表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/118

地上へ

オーガは暫くこちらの様子を探っていたが、いきなり棍棒を振り上げた。

意外と素早い動きで間合いを詰めて、ウーコン目掛けて振り下ろした。

ガキンという音と共に棍棒が弾きとばされた。ウーコンが下からニョイボウで受けたんだが、膂力が違いすぎて相手の得物を楽々弾いてしまった。

「グオッ」

オーガは驚き戸惑っている。大きめの猿くらいにしか見えなかったウーコンに棍棒をとばされるとは思わなかったんだろう。

しかし、好戦的なオーガは逃げることはないようだ。素手でウーコンに殴りつけてきた。

ウーコンは彼我の力量差を見切ったのだろう。そのまま動かず、オーガのパンチを額付近で受けた。

「グゴ」

オーガは一瞬きょとんとした表情をしたようだった。ウーコン同様目も小さく、表情が読みにくいが、きょとんというのが適切な雰囲気だった。一瞬間をおいて、

「ゴッ、ガゴオオ」

右手がかなり損傷したんだろう。左手で強く押さえて唸っている。骨折したかもしれない。俺ではこんな芸当はできないが、ウーコンは石猿って言っていたからな。

「はは、俺の石頭を殴ればただでは済まないだろうよ」

ウーコンがニョイボウを横に振ると、ゴンッといい音がしてオーガは横倒しに倒れた。

まあ、相当手加減したんだろう。意識はないようだが、死んでいるわけではなさそうだ。

「どうする」

「ああ、リードの話じゃ、皮を剥いで売るとか言っていたと思うが、妖怪退治の練習だからな。お師匠様じゃないが、俺もむやみな殺生をしたいわけじゃない。リードが殺して皮を剥ぐって言うならそうするが」

「いや、今は荷物を増やしたくもないから、このまま置いていこう」

「はは、こいつは命拾いしたってわけだな」

ウーコンの肩慣らしもできたので俺達はモンスター退治はまたにして、出口へ急いだ。ウーコンに雲、キントウンと言ったか。それを出してもらった。

「これに乗るんだな。俺はウーコンにしがみつけばいいのか」

「いや、乗る分には誰でも乗れる。善人しか乗れないって言うやつもいるが、ニウ魔王も似たような雲に乗っていたからな。これはたんなる術だから、リードも乗れるだろう」

俺はおっかなびっくりでウーコンに続いてキントウンに足を乗せた。固いわけでもないが、どうにか俺の体重を支えてくれるようだ。ずぶっと踏み込むように乗ったが、手ごたえならぬ足ごたえは無い。丁度舞空術で体を浮かせたり、飛行術で飛ぶ時のように、ただ浮いているという感じだな。だが、慣れないのでこれで空を行くのは少々怖い。

「じゃあ、行くぞ」

ウーコンが言うや否やキントウンは宙に浮き、俺達を乗せて飛んで行った。本当は鳥よりもずっと早く飛べるようだが、見通しもききにくいダンジョンの中なので、馬くらいの速さで飛んでいく。

俺が方角を示し、暫く飛ぶとフロアの端に着いた。そこで雲から降りて上の階層に続く階段を上った。それを続けてどんどん上の階に進み、やがて俺達は地上に到達した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ