トロル討伐
「さて、どういう具合にやるんだ。好きに暴れればいいのかな」
「ああ、好きにやってくれ。私も今まで好き勝手にやってきたから、あんまり連携ってのも面倒なんだよな」
うん。俺向きのパーティに入れたようだ。
「じゃあ、いくぜ」
俺は、筋斗雲に乗って上空に駆け上がり、ワイバーンの上に位置取った。
ワイバーン達もこちらを伺うようにしているが、簡単に上空に上がれるわけではないだろうな。俺は上から近寄り、片っ端から殴り倒した。
直後にヴァレンティーナが下から飛行術で昇ってきた。左右の手にそれぞれ大剣を振りまわし、やっぱり片っ端から斬り落としていった。
ふと下を見ると、ジョナサンが墜ちたワイバーンの素材を採取していた。あいつはマメだな。
俺とヴァレンティーナでだいたい10匹ずつくらいを撃墜するのにそれほどの時間はかからなかった。
20匹ほどの素材を採取するのは中々手間だと思うので、俺も身外身の法で分身を10匹程出して手伝った。忖度と言うようだが、俺も丸くなったもんだな。
「ジョナサンはいつも素材集めだけで、戦闘はやらないのか」
「そうだな、昔は一緒に戦っていたんだが、邪魔なんだよな」
「邪魔は酷いな。だけど、姉さんと一緒に戦っていて、何度も姉さんに斬られそうになったからな。それで、鎧はしっかりしたものを身に着けるようになったんだが、そのうち戦う方は姉さんに任せるようになったんだな」
おお、ジョナサンこんなに長く喋れるんだ。
「囲まれているようだな」
「ああ、気付かなかったな。こんなでかい連中の気配を見落とすとは思わなかったぜ」
「トロルは頭が悪いイメージがあるが、そうでもないようだな。ワイバーンに戦わせて、様子を見てたってことか」
「まあ、俺達にとってはどうってことないけどな」
「ジョナサン、お前にも少し分けてやるよ。30匹はいるだろうから、5、6匹やってくれ」
「うむ、了解した」
トロルたちは最初岩陰や木に身を隠していたが、今やその姿を現していた。3メートルを超すくらいの身長。腰布を巻きつけた程度で手に棍棒を持ち、確かに頭が悪そうに見える。小さい目は濁ったガラスのようだ。
「ガアアア」
一匹が吠えるのを合図のように、その間合いを詰めてきた。
俺達は逆に外に向かって駆け出した。
ジョナサンは戦斧を振り回している。ヴァレンティーナの弟らしい豪快な戦い方のようだ。
俺はまず正面のトロルに如意棒を5メートルほどに伸ばして殴りつけた。トロルは棍棒を持ち上げて受けようとしたが、棍棒ごと叩きのめす。わずかにそれて肩口にあたったが、骨は砕けただろう。トロルは横倒しになって喚いている。その間に左右から別のトロルが殴りかかってきた。一つは躱し、もう一方は如意棒で受け止めた。ふと横手を見ると、さっき叩きのめしたトロルが起き上がってきた。回復するって言ってたが早いな。
「グガアア」
ちょっと驚いていたら四方から殴りかかってきた。何発かは体に喰らった。どうってことはないが、俺は鎧なんかは着ていないから痛いことは痛いんだ。
だんだん腹が立ってきたな。
バレンティーナとジョナサンを見ると、楽々ではなかったが、1体づつ確実に首を跳ばしていた。なるほど、回復できないくらいの一撃を食らわせばいいんだな。
「ふん」
左右に殴られるのは我慢して、正面のトロルの脳天に如意棒の一撃を喰らわせた。
落ち着いて一撃必中を心がければ難しくはない。頭部全体が体にめり込んだ。頭蓋骨自体が砕けただろう。
コツを掴めば難しくない。1匹ずつ、真正面から頭蓋骨を砕いていった。体に何発も打撃を受けたが、痛いのさえ目を瞑ればどうってことはない。
数えてはいないが、10匹くらいは倒しただろう。やっと周りが静かになった。




