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占い

俺達はギルドの窓口で報酬を受け取ってから家に帰った。

「ああ、随分きれいにしているんだな」

「はは、そうでもないが、個室は三つあるからイザベラも使ってくれ。さっき言ったように風呂は一つだから、悪いが共同浴場に行ってくれ」

「ああ、ありがとう。部屋代はどのくらい払えばいいかな」

「いや、いらねえよ。ウーコンからも貰わないのに、イザベラだけってわけにはいかねえよ」

「そうか、何から何まですまないな。この礼はどこかでさせてもらうよ」

「そうだ、俺は数ヶ月ぶりだし、ウーコンはこっちに来たばっかりだ。少し街を案内してくれないか」

俺達はイザベラを先頭に街に繰り出した。

洋服屋、靴屋から防具屋、武器屋そして喫茶店まで、ウーコンは見るたびに驚いていた。

「この国は何でも売ってるんだな。凄いもんだ」

「そうだな、あっちの世界ではあまり店らしい店は見なかったな」

俺が以前いた頃からも結構変わっている。無くなった店や新しくできた店などいろいろだ。

「イザベラ、なんか面白い所はないか」

「面白い?私は一応女だから悪所なんかには行かないぞ」

「違う違う。珍しい所っていう意味だよ。新しくできた店も多いが、何か変わった店はないかと思ってな」

「ああ、そう言えば、よく当たる占いの店が有ると聞いたぞ」

「へえ、それは面白そうだな、行ってみるか」

その占いはそれほど遠くない所にあった。

間口は狭いが店と呼んで差し支えない構えだ。「占いジョン・ディーの店」とだけ書いてある。

「ごめんよ」

店の中に入ると、正面にテーブルが有り、その向こうに店主らしい男が座っていた。

俺ははっとした。魔力とは違うなにか、オーラのようなものを感じた気がした。

男はローブを羽織り、中肉中背、座っているからわかりにくいが少し猫背気味で、眼だけがかなり大きかった。

「客かね」

かなりか細い声で聞いてきた。

「ああ、よく当たるって聞いたんでね」

「まあ、当たるというより見えるんだがね。まあ、そこに座りな」

俺達はそれぞれ椅子に座った。

「見えるって言うと俺達のこともわかっちゃうのかな」

「そうだな。お前たちは冒険者のパーティじゃな」

まあ、それこそ見ればわかるだろう。

「お前とそこの猿人は遠くから来たな。後、そこの女は追放されて、お前たちの仲間になったようだな」

驚いた。半分は冷やかしの心算で敷居を跨いだが、こいつは本物かな。いや、何かで情報を集めたってこともあるかな。それでも、初めて来た俺達のことを知っているってだけで凄いな。

「驚いた。私達のことがわかるのか。よく当たると聞いてきたんだが、確かに当たると言うより見えてるんだな」

イザベラは単純に驚いているようだ。

「おっさん、見えているなら俺のことをもう少し話してくれよ」

男はウーコンをじっと見据えた。

「うーむ。先ほどわしはお前のことを猿人と言ったが勘違いだ。お前は猿だな。だが、ただの猿ではない。お前の人生を見るのはわしの力では大変だ。千年余りを生きているモンスターだな」

ウーコンも驚いたようで息を呑んだのがわかった。

「なにか高尚な心を持った存在に導かれていたようだが、本性を押さえきれずにこの世界に来たようだな」

「うーん。大当たりだな。いかさまや何かで今のがわかるとは思えない。凄い術だな」

「あんたジョンさんって言うんだよな。ジョンさん、俺達の未来は見えるのか」

「過去と違って未来は無数だ。少しの違いで幾つもの未来が重なるように分かれておる。今、この時も幾つもの未来に分かれておるのじゃ」

ジョンはそこで一息入れて、傍らの茶を飲んだ。

「じゃが、一つだけ教えてやろう」

「おう、頼む。教えてくれ」

俺達は三人共のめり込むように話に引き込まれていた。

「ダンジョンに行け」

「ダンジョン?」

「うむ、お前がそこの猿と出会う元となったダンジョンがあるじゃろう。そこへ行け。そこで二つの出会いが有るじゃろう」

「二つの出会い」

「そうじゃ」

そこでジョンは目を瞑った。

暫くすると、

「一つは明後日の昼じゃ。心当たりの場所があるじゃろう。そこに明後日の正午に行くがよい」

「明後日の正午だな、もう一つはいつだ」

「もう一つは明日だ。ダンジョンに行けばわかるじゃろう」

俺達は吞まれていた。ジョンの言うことを記憶に刻み込んで店を出た。

高い代金は払ったが。


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