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ラースターの街へ

俺達は地上に出た。

何ヶ月ぶりだろう。ノーマン王国の地上の土を久々に踏みしめた。やはり感慨深いものが有る。

「俺は故郷に帰ってきたんだな」

こんなしみじみした気持ちになったのは初めてだ。転移した先でも俺はその世界に慣れていった心算だが、やはり心の底ではずっと緊張していたんだろう。ほっとしたような不思議な気分だ。

「で、どうする」

「ああ、まずはラースターの街に行く。俺が拠点にしていた街だが、そこそこの大きさだ。魔物狩りにはちょうどいい街だと思うぜ」

「じゃあ、筋斗雲でひとっ飛びといこうか」

俺はまたキントウンに乗せてもらって飛び上がった。ダンジョンと違って見通しも利くので、あっと言う間に街が見えた。ダンジョンから5キロくらいだが、本当にウーコンの術は凄いものだ。

俺は街から500メートル程手前の林で降ろしてもらった。

「さて、これからラースターの街に入るんだが、まず門を通らなきゃならない」

「うん?何か面倒なのか」

「そうだな。俺はギルドの冒険者カードがあるから問題ないが、ウーコンをどうするかだな」

「どうするとは」

「方法は三つある」

「三つ?」

「ああ、一つはそのまま猿人として入る方法。俺が身分を証明すれば大丈夫だろう。二つ目はウーコンの魔術で俺達と同じ人間の姿になって入る方法。これも問題ない。最後は俺の獣魔ということで入る方法だ」

「じゅうま?」

「ああ、猿人ではなく俺が飼っている魔猿だということにするんだな」

「リードに飼われるわけか」

ウーコンは少し表情を曇らせたようだ。まあ、俺のペットになるようなものだから、ウーコンのプライドが傷つくかもしれないな。

「じゃあ、人間に化けるのはどうだ」

「うーん。化けるのは簡単だが、どこかで化けの皮をはがされると、かえって面倒かもしれないな」

「じゃあ、残るのはそのまま猿人として入るほうほうだな。これが一番シンプルなんだが、獣人は差別されることもある。ウーコンが嫌な目に合わなければいいんだが」

「なあに、ふざけたことを抜かすやつは痛い目を見れば考えを改めるだろうさ」

力ずくでなんでも解決するかは何とも言えないが、確かに何とかなりそうな気もするな。特に冒険者達なんかは力が全てってところがあるからな。

「じゃあ、それでいくか。街に入ってから冒険者ギルドに行ってウーコンの冒険者登録をするんだが、同じように猿人の身分のままでいくから、なにかあって暴れる時は手加減してくれよな」

「勿論だ。俺が本気で暴れたら街の一つや二つなくなっちまう」

まあ、冗談ではないところが少しこわいな。


門番は気のいい壮年の男だった。猿人を見るのは初めてのようで(この街には獣人は少ない)、驚いたようだが、俺が身分を証明することで問題なく受け入れてくれた。

「身分証明を発行するかね」

「いや、後で冒険者ギルドへいくから、そこでカードを作ってもらうよ」

「そうか、冒険者になるのか。獣人は力が強いからいいかもしれないな」

俺達は街に入り、その足で冒険者ギルドに向かった。


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