お宝
翌朝。
ウーコンに起こされて目覚めた。
悪夢を見たような気もするが、目覚め自体は悪くない。
「昨日の奴は夢じゃないよな」
「俺達3人がそろって白昼夢を見たのでなければな」
シロウもソファから体を起こす。
「残留思念と言うのですかね。残滓だと言うのに凄まじい力を秘めていました。もし、私達に敵意を持っていたらただでは済まなかったでしょう」
「ウーコンとシロウが揃っていてもか」
「魔剣とペンダントが揃っていても、私の魔力は封じられています。それに、あの王は霊体と見受けられました。レイスとはまた違った有りようでしたが、ウーコンの打撃が効かない可能性もありました」
「確かに魔力も膂力も通じないとなると厄介だな」
「まあ、ひと暴れしたかった気持ちはあるが、手ごたえがない幽霊は面倒だからな」
やっぱり暴れたかったんだ。
奥の三人を起こし、俺達は広間で朝食を摂った。
「昨日、亡霊が出たぞ」
ウーコンがいきなり言った。
「えっ、本当なの。やっつけた。みんな無事ってことはやっつけたんだよね」
「戦いにはなりませんでした。もし、戦っていたら、私やウーコンでもどうなったかわかりません」
世辞でも『リードでも』と言ってほしいところではある。
「そんなに手ごわい相手だったの」
「結局、戦いにはならなかったんだが、凄まじい力は感じたよ。
俺が見張り番の時に出てきたんだが、背筋がゾッとしたぜ」
「戦いにならなくてよかったです」
「それで、お宝は俺達にくれるとよ」
「えっ、本当。やったぜ」
ジミーが小さくガッツポーズをとる。
「まあ、なにがあるのかお楽しみだな」
「じゃあ、直ぐ行こうよ」
ジミーは気がせくようだが、ゆっくり朝食を済ませてから、全員で移動した。
地階への階段を下るが、なにか気配が明るいような気さえした。
「やっぱり魔法は使えないわね」
イザベラが炎を灯そうとしたが、やはり点かない。
階下は階上より狭かった。全体が地下だと思われるので、地階と呼ぶのはおかしいか。
部屋は四つあった。それなりの広さでどれも倉庫、または書庫と呼ぶべき部屋だろう。
一室は空。
次の部屋はおそらく宝物庫と言うべきだろう。
古代は硬貨が無かったのか、金貨や銀貨の類は無かった。また、美術が発達していなかったのか、王冠や真珠の首飾りなどもなかった。有ったのは延べ棒だ。見ただけなので正確ではないが、金、銀。ほかに希少金属のアダマンタイトやオリハルコンだと思われるものもある。これが、古代のお宝のようだ。
「すげえな。これで俺も大金持ちだ」
俺達は冒険で稼いでいるから、それほど金に執着はないが、金が有るに越したことはない。ジミーは貧しい生活をしていただけに、心底喜んでいるようだ。
次の部屋は道具部屋とでも言えばいいのか。ここでも魔力が使えないのでなんとも言えないが、魔道具と思えるような物が整理棚に色々置かれていた。
こちらは言うまでも無く、シロウが目を輝かせていた。
「これはまさしく宝の山ですね。一度には運べませんが、師匠に見ていただくのが今から楽しみです」
最後の部屋は書庫のようだ。
書棚に多くの図書が有り、鉄庫には地図や図面が多くしまわれていた。
「この本は読めないけど、持ち帰れば価値が有るでしょうね」
「これも師匠に見ていただいて、古代文字を読める方に研究していただきましょう」
どうやらシロウが一番喜んでいるようだ。
俺達は延べ棒、魔道具、図書のそれぞれ一部を各々のマジックバッグに入れて、この宮殿から撤退することにした。
外に出れば、魔法が使えるはずだから、お宝もここに残したまま、ここを秘密基地にしようというジミーの提案も有ったが、シロウ抜きでは簡単な移動はできないので却下された。
しかし、この場所を俺達の秘密基地にするのはいい案かもしれない。
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