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酒場にて

俺達は体を休めてから手分けして素材回収を行った。

グリフォンの魔石は価値があるし、爪や牙も高く売れるはずだ。まあ、頭部はウーコンが砕いちまったが。

回収が終わったところで、シロウの転移魔法でギルドに戻った。


「こんにちは。キントウンの皆さん凄い格好ですが大丈夫ですか」

受付嬢のサラが驚いた声を出した。

そのまま来たので、怪我は回復していても装備はボロボロだ。

「ああ、酷くやられちまったが、まず報告と思ってね」

俺は、グリフォンとオークの魔石を出して、依頼の報告をした。ついでに素材の買取も頼んだ。査定に少し時間がかかるようだ。

「おおっ、君達も戻っていたのか」

大きい声で話しかけてきたのはジェミニのバレンティーナだ。この赤髪と巨体で直ぐにわかる。素材を持って裏に回っていたようだ。相当の量だっただろうからな。ジョナサンがひっそりと寄り添っている。

「ええ、今戻ったところです」

「ほお、随分やられたようだが、帰りは早かったな」

「ええ、いい移動手段を持っているもんですから」

「へえ、それはうらやましい限りだな。ところで君達程のパーティをそんな目に合わせるとは、相手は何だ」

「グリフォンの番でした。1頭の心算だったもんですから、少し油断しましたね」

「グリフォン2匹とは大したもんだな。私達はこれから食事だが、一緒に武勇伝を聞かせてくれないか」

俺は仲間を振り返った。ジェミニと繋がりをつけるのは何かと有利だろうが、この二人に武勇伝を語るのは烏滸がましいような気もするな。

「是非、ご一緒させてもらいましょうよ。Sクラスの話を聞けるなんて滅多にない機会よ」

「いや、話はこっちが聞かせてもらうんだけどな」

ヴァレンティーナは見た目の通り明るい性格のようだ。


俺達は隣の食堂酒場に移動した。

俺達が足を踏み入れるとかなりの視線に晒された。やはり、Sクラスは注目度が違うな。しかし、視線を向けた奴も、ヴァレンティーナが席を探してきょろきょろすると慌てたように目を伏せた。まあ、Sクラスをあからさまに睨むような度胸のある奴はいないだろう。

本当は装備を修理するなり、着替えるなりしてきたかったが、ジェミニの二人を待たせられないから仕方ないな。

「おお、ここにしようぜ。」

俺達は4人掛けのテーブルを二つくっつけて陣取った。

まだ、陽は高いがとりあえずエールだな。

「かんぱーい」

俺達はヴァレンティーナの掛け声でグラスを合わせた。冒険の後のエールはうまいな。

「で、グリフォンはどんなだったんだ」

とりあえずの自己紹介が済むと、直ぐにヴァレンティーナが聞いてきた。やはり戦闘狂だな。

「最初は牝を1頭見つけたんです。で、そいつに手傷を負わせてたところで、でかい牡が上空から襲ってきたんです」

「俺も空中にいたんだが、さらに上から体当たりされて谷川に落とされちまった」

「へえ、ウーコンほどの冒険者を叩き落したか。でかい奴か」

「10メートルはありましたね」

「それはでかいな。私もグリフォンと戦ったことはあるが、でかくても8メートルだな」

「うちは実質の戦闘力はウーコンが一番なので、ウーコンが戻るまで2頭のグリフォンと戦うのは骨が折れましたね。それでこんなボロボロな様です」

「それは大変だったな」

ヴァレンティーナは陽気によく喋った。逆にジョナサンは自己紹介してから黙っているな。自己紹介も「ジョナサンだ」で終わりだったし。


「なんだあ。猿が酒を飲んでるのかあ。猫耳の奴もいるじゃねえか、ここは動物園かあ」

また、こういう奴が出てきやがった。エールはうまいが、こういうのがうっとおしいな。

獣人はこの街には少ないこともあり、差別されることはままある。ちなみにエルフやドワーフのような亜人はそれなりに住んでいて、全く差別がないわけでもないが、人間と見た目にそれ程差がないので、そんなに絡まれることは少ない。

直ぐにヴァレンティーナが反応した。言った奴の胸倉を掴んで、片腕でそのまま上に吊るし上げた。相手もヴァレンティーナくらいの身長があるが、両足とも全く床から離れている。片腕ネックハンギングツリーだ。デジャブを感じるな。

「私の知り合いに絡んでくるとはいい度胸だな」

この人の威圧は凄い。こっちまでオーラが感じる。この酔っ払いはヴァレンティーナが目に入らなかったとは、よほど酔っていたんだろうな。まあ、同情はしないが。

「なんとか言ったらどうだ」

うん。相手はもう白目を剝いてるな。この光景も見たような気がする。

「フン」

ヴァレンティーナが突き放すようにすると巨漢はドンっと音を立てて背中から床に叩きつけられた。ピクリとも動かないが、生きてるんだろうな。

「酒がまずくなっちまったな。これで解散にするか」

まあ、丁度いいきっかけになってくれたようだ。



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