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巨人

「トリオンさま、すてきーーー」

闘技場は黄色い声援が耳をつんざくようだった。

「中々だったわね」

「そうだな。危機感を煽るとこなんかはうまかったな」

「えっ、わざと苦戦したってこと」

その時ウーコンの隣にどさっと座る二人組がいた。

「流石にSクラスのウーコンだな。よく見ている」

「おお、ヴァレンティーナ。あんた達も来てたのか」

「ああ、私達は時々見に来るが、二人は初めてか」

「俺は初めて来た。イザベラに案内してもらったんだ」

「ほかの仲間はどうしたんだ」

「俺が邪魔というわけではないようだが、俺が暴れすぎるとほかの連中の出る幕がないってことで、今日は抜けてきた」

「うん、わかるぞ、わかるぞ。私もジョナサンと二人だけのパーティなのはそういうことだ」

「なるほど、そうだったんですね。強者の悲哀ですね」

「そういうことだっ」

ドンっとウーコンの肩をその分厚い掌で思いっきり叩いた。

「流石に痛いぞ」

「はは、すまない

 おっ、次の試合が始まるぞ」

競技場に目をやると両端の入口からそれぞれ剣闘士が入場してきた。

右手からは2メートル程の巨漢が全身を覆うプレートアーマーに兜の前面だけを上にあげて出てきた。左右の手それぞれに諸刃の戦斧を光らせている。

左手からは中肉中背の戦士。軽鎧に身を包み、左手には丸い盾バックラー、右手にはメイスを携えていた。

「剣闘士同士の戦いはモンスターと違って鎧を着こんでいるから、剣や槍よりもああいったメイスや斧の方が使いかってがいいんだよな」

「なるほど、Sクラスのヴァレンティーナさんの解説を聞きながら、試合が見れるなんて特等席ですね」

「あんたはイザベラだったか。同じ冒険者同士なんだから呼び捨てで構わないぞ」

「ありがとう。じゃあヴァレンティーナ、解説をよろしくね」

「はは、任せとけ」


「ノラまだ行けそうか」

「はいです。ヒールをかけてもらいましたから、もう元気です」

「この森にはまだいろいろいるようだが、1キロ程先に大物がいるようだ。そっちに行ってみよう」

「楽しみですね」

シロウは表情には出ないが、本当に楽しいんだろうな。

3人で密集する樹々を躱しながら進むと、広場と言うほどではないが、少し樹々が疎らな場所に出た。

「あれだな」

「えっ、どこですか」

「見上げた方がよく見えるでしょう」

「見上げる、上ですか

 えっ、あああれですか」

そのモンスターは人型だが、頭部は20メートル近く上方にあった。

大きすぎて前を見ていると足や腰くらいしか目に入らない。半裸だが、腰には粗末な布を巻いていた。頭部の中央には巨大な単眼。髪はぼさぼさ。一つ目の巨人だが、野人という雰囲気だ。右手には特注品かと思うような大きな棍棒をぶら下げていた。いったい何の木でできているんだ。


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