メンバー勧誘
一人残されたイザベラはがっくりと肩を落としている。
途方に暮れているといった感じか。
「ああ、きみ、イザベラと言ったか」
俺は口下手だけど、意外とお節介なんだ。それに今の追放ブームにうんざりしていて、声を掛けなきゃいられない気分になっちまった。
「あ、ああ、私はイザベラだが」
イザベラが振り向きながら答えた。うん。エルフってのはいい女だな。
「酷い目にあったな。俺はリードって言うんだが、今の追放ブームってのは見てられねえな」
「はは、仕方がないな。彼らの言うこともまあわかるんだ。私はエルフだからな。魔法に期待されるのはわかる。だけどエルフだって十人十色だ。私は剣を振るいたくて里を出てきたんだ」
イザベラは少し落ちついて話し始めた。そう、会話ってのは必要なんだよ。
「エルフの里でもやっぱり魔法が重要視される。でも、私は剣に魅力を感じたんだ。それが私の個性だから仕方ないだろう」
「そりゃあそうだ。人間だって戦士もいりゃあ魔法使いもいる。それぞれだろうよ」
「わかってくれるか。ありがとう、話が出来て少し落ち着いたよ・・・ところでそちらは」
まあ、そりゃあ落ち着けば気になるよな。
「・・・ああ、俺の相棒だ。猿人のウーコンっていうんだ」
「ウーコンだ。よろしくなお嬢さん」
イザベラはくすりと笑った。
「はは、お嬢さんだなんて、ウーコンは面白いな」
どうにか気持ちは切り替わったようだ。
「ところでどうだ。パーティから離れたわけだが、俺達とパーティを組まないか」
俺は長くソロで活動してきたが、ウーコンと一緒に冒険して仲間の良さってのを感じているんだ。テンションが上がっているのかもしれない。他人を仲間に誘うなんて初めての経験だ。
「ああ、それは助かる。今のいきさつを知ったうえで誘ってくれるなら変な誤解も無いだろうからな。また、私に魔法を期待するパーティだと困るからな」
「ところでイザベラはクラスは何だ。俺はBクラスでウーコンはDクラスだ。まあ、ウーコンはクラス以上の怪物だがな」
「私はCクラスだ。だけど私でいいんだろうな、聞いていただろうが私は索敵と剣が中心だが」
「ああ、構わないよ。実は俺もウーコンも魔法を使う剣士なんだ。まあ、よく言う器用貧乏だな。だからいくらでもつぶしが利くんだ。イザベラは火や水の魔法は全くなのか」
「いや、全くと言うわけではない。小さい火を出したり、水を出したりはできるが攻撃魔法は苦手だな。こう見えて不器用なんだ」
即席だがなんかいいパーティになりそうな気がするぜ、楽観的過ぎるかな。
「じゃあ、時間も早いしとりあえず何か依頼を受けるとするか」
「ああ、お願いしたいな。あんた達の腕前を見るのが楽しみだよ」
俺達は3人で依頼の掲示板を見に行った。
「時間が経っちまったからたいしたのはないが、とりあえずお互いの力量も見たいし、このあたりでいいか」
「リーゴーチ山地か、結構奥だな。一日で帰って来れるかな」
俺はニヤリと笑った。
「そこはウーコンの魔法に任せてくれ。あっという間だ」
「ほう、転移の魔法か何かか」
「まあ、百聞は一見に如かずだ、兎に角行こうぜ」
ギルドの外に出てしばらく歩き、あまり人目のない所でキントウンを出してもらった。
「この雲に乗るんだ」
イザベラはギョッとした顔をした。まあ、そうだろうな。誰だって驚く。
「こ、これに」
「そうだ、こんな具合だ」
ウーコンに続いて俺も雲に乗る。それを見てイザベラもこわごわ足を乗せてきた。
両足をのせたがかなりへっぴり腰だな。
「じゃあ、いくか」
「ま、待ってくれ。これで飛んでいくのか」
「ああ、そうだ早いぞ」
途端にイザベラは俺にしがみ付いてきた。
「す、すまない。ちょっと目を瞑らせてくれ」
イザベラは俺にしがみ付いたまま目を瞑った。心なしか震えているようだ。高所恐怖症かな。




