宝探し
「面白いです。私は行きたいです」
ノラが直ぐ話に喰いついた。こいつはお宝が好きだったのか、それとも宝探しの冒険が好きなのか。
「宝探しってのはギルドのクエストとはどう違うんだ」
ウーコンが不思議そうな表情をしている。
「ギルドのクエストはモンスターを退治することが主な目的だ。村を襲ってるやつを倒すとかだな」
「ああ、そうだな」
「それで、ついでと言っちゃあなんだが、魔石や素材も採取して金にする。こっちが目的になっているものもある」
「なるほど」
「今言ってる宝探しってのは、魔石や素材とは別の、よく言うのは古代遺跡から出る宝石とかがお宝だな」
「古代遺跡か」
「ああ、何千年か何万年か知らないが、古代には別の文明があったって言う話がある。その遺跡に宝石とか或いは魔道具みたいのが発見されることがあるらしい」
「ほお、魔道具も発掘されるんですか」
シロウも目を輝かせてきた。
「まあ、そういう話だが、普通のクエストと違って、引き受け手は少ない。胡散臭いわけだな」
「そんなことない。胡散臭くなんかないんだ」
ジミーが立ち上がって抗議の声を上げた。
「すまんすまん。ジミーの話を馬鹿にするつもりはないんだ。ただ、多くの冒険者はリスクの高さと成功した例の少なさから、あまり乗って来ないんだな」
イザベラとノラがジミーをなだめて座らせた。魔眼を持った、一筋縄ではいかない若造かとも思ったが、お宝に対する姿勢は一途なようだ。年相応に純粋なのかもしれない。
「確かに、お宝探しに行く冒険者はあまり聞かないわね」
「ああ、まず話自体の信憑性が低いものが多いし、途中の魔物が強力ってのもあるな。それに成功した奴はそれを隠すのか、成功譚ってのが噂でしか聞こえてこない。まあ、それでみんな二の足を踏むんだ」
「確かにでたらめな話もあるかもしれないけど、俺が掴んでいるのは確かな奴だ。いろんな文献も調べて、ここだってのがある。それもこの近くにあるんだ」
「へえ、どこなんだ」
そこでジミーはにやっと笑った。
「それは言えないよ。助けてもらったとは言え、今日あったばかりだしね」
中々慎重だ。まあ、当たり前だが。
「だけど、僕を連れて行ってくれるなら言っちゃおうかな」
ニヤニヤしている。本当は喋りたいみたいだな。
「ノラはジミーと行きたいようだが、みんなはどうだ」
「俺はノラが行くならいいぜ」
ウーコンはノラ次第だな。
「私も行くこと自体はいいけど、ジミーは戦えないんでしょ」
「うーん。狩れるのはゴブリン一匹くらいかな」
ゴブリン一匹なら、子供が棒きれ一本持っただけでも倒せる。
「自分の身は守れないわけよね」
「うーん、そうだね。でも、姉さんに魔法付与の装備を頼めるかもしれない」
「その話が確かならいいけど、遺跡に行ってジミーは死んじゃったってのは困るでしょ」
確かにそのとおりだ、ジミーも渋い顔をしている。
「遺跡には強い魔物が居るのか」
「そうだな、偶々モンスターが住み着いたってケースもあるだろうが、先人が仕掛けた罠や守護者が居たり、よく聞くのはゴースト系の魔物が多いって話だな」
「その魔物次第だな。強くても数が少なければ俺が叩きのめすが、何十匹っていうと、そいつらからジミーを守る方法を用意しないとならないな」
おお、ウーコンがやる気になったのか、ちゃんと物を考えているな。
「みんなが行く方向で考えているなら、ジミーにも少し情報を出してもらって、具体的な対策を考えたらどうかしら。それに慌てて、今日明日行こうってわけじゃないでしょ」
「えっ、これから行くんじゃないですか」
こいつは何を考えているんだ。
「いや、俺も今日行こうとは思ってないさ。お姉さんが言うように、俺の情報を基に話し合ってそれからだね。それに今日助けてもらって信用しているけど、もっと信頼関係を築きたいしね」
歳に似合わずまともなことも言うようだ。
「ジミーはどこに住んでいるの」
「今はこの街に安い宿を借りている。親はもう居ないから、ラースターの姉さんの所に転がり込むくらいだね」
金回りはいいわけではないようだな。
「じゃあ、リードさえよければ、これから家に来てもらったらどうかしら。泊めるかどうかは別にしても、お姉さんがラースターに居るなら、そう遠くないでしょうから、なんとでもなるでしょう」
「ああ、俺は構わないな。この前不足のベッドも買い足したから、ジミーがソファでよければ泊っても構わないぜ」
「じゃあ、そうしなさいよ。兎に角落ち着いて話をしたいじゃない」
俺達はジミーも連れてラースターに戻ることにした。




