ジミー出店
シロウを置いて、転移陣で戻ると、ジミーが戻っていた。
「ただいま」
「お帰りなさい。エリザベスさんの所に行ってたんですか」
「ああ、そうだ。お前も行ってきたらどうだ。アイシャは意地を張って、こちらには来そうもないぞ。そもそもアイシャはこっちには来たことが無いんだから、一度ジミーがこっちに連れて来いよ」
「嫌ですよ。あんなうるさい人をなんでわざわざ連れてこなけりゃならないんです」
姉弟そろって意地っ張りだな。
「ところで、ジミーは店を出すのか」
話を振ると、ニコッと笑顔になった。
「ええ、皆さんのお陰で資金ができたので。
今日、手付を払ってきました。広くはないですが、割といい場所なんですよ。
それと、皆さんにお願いする心算なんですが、遺跡から出た品物を少し売らせてもらいたいと思うんです」
「ああ、いいんじゃないか。それこそ、エリザベスさんの店にあるんだから、行く口実ができてちょうどいいじゃないか」
「だから、あんなうるさい人には会いたくないんですって」
なかなか頑固だ。
そんなことを言っていると、ウーコンとノラが帰ってきた。
「ただいま」
「ただいまです」
「おかえり、楽しかったか」
「そうだな。ノラと居るのは楽しいが、ちょっとな」
「なんだ、何かあったのか」
「ああ、俺がこっちの世界に来たばかりの時にリードが言ってくれただろう。獣人は差別されるぞって」
「そうだな、そんなことを言ったと思うが」
「俺もこっちの世界に慣れてきて、調子に乗っていたようだ。ノラが止めてくれなかったら、殴り殺していたかもしれない」
うーん。たとえ話じゃなくて、事実になりそうで怖い。
「誰だったの」
イザベラも首を突っ込んできた。
「イザベラも知っているだろ、剣闘士のトリオンだ」
「ああ、居たわね、そういう名前の剣闘士。確か強かったわよね」
「ああ、強い。女を3人連れて羽振りも良さそうだった」
「それで、ちょっとした言葉の行き違いみたいなもので。怒らせちゃったです」
「ああいう人は切れやすいかもしれないわね」
「ああ。それでノラが間に入ってくれたんだ。俺も反省してるよ」
「ウーコンは悪くないです。トリオンは命拾いしたです」
「それは確かだな」
「まあ、今日のことは俺も悪かったが、冷静に考えると、ああいう強者と戦う機会があるってのは、剣闘士も面白いかもしれないな」
「いや、そのトリオンって奴も強いかもしれないが、ウーコンが本気で戦って無事でいる奴は居ないだろう」
「そうね、それにトリオンはモンスターと戦う剣闘士でしょ」
「いや、別にトリオンに意趣返しをしたいわけじゃないんだ。全力で戦う場としていいなと思って」
ウーコンが全力で戦ったら、剣闘士は皆殺しだろうな。
俺も興味はあるが、ああいった観客の前で戦うのは嫌だな。見世物だからな。
シロウ以外はみんな揃ったので、スーザンの美味い夕食を用意してもらった。
「そう言えば、ジミーがみんなに話があるらしいぞ」
「へえ、なにかしら」
「はい、皆さんのお陰で資金が出来たので、店を持ちたいと思います。それで、扱う商品の中に、遺跡の品物を少しいただきたいんです」
「あら、お店を出すのね。おめでとう。遺跡のお宝はみんなの物だけど、元々の依頼主はジミーなんだから、私はいいと思うわ」
「そうだな。俺は道具は使わないから構わないぜ」
「はいです。どうぞ使ってくださいです」
「ありがとうございます。ではつかわせてもらいます」
ジミーは満面の笑みで、ぺこぺこと頭を下げた。
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