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サイクロプス討伐

「あれがサイクロプスだ」

「一つ目入道ですか。我が国でもリードに撃退してもらいましたが、この国のは桁違いに大きいですね」

「そうだな、サイクロプスにも種類があるが、こいつは特に大きい奴だな。俺もここまででかいのは初めて見るぜ」

「巨人と言っても限度があるです。これは大きすぎるです」

サイクロプスは気付いたようで、顔をこちらに向けてひねった。

「あああ、気付かれたみたいです」

サイクロプスが巨大な棍棒を持ち上げようとする寸前に、シロウが魔剣を天に向けて垂直に掲げた。

直後、サイクロプスの動きが止まった。持ち上げかけたところで棍棒も動きを止めている。

「シロウの幻術が凄いのはわかったが、こんなでかい奴まで止めることができるのか」

「さっきも言いましたが、魔剣の力が大きいんですね。正直言ってこの魔剣を使うのは楽しくて仕方ありません」

うん。本当に楽しいんだろうな。

「さて。で、どうする。流石に斬れば正気に戻るんだろう」

「そうですね、ノラに魔物の得物を無力化してもらいましょう」

「えっ、私の出番ですか」

「ええ、舞空術で上に上がって、右腕の付け根を斬ってください。この辺を」

そう言って、自分の右腕の付け根の内側を示して見せた。

「魔剣の殺傷力は凄まじいのでどこでも斬れるかもしれませんが、やはり多少柔らかい部分を狙った方がいいでえしょう。そこを斬れば棍棒を振り回すことはできなくなるでしょう。

それと、普通は体を刺突すると筋肉が収縮して剣が抜けなくなることがあります。魔剣は大丈夫でしょうが、万一深く刺さって抜けなくなったら、慌てずに手を放してくださいね。剣が抜けなくて動けずに魔物にやられる間抜けが時々いますから」

「はいです。斬るより刺した方がいいですか」

「いえ、今言ったのは刺したとき注意することですが、ノラが斬れそうだと思うなら斬っても構いません」

「俺はどうする」

「リードは一つ目の前まで昇って囮をお願いします。魔物が正気に戻った時にノラの危険を減らしたいので」

囮か。俺もこんな巨体だと少しは怖いんだが。まあ、ノラのリスクを減らすには仕方ないな。

「わかったぜ。で、シロウは」

「私は現場監督と言うことで」

ホントかよ。


俺はシロウの指示通り、サイクロプスの単眼の前5メートルくらいに待機した。こいつが動かないとわかっていても、でかい一つ目で睨まれた位置に身を置くのは気持のいいもんじゃないな。大声でもあげて跳びかかりたい気分だぜ。

「じゃあ、ノラ、お願いします」

シロウの合図でノラが魔剣に魔力を注いだ。ただでさえオーラが溢れる赤の魔剣がギーンと音を立てだした。その音がキーンと聞こえるようになったところでノラが動いた。

「行きますです」

空中からさっとサイクロプスの腕の付け根に斬りつけた。脅かされたから刺すのは怖いのかもしれない。

ザクっという音が聞こえたみたいに赤の魔剣が振り抜けた。

「ガッ。グオオオオ」

痛みで正気に戻ったらしいサイクロプスが左手を右の脇に伸ばす。既に巨大な棍棒は取り落とされ、どーんと言う音と共に地面に食い込んだ。右の脇の下からはゴボゴボと血が噴き出している。

一呼吸後に、俺が正面にいるのに気づき、凄い目でこちらを睨みつけた。

「ガアアアアッ」

咆哮を上げ、無事な左手をこちらに伸ばそうとした時に、つんのめるようにして前に倒れかかった。

俺が飛行術で躱すと、サイクロプスは右膝をつき、左足で踏ん張るように体を支えていた。

見ると、右足首の辺りから勢いよく血が噴き出している。シロウが斬ったようだ。怖い現場監督だぜ。

「ノラ無事か」

「はいです」

ノラはモンスターの血で益々赤くなった魔剣を下げて地に逃れていた。

「ゴオオオ」

サイクロプスが左手を振り回す。俺は距離を取って躱したが、逆にシロウが前に飛んだ。

スパっと言う音が聞こえたようなのは幻聴か。

人の体くらいの太さのサイクロプスの左手首がドサッとばかりに地に落ちた。魔剣の切れ味とは言っても凄まじいな。剣の実戦経験は少ないと言っていたようだが眉唾ものだな。

「グオオオオオンン」

既にサイクロプスは戦意を喪失したようで、座り込んで慟哭している。

シロウはサイクロプスの左肩辺りから跳びかかるようにして青の魔剣を振るった。

サイクロプスの首が3分の2ほどザックリ切れて、右に傾きながらその自重で残りの部分も千切れていった。

ドオーーンという音と共にモンスターの頭部が地に落ちた。

俺にはシロウがモンスターに見えるな。


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