祝賀
俺達は翌朝、気持ちのいい目覚めを迎えた。
体は流石に疲れていたが、討伐の達成感は非常に高いものだった。
「おはよう」
みんな表情が明るい。
俺達は朝食を済ませ、ゆっくりとギルドに向かった。
まだ昼には相当時間があり、早い到着だと思ったらギルドにはかなりの冒険者が詰めかけていた。
昨日戦った者たちはもちろんだが、参加しなかったクラスが低い冒険者も多かった。
「おお、よく来てくれたな英雄たち」
俺達が食堂兼酒場に顔を出すと、直ぐに声をかけてきたのはバレンティーナだ。満面に笑みを浮かべている。
「おはようございます。みんな早いですね」
「ああ、昨日はみんな早く帰ったので、武勇伝を聞きたい連中が早くから出てきたんだな」
早めにきた者達はどんどん始めているようで、ヴァレンティーノも赤い顔をしていた。
「まあ、兎に角座れこっちだ、こっち」
既に出来上がっている酔っ払いに引っ張られて、俺達は上の方の席に着いた。
ギルド長、アレックス、ジョナサン達の顔が有った。
「おお、キントウンのメンバーだな。よく来てくれた。昨日は期待に応えてくれたな。まあ、まずは呑んでくれ」
この人も既に真っ赤な顔をしている。
「ウーコンだったな。君の打撃には脱帽だ。俺も何度かドラゴンと戦った経験が有るが、あんな見事に殴り倒したことはない」
アレックスがウーコンにエールを注いでくれた。Sクラスに注いでもらえるとは名誉なことだ。というか、やっぱりこの人は常識人で威張ったところがないな。手柄を奪われてエールを頭からぶっかけられないか心配していた俺は一安心だ。
「ふん、何言ってやがる。あんなのはまぐれだろう。本当は俺がとどめをさすはずだったんだ」
うん、やっぱりこいつか。
「これでもくらえ」
ジョッキを右手に持ってエールを掛けようとしたアーロンの腕がガっと掴まれた。
「やめておくんだな」
ギルド長のベンジャミンが真っ赤な顔を怒らせてアーロンを睨みつけた。
「放しやがれ」
アーロンも真っ赤な顔だ。こいつも相当アルコールが入っているな。
「やめろと言っているんだ」
二人は暫く睨み合った。
赤鬼同士の睨み合いは中々迫力がある。まあ、部屋全体が既に喧騒に包まれているせいで、それほど騒ぎにはなっていない。
少しするとアーロンが腕の力を抜いたのがわかった。ベンジャミンも掴んでいた腕を放す。
「仕方ねえな。ギルド長さんの顔に免じて勘弁してやる。だが、次は俺がドラゴンを倒すからな」
それだけ言うとアーロンは仲間が居るテーブルに戻っていった。次なんていつだよ。そんなしょっちゅうドラゴンが現れたらたまらないな。
「わしはそろそろ挨拶に行ってくる。君達はどんどん飲んでくれ」
ギルド長は俺達にそう言って壇上に上がっていった。
「みんな、よく集まってくれた」
ギルド長の挨拶が拡声魔法で始まると、喧騒は少しずつ収まっていった。
「昨日参加してくれたみんな。ありがとう。お疲れ様。
みんなのお陰で街は救われた。今日はぞんぶんに飲んでくれ」
おおおおーーーっと言う反響と共にジョッキが打ち合わされた。
「まだ話はあるが、飲んだまま聞いてくれ
まず、昨日の働きの報酬だが、参加者全員に報酬を払わせてもらう。ただ、王都や領主からも褒賞金が下されると思うので、それと合わせて支払いたいので少し時間をもらいたい。
次に個別の賞だが、ギルド長として二人の者に感謝状と記念品を贈りたい。
ウーコン、シロウ、前に出てきてくれ」
ウーコンとシロウが壇上に上がっていく。
「二人は昨日の討伐の中で特に活躍した。ドラゴンを倒す直接の働きがあった。それを賞したい」
まず、ギルド長名で感謝状が贈られた。
「それに伴ってランクアップを認証する。スン、ウーコン。AクラスからSクラスにランクアップ。マスダシロウ。BクラスからAクラスにランクアップ」
おおおーーというどよめきが広がった。やはりSクラスはみんな特別な思い入れがある。あの活躍からは当然だが、冒険者達にとっては驚くべき事象だと言えるだろう。
ウーコンがSクラスの力を持った化け物だと言うことはわかっていたが、この短い期間にSクラスに上り詰めるとは感慨深いものが有るな。
もうそれからは昼間からどんちゃん騒ぎだ。ウーコンもシロウももみくちゃにされながら笑っていた。




