上層
このダンジョンは9層からなる。まあ、9層の下にまだ下層がある可能性はあるが、今のところ発見されていない。そして、3層ごとに上層、中層、下層と区分されている。
たまたまかもしれないが、それぞれの層で様子が似ているんだ。1~3層は大体俺達が3人で歩けるくらいの大きさ。まあ、少し狭いところもあるが、立って歩けないところはないな。広さで言えば2層は1層の1.5倍くらい。3層はその1.5倍くらいということがわかっている。まあ、隠し通路が有ってもっと広いっていう可能性はあるが、今のところ発見されていない。
次に4~6層は天井までが10メートルくらいある。当然幅もそれに近いくらいある。広さは4層と3層は同じくらい。後は下に行くほど広い面積が有る。
そして7~9層は高さが数十メートルある。本当にここが地下なのかと疑問に感じる時もあるくらいだ。そして洞窟の中だと言うのに植物も生えており、水路も有ったりする。危険なモンスターも多いので、下層の地図は完成していない。9層の下が有るんじゃないかってのはその辺から言われてるんだな。
俺達はその3層に来た。ここまで来るとぼちぼち気の利いたモンスターも出てくる。Cクラスの冒険者だとソロでもいけるだろうが、全く安全と言うわけではないな。
「何か居るな」
イザベラの索敵にモンスターがかかったようだ。まあ、俺もわかっているし、ウーコンも気付いているだろうが。
「そこの角を曲がったところに複数いるようだ」
「多いな。10匹どころではないようだ」
「この辺はずっと岩場だから、イザベラのファイアーボールの練習にいいんじゃないか」
「ああ、そりゃあいい。どーんとやってくれ」
ウーコンも派手なのが好きだから賛成してくれる。
「じゃあ、練習の心算でやらせてもらうが、相当数いるようだから押し寄せてくるかもしれないぞ」
「そうしたら俺達に任せてくれ。片っ端から叩きのめしてやる」
イザベラは曲がり角に近づいて詠唱を始めた。
この数の多さからすると多分キラーアントだな。20匹はいるだろうから、炎で半分倒せば上出来だな。
ゴーっという音と共に1メートルくらいのファイアーボールが打ち出された。
角を曲がったところにドーンとぶち当たる、あたりが炎で煌々と照らされた。やはりキラーアントだな。蟻型のモンスターで人くらいの大きさだが、体が硬いので剣が通りにくいのと、群れを成すので厄介だ。まあ、俺達の敵じゃないが。
何匹かは体が燃え上がって慌てふためいている。しかし、後ろの方の無事だった10匹ほどが、一斉にこちらへ押し寄せてきた。たいした攻撃力は無いが、噛む力は強く、鈍らな剣だと折られることもあるな。
「任せろ」
俺とウーコンが前に出る。斬りにくいと言っても俺が斬れないわけじゃない。ウーコンもニョイボウで確かに片っ端から叩きのめしている。跡形もないくらいに。
最初に燃えた奴も含めて20匹ほど倒したが、数匹は逃がしたようだ。
「イザベラのファイアーボールもいいじゃないか」
「ありがとう。言われた魔力を練るってやつをいつもやってるんだ。こつが掴めた気がするよ」
「そりゃあ良かった。これで後ろ指差されることもないな」
「ああ、だけど、やっぱり私は剣士中心でいきたいな」
「ああ、そりゃあ好きな生き方をするのが一番さ」
好きに生きているだろうウーコンの言葉は説得力がある。
「じゃあ、中層まで降りてみるか」




