表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/118

オーク討伐

俺達はギルドの建物に入った。

とりあえず、めぼしい依頼が無いか探すんだが、ウーコンとシロウは字が読めないので、ロビーの椅子に座って待っている。二人ともまだギルドに慣れていないので、きょろきょろと辺りを見回している。

俺はイザベラとノラと3人で依頼の張り紙を物色していった。

「なにかおいしい依頼は無いかしらね」

「まあ、何でもいいって言えばいいんだけどな。シロウの力を見たいって程度だから。それにキツイ依頼を選んじまってもウーコンが何とかしてくれるだろうしな」

「それはそうですけど、シロウの力を見る適正の依頼が有ればいちばんいいですね」

「そうだな。

うん、これとこれにしようぜ」

俺達は二つの依頼の紙を持って窓口に行った。

今日の受付はサラだ。

「おはようございます。リードさん両手に花ですね。今日は依頼ですか」

「ああ、そうだ。無駄口を叩いていないで受付をしてくれ」

「はいはい。おや、依頼も二つですか。欲張りさんですね」

「まあな。あそこに座っている二人の実力なら軽すぎるかもしれないが」

「ああ、実力者のお猿さんと新しいイケメンですね。ちょっと変わった髪型ですが」

うん。シロウは日ノ本のチョンマゲという髪型のままなので、ここでは少し異質に見えるな。

「何度も言うが猿人だ。シロウも異国から来たばかりなので、変わったヘアースタイルなんだ」

俺達は依頼の手続きを終えて、ウーコン達の元に移動した。

机の周りに椅子が配置してあるのでそこに座り、依頼書と地図を出して説明した。

「ウーコンのキントウンも早いが、シロウが移動の魔法を使えるようだから、依頼は二つ受けてきた。まあ、シロウのお手並みを見せてもらおうってことだから、気楽にいこうぜ。もし、強いモンスターが出てもウーコンが叩きのめしてくれるだろうしな」

「おう、任せてくれ」

「ウーコンさんに任せておけば大丈夫ですです」

俺は地図で場所を示し、依頼の内容を簡単に説明した。

その後ギルドの外に出て、人目に付きにくい建物の陰に周った。


「じゃあ、シロウ頼むぜ、さっき言った草原まで移動させてくれ」

「承知しました。では、みなさん、それぞれ手を繋いでください」

俺達は円陣を組むようにして、隣同士で手を繋いでいった。

「我らの神ゼスよ・・・」

シロウが呪文を唱えだした。呟くように言っているので、よくは聞き取れない。暫くすると周りの景色がぼやけた。

あまり長い時間を感じずに俺達は草原に移動していた。異世界への転移に比べるとあっけないように感じるほどだった。

「これは便利ね。エルフの里でも転移の魔法陣で移動したことはあるけど、効果はほとんど同じね」

俺は地図を出して、山の形などから草原のどのあたりか見当をつけた。

「さて、もう一度依頼を確認するぞ。今度の相手はオークだ。オークも条件によってゴブリン以上の繁殖力を見せる時が有る。今いる場所の東には人間の村が有るが、逆の西にオークの村が有る。最近オークが人間の村付近で出没して、家畜などの被害が出ているからギルドに依頼が来たんだな。オークはゴブリンよりは強いが、うちのメンバーなら退治は簡単だろう。ただし、その量にもよるだろうがな。オークの村に近づきすぎると相当な数のオークと出くわすかもしれない」

「とりあえず、すぐそこに1頭居るわね」

俺もイザベラの言う方を探知する。丈の高い草で直接は見えないが、確かに1頭いるな。

「では、とりあえず、倒してよろしいですか」

シロウもわかったらしい、ウーコンと一緒で気配でわかるのだろうか。

「ああ、頼むぜ」

シロウは腰の剣をすらりと抜いた。片刃の剣で日ノ本ではカタナと言うらしい。

シロウはカタナを右手で持ち、左手を前に突き出し、何かを呟くようにした。魔法の詠唱だろうか。

すると、草をかき分けて豚面のオークが1頭出てきた。身長は2メートルくらい、右手には棍棒を持っているが、襲い掛かってくる様子はない。夢遊病者のようにただ、足を前に運んでいるように見える。

一瞬。シロウが腰を落とし、伸びあがりながら両手でカタナを斬り下ろした。

「ッゴオ」

オークは左肩から袈裟懸けに斬られ、地響きを上げるようにして横倒しになった。即死だな。

「こんな感じでよろしいですか」

「へえ、凄い腕前だな」

ウーコンが感心したように言う。

イザベラとノラは息を呑んだ。俺も正直声が出ない。確かにこの程度のオーク1頭なら、俺達のうち誰でも簡単に倒すことはできるだろう。しかし、このオークは全く無防備で斬られた。そして、その無防備なところをシロウは躊躇せず、落ち着き払ったまま、一刀に斬り捨てた。胆力と言うのかなんと言うのか、その技術だけでなく、シロウを怖いと思わせられるような場面だった。

「あ、あたしが魔石を取りますねです」

ノラが慌てたように、ナイフを取り出した。

「ああ、頼む。オークの肉は家畜の飼料になるから、まあまあの値段になるはずだ。マジックバッグが空いているから、素材も回収しとこうぜ」

俺達は手分けして素材を切り取っていった。

「悪いが俺にはこいつがパーディエに見えちまう。作業は勘弁してくれ」

確かにウーコンの弟弟子のパーディエはオークそっくりだ。気持ちはよくわかる。


「イザベラ西の方を広めに索敵してみてくれるか」

「ええ、わかったわ」

イザベラは暫く探索していたが、

「うーん。1キロくらいのところに5,6頭の群れが幾つかあるんだけど、問題はその先ね。5キロ先には50頭くらいの群れがいるわ」

「そうか。俺達はほとんど全員が個の力は強い。個人差はあるが、なんでもできる人間が多い。だから逆に連携はほとんど取れないのが実情だが、オークの50頭くらいなら問題ないな」

「ああ、俺は100頭でも大丈夫だが、さっき言ったように仲間だったパーディエを思い出しちまうんだ。すまないが、後ろに居させてもらえないか」

「わかった。もしもの時はウーコンに頼むが、残りの4人で前に出よう。いや、ノラは回復が得意だから、後衛にいたほうがいいか」

「そうですね。私も接近戦はできますし、ウーコンの分まで戦いたいですが、50頭相手では荷が重いので、後衛に居させてもらえるとありがたいです」

「じゃあ、俺達3人が前衛でいいかな」

「ええ、いいわ。私もノラに教わって、魔剣を使えるようになったから。攻撃魔法とセットで戦うわ。魔剣士と呼んで頂戴」

こいつも意外とお調子者かもしれない。


俺達は右にイザベラ、左にシロウ。そして真ん中に俺が位置する前衛で、5メートルほど後ろに後衛の二人が付いてきている。

ここから先は高い草は無いのでかなり見通しが利くが、時々、木や盛り上がった土などで、隠れる場所が無いわけじゃない。まあ、こっちは索敵もできるし、たいして知能の無いオークが隠れてはいないだろうが。

1キロ近く進んだところで、5頭の群れを見つけた。

「そうだ、イザベラに言っておくことが有る」

「なにかしら」

「イザベラは攻撃魔法が使えるようになったから、どんどん攻めるだろうが、ここは草原だからファイアー系の魔法は止めてくれ。草に燃え移ったら、こっちが炎で逃げられ無くなっちまうからな。それとできればサンダー系も燃える可能性があるから控えてくれ」

「そうすると何ならいいのかしら」

「攻撃魔法だとアイスかな。後は風だな。土はどちらかと言えば守りだからな」

「アイスと風か。やったことないんだけど」

「5頭だし、練習の心算でやってくれ。とりあえず、アイスダガー程度で」

「わかったわ。アイスダガーね。やってみる」

氷を短剣状にして相手に叩きつける攻撃魔法だが、イザベラの魔力量ならうまく練れば大丈夫だろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ