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激戦

「グウルオオオオッ」

ドラゴンは立ち上がり、咆哮を上げている。

翼をバサバサと振りながら少しのけ反るようにバランスをとった。

「ブレスが来るぞおっ」

飛行隊は慌てて側面に逃げる。前方向の魔術師達は慌てて風魔法の盾を構える。どんどん重ね掛けしていく。

ゴオオーーという音と共に炎のブレスが吐き出される。

直撃を受けた者はおらず、魔術師達は風の盾でどうにか凌げたようだが、みんな必死の顔つきだ。

間を置かずに飛行隊はどんどん飛び掛かっていく。ドラゴンも翼をバサバサ振りながら右へ左へ体を移動するが、小回りはこちらの方がきく。

最初の攻撃によるドラゴンの損傷も無いわけではない。皮膚や鱗を見ると、それなりに傷や焼けた跡も見える。

俺達は空中を旋回しながら、何度でも斬撃を続ける。今のところ負傷者はいないようだが、普通の敵なら屠れる打撃で大して効果がないと言うのはメンタル的に辛い。

ドラゴンがブワッと翼を羽ばたき、その巨体を上空に持ち上げた。

俺達もそれに続き、顔の前面には位置取らないように注意しながら攻撃を仕掛ける。ヘヴィー級のボクサーに大勢で群がるフライ級のようだ。少しでも相手の体力を削ることと、こちらが一撃を喰わないように注意力を維持していく。

よく見ると手数が多いのはウーコンとヴァレンティーナだな。それぞれニョイボウと双剣で滅多打ちにしているが、それでも重いダメージは入らないようだ。

ゴオオーーと再びブレスが吐かれた。タイミングはつかめたので、今のところそれを喰らう奴はいない。ドラゴンは怒り狂い、両腕や翼、尾をめったやたらと振り回す。みんなギリギリで躱しているが、やはり心理的な圧迫感が強いな。

今度は地上に向かって、ゴオオーーとブレスが吐かれた。

飛べない戦士が巻き込まれたようだ。

しかし、その隙に俺達は斬撃をどんどん入れる。攻撃を重ねることで、ドラゴンの傷もいくらか増えてきたようだ。

「野郎っ」

ウーコンが吠えながら上空からニョイボウを打ち下ろす。

見るといつもは直径10センチくらいのニョイボウが倍くらいに太くなっている。長さもウーコンの身長よりかなり伸びている。

ゴオオンという音がドラゴンの頭部から聞こえた。ウーコンの打撃が諸に入ったようだ。

驚くことにずっと不死身性を保ってきたドラゴンが横倒しに地上に落ちた。

ドッゴオオオーーンという大音声と共に相当な砂煙が立ち込めた。

なんて一撃だ。こいつは化け物だとは思っていたが、ドラゴンを叩き落すとは思わなかった。

「へへん。見たか」

どや顔をしている。

しかし、砂煙が収まるとドラゴンは再び立ち上がった。少し頭を振っているところをみるとダメージはあるようだ。

「グウウウウオオオッ」

再び雄たけびを上げて空中に飛び上がった。

俺達も攻撃を続けるが、今度はドラゴンもウーコンを注視しているようだ。

その時、俺の隣に気配があった。

「お待たせしました」

「おお、シロウ」

「リード、お願いがあります」

「なんだ」

「私がドラゴンの上から液体をかけるので、そうしたらすぐにファイアーボールを撃ってください」

「おお、わかった。液体はなんだ」

「特製の油です」

見ると、シロウは手に種子島を短くしたような道具を持ち、そこから出たパイプは背中の袋に繋がっている。

「それじゃあ、お願いしますよ」

俺とシロウはドラゴンのより上空に舞い上がった。

ドラゴンが気にしているのでウーコンは中々近づけないが、その分、アレックスやヴァレンティーナ達が斬撃を続けている。ドラゴンもイライラしているようだ。

「行きますよ」

シロウは俺に一声かけるとドラゴンに向かった。

「飛行隊は一度離れてくださーいっ」

とてもでかい拡声魔法で避難を呼びかけ、種子島から液体を発射した。

飛行隊が離れるのを見ながら、俺はドラゴンの翼の付け根辺りにファイアーボールを撃ちこんだ。

ドオオンという音の直後に真っ青な炎が立ち上った。ドラゴンの翼を轟々と燃やしていく。

「グアアアヲヲオオッ」

ドラゴンが身を捩りながら落下していく。

その巨体がドーンと地上に激突した。


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