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転移陣

「全員で行ったほうがいいか」

「どうしたもんかな。ウーコンとシロウで先発して危険が無ければ、全員で行くってのはどうだ」

「危険かどうかはどうやって伝えるですか」

「テレフォンが使えればテレフォンだな」

とりあえずここで使ってみると、問題なく使えた。

「もし、向こうに行って、繋がらなかったら一度戻ってくるでいいでしょうか」

「戻れるものならそれがいいな。ただ、一方通行ってことはないかな」

「そうですね、一方通行の可能性も有るので、テレフォンが繋がっても繋がらなくても、戻れるかどうか試してみましょう」

「それで、どっちも駄目だったらどうするの」

「その時は5分待って、全員で行こう」

「どきどきするです」

「可能性としては向こうで二人がやられてしまって、そこにのこのこ行くかもしれないからな」

「この二人を倒せる存在が居れば世界は滅亡するわ」

全員が同じことを思っているだろうな。


まず、二人が魔法陣に進んだ。

ヒューンというような音が聞こえ、二人の姿が薄くなり、じきに全く見えなくなった。

「やはり転移陣だったようね」

「ですです」

二人が居なくなると、心持ち不安を感じる。

ジミーもきょろきょろし始めた。

「大丈夫なんだよね」

何が大丈夫なのかは誰にもわからないな。

しかし、少し経つと、俺のテレフォンに着信音があった。

「リードだ」

「シロウです。無事に転移できました。今のところ危険はないようですが、そちらに戻れるか試してみますので、待機してください」

「了解」

音はみんなに聞こえるようにしておいた。

「聞いた通りだ、多分戻ってくる」

「心強いです」

少し待つと、またヒューンという音が聞こえ、二人が戻ってきた。

「戻ったぜ」

「向こうはどうでしたですか」

「とりあえず魔法陣だけの部屋に着いた、ドアを開けて見るだけ見たが、随分広そうな感じだったな」

「向こうへ行ってのお楽しみですね」

今度は全員で転移陣に乗った。

周りの景色が薄くなり、間もなく違う場所の様子が見えた。

ウーコンが言ったとおり、転移陣だけがある部屋で、ゴーレムが居ない分だけ部屋は狭い。殺風景な中に正面の扉だけは装飾が施されていて、縦長の取手も何か彫られているようだ。

「この扉は開けてみたんだよな」

「ああ、大丈夫だ。開けてみろよ」

扉を開くとそこから先は真っ直ぐに長い廊下が続いていた。幅は3メートルくらいか。見た感じ100メートルくらい続き、途中に左右にも通路が分かれているように見える。

俺はここで何か違和感のようなものを感じた。

「俺とイザベラのほかに索敵の魔法が使えるものはいるか」

今までの付き合いで大体わかっているが、念のため確認した。

「私はあまり得意ではないです」

「俺はできないが、ある程度気配はわかるな」

「私は索敵の魔法自体はできませんが、魔道具、この魔剣などの力で索敵は可能だと思います」

「じゃあ、一度部屋に戻ってくれ」

廊下に出ていた全員で部屋に戻る。

「ここで、索敵して見てくれ」

俺が声をかけると真っ先にイザベラが反応した。

「どういうことかしら!」

驚愕の表情を浮かべている。

「ほほお、これは、これは」

シロウは笑いだしそうな顔をしている。

「なにかおかしいのか」

「ああ、おかしい。ウーコンは特に変わったことは感じないか」

「そうだな、この近くには何も居そうにないことはわかるが、変わった様子はないな」

俺とイザベラは目を見合わせた。

「魔法が効かないのよ」

「魔法が効かない?」

「ああ、索敵の魔法をかけると、まるでこの世界がこの部屋だけのように感じる。目で見た通り、ずっと廊下が続いているが、索敵の魔法では扉から向こうが何もない。何も居ないんじゃなくて、何もないんだ」

「じゃあ、あの廊下は幻ですか」

「その可能性もないわけじゃないが、おそらくはこの部屋の外は魔法が効かないんだ」

俺達は不安な顔を見合わせたが、ウーコンとシロウはどこか楽しそうだ。

「イザベラ、掌に炎を灯してみてくれ」

「こうでいいかしら」

右掌を上に向けて、僅かばかりの炎を灯す。

「そのまま扉の外に出てくれ」

イザベラがドアを通ろうとすると、炎が吹き消すように消えてしまった。

「この部屋の外では魔法が使えないってことね」

「そのようだ」

さてどうするか。

「ふふん、俺に任せとけ。魔法なんか使えなくても魔物が出れば叩きのめしてやる」

「わあ、ウーコン頼もしいです」

「そうですね、もし魔物が出てもウーコンが居れば百人力でしょう」

「そうだな、じゃあ慎重に進むとするか」

とりあえず全員で廊下に出た。ジミーが一番不安そうな顔をしている。

「ジミー、ここの場所の図面か何かないのか」

「図面はないね。でも、ここは過去の文明の宮殿だと思うんだ。周りから守るようにゴーレムなんかも配置されている。魔法が使えないのもそのせいだと思う。侵入者とか暴れる者の力を削ぐためだね。だから、ここから先に強いモンスターが居たりはしないと思うんだ」

中々説得力と安心感があることを言ってくれる。

「少し試させてください」

シロウが魔剣をスラっと抜いた。


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