍でアンデッドどもを綺麗にしてくれたぜ」

「おー、ノラ凄いな。流石聖女だ」

「はいです。私は聖女です」

二人ともご機嫌だ。

そのまま森に進むと、倒したガーゴイルの残骸が残っている。

「ここまで、異変は無いようですね」

「そうだな、もう確認もいいだろう。シロウ、転移させてくれるか」

「わかりました。家でいいですか」

「いや、錬金術の店に頼む。成果も報告したいし、お宝についての助言も貰おうじゃないか」

俺達はシロウの転移術で錬金術の店の前に戻った。

行きも早かったが、帰りはあっという間だ。


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