追放
ロビーの椅子に座って暫くするとソフィアに呼ばれた。
「お待ちどうさまでした」
ソフィアはカウンターに謝金と明細を置いた。
「えーと、これが討伐の謝礼で、こっちが探索の分です」
まあ、どっちも安いな。わかっていたが。
「探索の分はついでに討伐していただけたようなので、少しだけ割り増してあります」
うん。本当に少しだけだ。100匹以上倒したが、まあそっちは頼まれてないからな。
「それで、これが魔石の買取分です」
うん。これはまとまった金になったな。そりゃあ安いゴブリンの魔石でも140個以上あるだろうからな。
「全て現金でお渡ししていいですか」
「いや、これだけ現金でくれ。残りはウーコンの口座に入れておいてくれ」
冒険者の金はギルドにあずかってもらうことができる。当座使う程度の金だけをウーコンに渡した。
「うんっ、俺が全部もらっていいのか」
「ああ、勿論だ。依頼はウーコンが受けたんだからな。俺は案内程度だから今回のはいいさ」
俺はカウンターに向き直った。
「ところでウーコンのクラスなんだが、今回二つの依頼を達成したと同時に、ゴブリンの集落を殲滅させても来た。どうだろう、ランクアップにならないかな」
「はい、それはジェームズから言付かっております。二つの依頼達成では通常はまだ不足ですが、今回は依頼以外とは言え、集落の殲滅ですので、大きな貢献と言えます。ギルドとしましてはDクラスへのランクアップを承認します」
よしよし、狙い通りだぜ。
「おめでとうウーコン。じゃあ、ランクアップ祝いで豪華な昼飯を食うか」
「ありがとう。まだ、よくわからないが、めでたいんだな」
隣接する酒場兼食堂でも飯は食えるが、少し奮発して外の気の利いたレストランで昼食を摂った。あまり上等すぎると獣人に対する偏見がある店もあるが、そこそこの店を選んだ。
「じゃあ、改めておめでとう。乾杯」
「おお、ありがとう。よくわからないが」
まだ、陽は高いが少しだけエールで乾杯した。久しぶりの豪勢な食事はうまかった。
俺達は食事を済ませると、俺の家に向かった。もう数ヶ月戻っていなかったが、俺はギルドから少し離れたところに小さな家を構えている。
「ここだ、入ってくれ」
「おお、小ぎれいな家だな」
「ああ、広くはないがここならウーコンも寝泊まりできるだろう」
「そうか、すまないな。宿代を払おうか」
「いらねえよ。苦楽を共にした仲間じゃねえか」
正直、俺はソロが長かったので、仲間が居るのは嬉しかった。仲間はいいもんなんだな。
俺達は風呂を沸かし順番に汚れを落とした。
「まだ、時間は早いが今日はのんびりしようぜ、慌てることもないから、明日またギルドに行こう」
俺達は溜まった疲れを回復させ、翌朝ギルドに向かった。ウーコンのクラスも上がったし、少しはよさそうな依頼を見つけられるといいんだが。
ギルドのドアを開けると中はそこそこの喧騒だった。朝は割のいい依頼の取り合いになることもある。依頼が張り出された壁には多くの冒険者が真剣な様子で依頼を選んでいた。
その時、ロビーの方から大きい声が聞こえた。
「お前を今日でパーティーから追放するっ!」




