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サラマンダー討伐

「おお、うまいもんだな」

俺が声をかけるとシロウはゆっくり地面に降りた。

「黙っていて申し訳ありませんでしたが、私は向こうの世界で試したことが有るんです」

「日ノ本にも舞空術があるってことか」

「私は系統だって習ったわけではないので、確かなことは言えませんが。」

シロウはちょっと首をかしげるようにして

「いろんな魔術の本には目を通しました。それで、魔力を練るという感覚はなんとなくわかりましたので、おそらく我が身を空中に浮かべることは可能だと思いました。それで、試してみたところ、僅かに体を地面から浮かべることはできました。しかし、そこまででしたので、リードに教えてもらえることはいい機会だと思ったのです」

自力で舞空術を考え付くとは、やはりこいつはただ物じゃないな。

「じゃあ、リードは今のを続けて10メートルくらい上に上がれるまでやってみてくれ。だいたい10メートル上がれれば、飛行術は直ぐできるはずだ。

イザベラは安定して体を浮かべるようになるところからだな」


――――――――――――――――――――――――――――


ウーコンとノラはギルドにやってきた。ウーコンは気楽な雰囲気で来ているが、ノラは緊張していた。ノラ自体はラースター街にも、このギルドにも慣れてはいるが、ノラ自身も獣人であり、以前も絡まれたりしたことはある。モンスターと戦うのはウーコンが居れば安心だが、人間にからまれるのは不安だった。

「ノラ、適当な依頼があるか見てくれるか」

ウーコンはこの国の字が読めないので、ノラが依頼を探す。

「サラマンダー退治なんかどうですかね。場所も遠いせいか、報酬が高いようですが。ただ、火山地帯なので熱いかもしれませんがです」

「俺はすこしくらい暑くても大丈夫だけど、ノラはいいのか」

「なんとか我慢できると思いますです」

「サラマンダーってのはどんな魔物なんだ」

「火蜥蜴サラマンダーですね。10メートルくらいある大きな蜥蜴なんですが、炎を吐くので、ドラゴン並みに恐れられています。多分、動きはそう早くないはずですが」

「うん、それでいいだろう」

特に絡まれることもなく、無事依頼を受けることができた。

「じゃあ、筋斗雲で行くから、場所を教えてくれ」

「はい。わかりましたです」

建物の陰で筋斗雲に乗り込む。

「キントウンはスリルがあるけど、落ちるのは怖いから、捕まらせてください」

「ああ、いいとも」

ノラは元々筋斗雲のスリルは気に入っているようなので、立ったまま、ウーコンに後ろからしがみついた。

火山地帯はかなり北になるが、筋斗雲ではあっと言う間に到着した。

「ほええ、やっぱり熱いですね」

「そうだな。さて、どの辺にいるのかな」

火山地帯は高度もそれなりなので、木は生えていても低木ばかりで、岩山地帯とも言える。

「探査しますね」

ノラも索敵の魔法が使えるので、サラマンダーの気配を探す。

「わりと近くに居ますね。そこの丘の向こうにいるようです」

丘を回り込むように進むと、赤い色をした巨大な蜥蜴が居た。

「あれですね。まだ、気付かれてはいないようですね」

二人は静かにサラマンダーの尻尾の方から近づいていった。

その時、風向きが変わり、サラマンダーがびくっと体を動かした。

二人が跳びかかる直前にぐるっと体の向きを変えた。思ったより素早い動きだった。真っ赤な口を大きく開けている。

「下がれっ」

ウーコンがノラを庇うように間に入った。サラマンダーが火を吐くのと、ウーコンが水魔法を撃つのがほとんど同時だった。

ジュワーッとでかい音がして、あたりは水蒸気がもうもうと立ち込めた。

ウーコンの動きは早かった。如意棒を振り上げて叩き落すのがサラマンダーには見えなかっただろう。巨大な頭部の眉間にどんっと如意棒が叩きこまれた。

グワッという声を上げて、サラマンダーが横向きになる。ウーコンはそのままの勢いで、今度はサラマンダーの前足を強かに打った。

ゴキッと言う音がしてサラマンダーは地に付す。前足が砕けたようだ。

グワッグワッと喚くところにジャンプしながら再び頭部に如意棒を振り下ろす。

ガンっともゴンっとも聞こえる音がすると、サラマンダーは四肢を震わせ、暫くするとその動きを止めた。

そのころになってやっと水蒸気が薄れてきた。

「ウーコン大丈夫ですか」

「ああ、ノラこそ大丈夫か。後ろに居ても熱風を被っただろう。熱くなかったか」

「ううん、へっちゃらです。ウーコンのお陰で無事でしたです」

ほとんどウーコンの力技でサラマンダーは撲殺された。

水蒸気が治まるのを待ち、二人で協力して魔石と素材を採取した。

「サラマンダーの肉は価値がないそうですが、皮と骨は高く買い取ってくれるみたいです。大きいですが、リードからマジックバッグを預かっているから入りそうですね。テレフォンも持ってきましたが、何か伝えた方がいいんでしょうか」

「いや、特に言うこともないだろう。無事に帰れるんだから」

「そうだ、テレフォンにはお手紙機能もあるようですから、お手紙を送っておきますね」

「じゃあ、そうしてくれ」

ノラは3人にサラマンダーを退治したことを送付した。


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