グリフォン討伐
「お二人はこれで帰られますか」
「ああ、そうだ。君達はどこか行くのか」
「ええ、もう一つ依頼を受けているので、そちらに周る予定です」
「そうか、じゃあ、またな」
二人は馬に跨って去っていった。結局ジョナサンは一言も喋らなかったな。
「じゃあ、シロウ、次を頼む」
俺はもう一度地図を出して、次の目的地を示した。
俺達は再びみんなで円陣に手を繋ぎ、シロウの転移魔法で移動した。
今度もそれほど時間を掛けずに目的地に到着した。
今度は岩場だ。すぐ横は崖になっていて、谷が口を開けている。10メートル程下にはごうごうと川が流れている。
「ここから落ちないように気を付けたいわね」
「イザベラは飛行魔法は使えないのか」
「そうね。やっと攻撃魔法がまともに使えるようになったばかりだからね」
「イザベラの魔力量なら難しくないと思うぜ、また時間を見つけて練習しよう」
「ありがとう。空が飛べればいろいろできるでしょうね」
「ところで今度の獲物は何だ」
ウーコンが興味深そうに聞いてきた。
「今度は大物だ。この辺りは少し離れた村の狩場なんだが、最近グリフォンが目撃されたらしい」
「グリフォンとはどんな魔物ですか」
「ライオンの体に鷲の頭ね。翼も有るわ。絵でしか見たことないけど、5メートル以上あるでしょ」
「当然飛ぶわけだよな」
「どうやって戦うですか」
「俺とウーコンが飛べるから、二人で牽制して、イザベラにはファイアーボールで援護してもらうって感じでどうかな」
「いいわね、目一杯ぶち込んでやるわ」
なんか、ヴァレンティーナが乗り移ったようなノリだな。
「イザベラ、その前に、まず索敵を頼む。グリフォンを探すところからだ」
イザベラが魔法の詠唱を始める。俺も一応やってみる。
「あれ、近くに居るですね」
聖女がまず見つけたようだ。
「ここの岩山の反対に居るようです」
俺達は気配を殺しながら反対側に回り込んだ。反対側も似たような岩場だが、少し高い位置にグリフォンが翼を休めていた。
体調は6メートルはあるだろう。眠っているのか、目を瞑っている。
「シロウ、グリフォンの動きを押さえられるかな」
「これだけの大物は難しいかもしれませんが、やってみましょう」
「その間にイザベラはファイアーボールを練り上げてくれ。ウーコンはキントウンで上空で待機してくれ」
「私は何をするですか」
「ノラは待機だな。大物だから何が起きるかわからない。怪我人が出たら早めにヒールをかけてくれ」
「わかりましたです」
俺も直ぐに飛行できるように構える。
シロウはカタナを右手に、左手を突き出して、グリフォンを押さえている。その間にそれぞれ準備を整えた。ウーコンも上空に居る。
「行くわよ」
目を瞑ったままのグリフォンにイザベラが1メートルくらいに練り上げたファイアーボールを撃ちこんだ。
ゴーッという音の後にドーンとグリフォンの体にぶち当たる。
「クアアアーー」
グリフォンは横っ腹に巨大なファイアーボールを喰らい横倒しに倒れた。炎が全身を包み、藻掻きながら立ち上がった。俺はウインドカッターを放つ。グリフォンの左肩をざっくり切り裂いた。続けてシロウがグリフォンの後ろに回り込み、左足に斬りつけた。
「クワ――ッ」
グリフォンは苦しみながら空中に飛び上がった。
上空からウーコンが舞い降りながら、ニョイボウを伸ばし頭部を殴打する。グリフォンはそのまま地面に叩き落された。
その時、大気を振るわせるような大音声が響き渡った。
「クオオオオオオオーーッ」




