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戦闘開始

遅れていた冒険者も次々と転移してくる。

おそらく装備を変えてきたんだろう。ジョナサンのような全身鎧を身に着けている者も数名見える。

「シロウが来ないわね」

「ああ、あいつの働きには期待しているから、待ち遠しいな」

「なあに、シロウが来る前に俺が片付けてやるよ」

ウーコンが頼もしいことを言ってくれるが、流石のウーコンでも一人の力でドラゴンは倒せないだろう。

「先に徒歩で向かったものと合わせて、現在の転移してきた冒険者は35名だ。まだ来るだろうが、ここで出発する。現地近くなったら、ドラゴンを刺激しないように静かに着陸してくれ。じゃあ、行くぞっ」

「おおーー」

アレックスの号令で20名余りが飛び立つ。ウーコンも目立たないように、靴を履くようにキントウンを両足にそれぞれ纏わせている。

俺達は不安そうなノラに手を振って飛行隊の一員となる。

「シロウは間に合わなかったわね」

「まあ、おいおい来るだろう」

俺達のすぐそばにはジョナサンが全身鎧で飛んでいる。やはりかなりの魔力量なんだな。

姉のバレンティーナはアレックスと並んで先頭を飛んでいる。

見ると、そのすぐ後ろには「銀の暴風」の4人が飛んでいる。確かローガンと言う名前だったか、仲間の重戦士は飛行魔法が使えないらしく、徒歩で先行して行ったようだ。


数キロ進んだところで、アレックスが高度を下げるように手振りで指示した。

途中林などもあったが、多くは岩山で、部隊が着陸した場所も剥き出しの岩に土の地面と少しばかりの灌木が生えていた。平らな場所は有るが、道はない。

「徒歩で出たチームが間もなく到着する。それまで待機だが、索敵ができる者はドラゴンの位置を確認しておいてくれ。この先1キロ以内のはずだ。ただし、静かにな」

アレックスの様子を見ると手にテレフォンを持っている。あれで前線本部などと連絡を取っているんだろう。

暫く待つと、徒歩チームが到着した。道なき道を掻き分けてきたようで、息が切れている者も居る。

「準備はいいか」

「ちょっと待ってくれ」

また、アーロンが声を上げた。

「一斉にかかるんだろうが、俺達に翼の付け根をやらせてくれ。うちのローガンは破壊力には自信がある。飛べないから俺とオリバーで空中に持ち上げるが、上から落とせばかなりのダメージをあたえられるはずだ」

大した自信だが、奴らなりに攻略を考えてはいるようだ。

「いいだろう。翼の真ん中をやってくれ。俺が右の翼膜をやる、左の翼膜をバレンティーナがやってくれ」

そのまま、次々と名前を呼んで攻撃箇所を指示していく。俺とイザベラは左の首筋だ。首も結構固いんだよな。

「一撃喰らわせたら、様子にもよるが、一度飛行隊は引いてくれ。射線を邪魔しない位置まで引いたら魔術師は一斉に攻撃魔法を撃ってくれ。基本的に頭部が目標だ」

あらかたの指示が終わるとあたりはシーンとした。全員の緊張が感じられる。

「いくぞ」

アレックスの号令でドラゴンの方向に進む。間もなくドラゴンが伏せるようにしている岩場に到着した。徒歩チームも追いついてくる。

ドラゴンは端末で見た映像と変わらず、眼を閉じて休んでいる。こちらの計画通りだ。しかし、やっぱりこいつはでかいな。でかいというだけでもとんでもない脅威だ。


「かかれっ」

アレックスの、大きくはないが、低く通る声で戦闘が開始された。

「銀の暴風」のアレックスとオリバーが真っ黒な鎧に身を包まれた重戦士を抱えて空高く上がっていく。あれがローガンだな。脇にはでかいハルバートを抱えている。

飛行隊はどんどん空中に飛び上がっていった。魔術師達は距離を取って詠唱を始めている。

徒歩チームは気配を消しながらドラゴンの横から近づいていった。

「いけ」

アレックスの掛け声で重戦士ローガンが放擲された。重力によってスピードがあがる。ハルバートをぐるぐる旋回させて勢いをつけてドラゴンの翼の付け根に叩きつけた。

ほとんど同時に飛行隊は襲い掛かった。

アレックスは右の翼に、バレンティーナは左の翼に。俺とイザベラは首筋に斬りかかった。

あちこちでガンッとかゴンッという音が聞こえている。俺は剣に魔力を流し込み、最大の力で斬りつけた。その辺のモンスターならバターのように斬れる斬撃だが、ガガガっと衝撃を感じた。

「グウウウゴオオッ」

ドラゴンが凄まじい咆哮を上げて体を起こした。

飛行隊は一斉に距離を取る。

ドッゴオオオンという耳をつんざくような音と衝撃を感じる。魔術師達が撃った攻撃魔法がドラゴンを直撃した。ほとんどがファイアーボールだ。これが一番破壊力があると言われている。

「ゴウウウウ」

上がる砂塵と爆炎の中、ドラゴンが翼をバサッと開いた。あまり損傷は無いのか。

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