ゴーレム
「ノラはトレントを見たことがあるのか」
「はい、あるです。田舎では時々出てきましたね。力があって丈夫なので、中々厄介なモンスターでした。村人だけでは退治なんかできないので、冒険者を頼んだりしましたね。でも、ここのトレントはそれより大きくて、それを退治したウーコン達はやっぱり凄いです」
既に天候は回復し、雨は止んでいるが、燃えた者も含め樹々はびしょびしょになっている。
その濡れた草を踏みしめながら進んでいくと、中庭の中央付近にまた建造物があった。20メートル四方くらいの大きさの、中央を高くした宮殿のような外観をしている。
正面には入口らしい開き戸が見えていて、そこまで10段くらいの上り階段になっている。
「ここが、遺跡の中央なのか」
「ううん。まだ先があるはずだよ。文献だと『跳ぶ』っていう表記があるんだ」
「まあ、とにかく入るしかないよな」
「イザベラとノラはジミーを守りながら、正面から外れてくれ。シロウが正面に立って、ウーコンが扉を開けてくれ」
「この辺でいいでしょうか」
シロウは魔剣をすらりと抜いて、左右の手に下げる。
「じゃあ、開けるぞ」
「お願いします」
扉は鍵もかかっておらず、ウーコンが引くと扉は左右にスーッと開いた。
シロウに動きは無い。特に罠の発動とかはないようだ。
ウーコンも中を覗き込んだ。
「とりあえず、何か飛び出してくることはなかったな」
俺もシロウの横に並び中を覗く。
ここも灯りが点っているようで、中は明るい。
「ウーコンどうだ、そこまで行っても安全そうか」
「そうだな、今のところ何もないな」
俺達は慎重に階段を上り、建物の中に移動した。
中に入るとそこはエントランスのようで、正面にまた扉がある。扉はそれなりの装飾がされており、まわりの壁も大理石のように豪華だが、絵画とか装飾品は見られなかった。
「昔の文明は美術には興味がなかったようだな」
扉はここも両開きで、取手はそれぞれの扉に縦長についていた。
「じゃあ、さっきと同じ要領で開けるか」
ジミーを隅に守り、シロウが正面で剣を構えた。
「じゃあ、開けるぞ」
ウーコンが声を上げながら扉を開いた。
今回も罠や攻撃は無い。明かりは有るようだ。
「大丈夫そうか」
「うーん。今回は何とも言えないな」
中々物騒な返事が聞こえてきた。
「そうですね。今のところ襲ってきていませんが、安全とは言い切れませんね」
イザベラ達と離れ、俺だけ扉の正面に移動した。
中は幅15メートル、奥行き10メートルくらいに見えるが、その左右の壁に物騒なものが居る。
天井は低い部分でも5メートルくらい。中央部に近づくほど高く、一番真ん中は尖塔のように20メートル程に達している。
その低い部分に近い4メートルほどの高さの物体。
黒々としたそれは計6体有った。
「こいつはゴーレムか」
「そのようですね」
材質は何なのか、黒光りして、金属なのか石なのか。
1体の幅は3メートル近い。勿論、人型だが、人と言うにはあまりにも横幅が広く、まるで骰子のようだ。
今のところ動いていない。
「中に入れば動き出すってことかな」
「その可能性は高いでしょうね」
現時点では危険はないと思ったのか、3人も正面に移動してきた。
「ほんとだ、ゴーレムにしか見えないわね」
「未だ部屋には入るなよ。動き出すかもしれない」
「わかってるわ」
「わかってるです」
「わかってるよ」
いいトリオのようだ。
部屋に入らなければ危険はないようなので、外から部屋を観察する。
ここも美術品などは無く、シンプルと言ってもいい作りだ。
「あれがこの部屋の位置づけのようですね」
シロウの言葉に床を見ると大きな魔法陣が描かれていた。直径5メートルくらいのほぼ円形。
「おそらくは転移陣でしょうね。『跳ぶ』という言葉にも合致していますし」
それにはこの部屋に入る必要があるってことだ。
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