祝杯
俺達はサイクロプスの魔石や素材を手分けして集めた。
「お願いがあるのですが」
「なんだい」
「このサイクロプスの眼球をいただきたいのですが」
「ああ、いいんじゃないか。俺達は基本的に素材の稼ぎは公平に分けているが、ざっくりだからな。目玉の一つくらいシロウがとってもいいだろう。なあ、ノラ」
「勿論です。シロウの活躍は凄いですからね。錬金術につかうですか」
「ええ、そうです。この材料はいい効果が出ると思いますよ」
「それじゃあ今日の冒険はぼちぼちいいかな」
「そうですね、これだけ狩れれば十分でしょう」
俺達はシロウの転移魔法でサーギの森を後にした。
移動が省略できることもあり、時間的にはまだ早めなので、ギルドはそれほど混んでいなかった。
「お帰りなさい。今日も大漁ですか」
「そうだな、わりと珍しい素材もあるから買取を頼む」
俺は奥の解体場に行ってマジックバッグを開く。
「この魔石は随分でかいな。なんの魔石だい」
「ああ、これはサイクロプスだ。20メートルくらい有ったな」
「20メートルは凄いな。サイクロプス自体も珍しいが、随分でかい奴だな。
サイクロプスの魔石はこんな感じの色か」
職員は両手に余る朱色の魔石をまじまじと見ていた。
「勉強してくれよ」
「いやいや、いつも言うけど、査定自体は事務方の仕事だからな」
「いやいや、親父さんの鑑定がものを言うんだろ」
まあ、他愛のないやりとりだ。
ギルドで換金が終わったが、時間も多少早いので、俺達は割と行きつけにしているレストランに行った。臨時収入もあるしちょっと奮発したい気分だ。
「あら、奇遇ね」
店に入ると先客が居た。なんとウーコンとイザベラだ。まあ、行きつけだから不思議ではないか。
「今日は大物を仕留めたから贅沢しようと思ってな」
「何をやっつけたの」
「サイクロプスのでかい奴だ。20メートルはあったな」
「へえ、それは凄いわね。ウーコン抜きでも力を見せたわね」
「ああ、ウーコン並みの冒険者がもう一人いるってことだ」
シロウは誰かなって顔をしている。
「丁度よかった。実はみんなに相談したいことが有るんだ」
「ウーコンが相談とは珍しいな。なんだい」
「実はほかのパーティに声を掛けられたんだ」
「えっ、ウーコンどこかに行っちゃうですか」
ノラが驚いた表情そのままに心配を口に出した。
「いや、虫が良すぎるかもしれないが、できるなら掛け持ちでやらせてもらいたい」
「そういうことか。ギルドにも聞いてみなくちゃならないだろうが、俺達から抜けるっていう話じゃなければ構わないだろ。なんて言うパーティーなんだ」
「ジェミニだ」
「えっヴァレンティーナですか」
「ああ、たまたま闘技場で有ったんだが、彼女に気に入ってもらえたようでね」
「なるほどな。互いの実力を考えるといい組合せなんだろうな」
それに性格も会いそうだな。殺戮者同士だし。
「ノラはどうなの」
「ウーコンが居なくなるかと思って吃驚したですが、そうじゃないならいいです。ウーコンが活躍できるなら賛成です」
「ありがとう」
「じゃあ、オッケーってことね」
「ああ、オッケーだ。じゃ、祝杯と行こうぜ」
俺達はジョッキを合わせた。
「ウーコンの門出を祝って乾杯です」
「じゃあ、手紙を送らせてくれ」
「ああ、連絡先を聞いてきたんだな」
「ええ、あっちは元々Sクラスの冒険者だから、テレフォンくらい普通に持ってるのよね」
「魔道具は便利だな。シロウなにか掘り出し物が有ったら、また教えてくれよ」
「そうですね、見ておきます」
ウーコンも同じレベルの仲間が出来て、俺達の環境も少しずつ変化してきたようだ。




