自己紹介
ジミーが泊っているのは割と近い宿だった。そこを精算して俺達に同行する。そんなに金があるわけではないだろうが、宿賃を踏み倒さないところは信用できるかな。
「じゃあ、行くか。シロウ、とりあえずギルドまで頼む」
俺達は家の陰に移動し、手をつないだ。
「え、なんか大魔術が始まるの」
黙ってはいないだろうと思ったが予想通りだ。こいつは喋っていないと死んじまうタイプだな。
俺達は瞬く間にラースターのギルド近くに移動した。
「うわー凄いね。転移魔法が使えるんだ。やっぱりお兄さんは凄いね」
感心はしているようだが、驚愕で声が出ないと言うこともない。転移することも予想していたのかもしれない。やはり中々のタマだな。
「ジミー、ラースターの街は知っているんだよな」
「うん、時々来てたからね」
「じゃあ、ここがギルドってのはわかるだろうが、俺達のことでやたらと騒ぐなよ」
「どうして、もうSクラスで有名なんでしょ」
「ああ、ウーコンがSクラスになったこともあって、俺達の顔は売れている。だけど、やたらと手の内を晒したいわけじゃないんだ。お前だって、知っている情報をやたらと吹聴しないだろ」
「うん、わかったよ。余計なことは言うなってことだね」
本当にわかったかどうか怪しいが、一本は釘を刺しとかないとな。
「リード、報告は私と二人で行きましょう。ジミーはみんなと先に行ってもらえば、目立たなくていいんじゃないかしら」
「そうだな、じゃあ先に家に戻ってくれるか」
ギルドのドアは俺とイザベラだけでくぐった。
受付にはソフィアが居た。
「お帰りなさい。報告ですか」
「ああ、これだ。素材の買取も頼む」
素材の鑑定に少しの時間待ったが、謝礼と買取料を受け取ってギルドを出た。
「リードはあの子はどう思う」
「そうだな。まあ、まず若いな。魔眼持ちと言うことで、最初は怪しく感じたが、腹の底は子供らしいんじゃないかな」
「あら、随分信用が高いのね」
「ん、イザベラは信用できないのか」
「私もだいたいリードと同じだけど、まだあったばかりだからね」
「万一騙されたとしてもそれはそれだな」
「あら、大人ね」
「いや、ウーコンやシロウと居ると大抵のことには驚かなくなっている。もし、あの小僧が魔王だとしても、そうなんだと思うだけだろう」
「はは、魔王は良かったわね。なにしろ魔眼ですからね」
イザベラも楽しそうな顔をしている。ジミーには何か人を喜ばせる物があるような気もするな。
「ここが、リードの家です。私達もここに住んでいるです」
「へえ、いいうちだね。僕も泊まっていいんだよね」
「そうですね。リードは泊っても構わないと言っていましたね」
4人は家に入った。リビングでそれぞれ椅子に腰かけた。
「さて、改めて自己紹介しますか。私は益田四郎といいます。四郎と呼んでください。隠し事をしないように最初から言っておきますが、別の世界からやってきました」
「へえ、ほかの世界から来たんだ。それでそんな不思議な力が有るんだね」
「俺はスン、ウーコン。俺はシロウとは国は違うが、やっぱり同じ世界からやってきた」
「へえ、よその世界には凄い人ばかりいるんだね」
「私はノラです。見た通り獣人です。私は元々こっちの世界です」
「じゃあ、僕の番だね。僕はジミー。両親が死んで、姉さんと田舎の村から出てきたんだけどね、魔眼があるのは割と小さい頃からばれてたんだよね。田舎だから魔眼とかギフトってのも情報がなくて、割と肩身が狭かった。それもあって出てきたんだけど、最初はラースターより東の街で働いたんだ。そこで暫くは居たんだけど、ちょっとトラブルもあってね、それでこっちに流れてきたんだ。姉さんはラースターで錬金術師の店に努めて、僕はこの辺の街をあちこち移動してるね」
「どこの錬金術師のところにいるんですか」
「ちょっと街はずれのエリザベスさんっていう人の店だよ」
「やっぱりそうですか。まあ、錬金術師は多くはないでしょうからね」
「やっぱりって、シロウさんエリザベスさんを知ってるの」
「ええ、割と最近ですが、弟子入りしました」
「へえ、それでそんな魔道具を身に着けているのか。じゃあ、姉さんの弟弟子だね。僕は本当の弟だから兄弟みたいなもんだね」
「ええ、そういう見方もできますね」
玄関でガチャリと音がした。二人が帰ってきたようだ。
「ただいま」
「お帰りなさいです。だいたい自己紹介が終わったところです。
びっくりしました。ジミーのお姉さんはシロウの姉弟子だそうです」
「やっぱりそうだったのね」
「イザベラわかってたですか」
「錬金術師は少ないからそうじゃないかとは思ったわ」
「自己紹介が済んだなら俺も改めて名乗ろう。リード、スミスだ。Aクラスの冒険者だ。一応この家の大家だな」
「こっちの世界の人ですか」
俺はシロウとウーコンを見た。
「まあ、腹を割って話そうと言うことで、その辺のことも話しました」
「なるほど、まあ二人がそれで良ければいいだろう。俺はこっちの世界の人間だ。たまたまウーコンやシロウの世界に転移して二人と知り合ったんだ」
「私はイザベラ。こっちの人間よ。他のパーティから追放されたところを拾ってもらったの」
「ああ、私もです。私の場合は囮で殺されかけました」
ノラが暗い表情で言った。
「ノラ、思い出すのは辛いかもしれないが、もう何が有っても俺達が守ってやるから気にするな」
「はい、ありがとうです。ちょっと思い出しちゃったです」
ノラが照れたように言った。
「さて、一応の自己紹介が終わったところで、お宝の話といきたいが、その前に腹ごしらえしようぜ」
「お腹すいたです」




