表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/118

依頼

俺達は依頼の受付をもう一度サラに確認してから外に出た。

「ギルドはああいう奴らが多いのか」

「多いな。冒険者は荒くれ者揃いだからな。まあ、昼間から暴れる奴は少ないが」

「で、依頼はなんだ」

「ああ、実は二つあるんだ」

俺は依頼の用紙と国の地図を広げた。

ラースターは街と呼ばれたりラースター地方と呼ばれたりする。ラースターの街はこの市街のことだが、ラースター地方っていうと街の外の森や荒れ地、幾つかの村などをひっくるめて指す言葉だ。

ノーマン王国自体が南に海、北は山地という地形で横に長いが、ラースター地方は王国の中央に位置する王都の東隣に当たる。ラースターの街も南側は港が有る港湾都市で、街から出て北は草原や荒れ地を経て割となだらかな山。その間に幾つかの村が点在している。

持ってきた依頼は平地を北に10キロ程進んだところにある草原で、そこも10キロ四方くらいだが、そこに住み着いているゴブリンが獲物だ。ハーラ草原とか言う名前だが、ゴブリンが多いのでゴブリン草原と呼ばれることが多い。

「一つはゴブリン退治だ。地図のこの辺だが、イハーラ村という村が有って、最近その近くにゴブリンが現れるので退治してくれって話だな。謝礼は安い」

「ごぶりん?魔物の種類か」

「ああ、ゴブリンは弱いモンスターだ。子供くらいの大きさだし、並みの一匹ならその辺の農民が棍棒で殴っても退治できる。だけど繁殖力が強いから、結構群れるんだな。十匹、二十匹が得物を持って襲ってくると農民じゃあ手古摺るな。まあ、ウーコンなら百匹でも軽いだろうが」

「見てみないとなんとも言えないが、まあ、難しくはなさそうだな」

「ああ、魔法を使う奴とかホブゴブリンという上位種は多少力が有るが、俺達の敵じゃねえな」

まあ、だからEクラス向けの依頼になってるんだけどな。

「で、もう一つは」

「今のは西側のイハーラ村の近くの話だが、ここのハーラ草原の中央から東側には結構なゴブリンが生息しているんだ。さっき言ったようにどんどん子供を産むから数は多い。百匹近い集団が幾つも洞窟や林を塒にしている。もう一つはそこの調査だな」

「調査?」

「ああ、モンスターが爆発的に増えて暴走するのをスタンピードって言うんだが、スタンピードが起こる可能性がないかの調査だ」

「うーん、俺にできるかな」

「なんとかなるだろう。別に皆殺しにするなってわけでもないだろうから」

「ああ、退治していいなら簡単だな」

もう一度ウーコンに地図で説明して俺達はキントウンに乗った。

キントウンだと10キロもひとっ飛びだな。俺達はハーラ村の入口で降りて、村に入っていった。


もうそろそろ夕方なので、村人が農作業から三々五々戻っているようだ。俺達を見て胡散臭い奴らだと思っているような顔だな。

「ちょっといいか」

俺は四十がらみの男に話しかけた。

「はい、なんでしょう」

男はウーコンをチラチラみながらおっかなびっくりで返事をしてきた。

「俺達はゴブリン退治を請け負った冒険者だがわかる人はいるか」

「ああ、はいはい」

男は離れたところに居る男に振り向いた。

「おーい、村長さん。冒険者さんがきてくれたよお」

村長と呼ばれた男が寄ってきた。がっちりしているが60近いように見えた。

「ああ、冒険者さんでしたか、ありがとうございます。なかなか、ギルドから返事がないんでやきもきしておりました・・・。そちらは」

やはりウーコンが気になるようだ。

「俺はリード。こいつは相棒のウーコン、猿人だ。実はこっちが本体で俺は手伝いなんだ」

「そうですか・・・。よろしくお願いします」

まあ、不安な顔はするだろうな。

「半月ほど前からゴブリンが村の近くに現れるようになりまして、だいたい5,6匹くらいなので村の若い衆が鋤鍬持って追っ払っているんですが、なかなかいなくならないもんで、これ以上増えたら厄介だと思いまして依頼をだしたんです」

「そうだな、早く手を打つに越したことはないな。俺達は草原全体のゴブリンの調査も請け負っているから、今日はこの近くの奴を退治して、明日は少し足を延ばす心算なんだが、今夜一晩の宿を頼めるか」

「わかりました。では、あそこが私の家なので、客間みたいな上等なものは有りませんが、どうぞお泊り下さい」

「ああ、ありがとう。とりあえず、近くの奴らを叩きのめしてくるよ」

「お願いします」

村長と近くにいる数人の村人が深々と頭を下げた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ