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依頼達成報告

グレイトベアも随分背中を傷つけられて、いよいよ怒ったようだ。

一気に後ろを振り向いて、イザベラに跳びかかろうとした。

ボグッ。

鈍い音と共にグレイトベアが崩れ落ちる。ニョイボウに叩きつぶされ、頭部は原型を留めていない。俺は改めてウーコンを怒らせないことを心に誓った。

「すまない。随分手古摺ってしまった」

イザベラが額の汗を拭いながら息を荒げている。

「グレイトベアの皮は固いからな。まあ、いい練習になっただろ」

ウーコンが明るい(ように俺には見える)表情で言った。

「ありがとう。いい稽古になったよ。グレイトベアは初めてなんだ」

俺達は魔石と素材を回収してマジックバッグに入れた。イザベラの練習とウーコンが頭を潰したことで取れない部位もあったが、俺が斬った分は傷も少なくいい値になりそうだ。


「じゃあ、帰るとするか」

「む。ひょっとして雲か」

イザベラが引きつった顔をしている。

「そうだな。早いからな」

ウーコンにキントウンを出してもらう。

「イザベラは俺とウーコンの間に座って乗ったらどうだ。立って乗るのは怖いだろう」

俺達の間にイザベラが座ったところでキントウンを浮かべてもらった。

「むううう」

まあ、怖さがなくなるわけではないようで、やっぱり目を瞑って、俺の足にしがみ付いてきた。まあ、行きよりましな感じだし、これもおいおい慣れるだろう。


俺達は依頼達成の報告にギルドに戻った。

「おかえりなさい。早いお帰りですね」

窓口ではサラがニコニコして対応してくれた。往復の時間が大幅に短縮されたから、確かに早い。

「何もしないで帰ってきたわけじゃないですよね」

「そんなわけないだろう。ウーコンが早い移動手段を持ってるんだ」

「へえ、凄いお猿さんですね」

「猿人って言ってるだろ」

まあ、この子はこの明るさがウリだな。憎めないってやつだ。

「こんどはエルフの女性もひっかけたんですね」

「人聞きの悪いことを言うな。前のパーティを抜けたから勧誘したんだよ」

「捨てる神あれば拾う神ありってやつですね。良かったです」

「馬鹿な事言ってないで、報酬の準備と素材の買取もやってくれ」

「はい、お任せください」

サラは中の職員に向けて、魔石と素材の買取を頼んだ。物が多いので、俺はマジックバックのままで裏の作業場に持っていく。


「ウーコンはリードとは長い付き合いなのか」

「いや、数ヶ月と言ったところだが、まあ、中身の濃い旅をしたよ」

「へえ、旅を」

「ああ、俺は実は違う世界から来たんだ。最初リードが転移させられたようで、あっちで旅した後で、戻るときに俺も一緒に来たんだ」

「そうか。猿人にしてもこっちの世界の猿人とは違うような気がしたんだが、そういうことか」

「うん。俺はまだこっちに来たばかりだが、冒険者は楽しそうだな。こんな若い女性と仲間にもなれるし」

「んっ。私は若くはないぞ。100歳を少し超えている。エルフは長命なので、エルフの中では若い方だが、ウーコンより随分年上だろ」

「100歳か。そうは見えないな。まあ、俺は千年以上生きてるけどな」

「えっ、千年か。エルフでもそんな長命はいないが、異世界の猿人はそんなに長生きなのか」

「いや。俺は特別だな。だけど千年と言ってもそのうちの五百年は岩の下敷きのままでつまらなかったけどな」

「岩の下敷きだと。どういうことだ」

「ああ、釈迦って奴にやられちまってな。油断したんだな。そのころの俺は天下無敵だと思ってたんだが、その思い上がりを砕かれて、体の上に岩山を乗せられちまった。まあ、首から先しか動かせない五百年は長かったぜ」

「それは長いだろうな・・・」


俺は素材をマジックバックから出して置いてきた。

戻るとウーコンとイザベラが楽しそうに話していた。二人とも無口な方だと思っていたが、結構なことだ。互いに希少種だし、差別されやすいから理解し合えるのかもしれない。

「それじゃ、査定が終わるまで昼飯にしよう」


俺達はギルドの横の食堂に行った。昼間からアルコールで騒いでいる奴もいるが、俺達は取り合えず食事を頼んだ。

「急ごしらえのパーティだったが、まあまあだよな」

「ああ、女性が入るのは気持ちが明るくなるな。女好きだったパーディエの気持ちがわかるような気がするよ」

「へえ、そんな仲間が居たんだ」

「ああ、パーディエは女と飯が好きだったな。」

あの、人の好さそうな豚顔を思い出す。

「今日会って、もう一仕事したわけだが、明日もギルドに集合でいいか」

「あなた達はどこに宿を取っているんだ」

「ここから少し離れたところだが、俺の家に二人で住んでいる。まあ、ウーコンはまだ一泊しただけだが」

「私は前のパーティで部屋を借りてたから、今は宿がないんだ。どこか紹介してもらえないかな」

「うーん。もしイザベラが嫌でなけりゃ俺の家に来るか。広くはないが部屋は有る。風呂は一つしかないが、共同浴場を使えばいいだろう」

「ああ、助かる。ぜひお願いしたい」


俺達は食事を終え、ギルドの窓口に戻った。


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