帰郷
この作品は「冒険者東へ」の続編です。
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俺はノーマン王国の冒険者リード・スミス。
俺はモンスターに追われ異世界に転移し、オシショウサマことシュセンザンのデシとなり、ほかの仲間たちと西に向かって旅をしていた。何度も異世界のモンスターと戦ってきた。
その後、ヒノ国に召喚され、またもやモンスターと戦ったが、とうとう故郷に戻ってきた。
斉天大聖孫悟空こと猿人ウーコンと共に。
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眩い光に包まれた。
今回も空間が歪んだような感覚に囚われ、上下左右が認識できなかった。自分の肉体は見えているが、五体の縮尺が有っているのかさえわからない。
俺達は開けた場所に放り出された。
「うーむ」
まだ、転移になれないのだろう。ウーコンは蹲ったまま唸っている。
俺は周りに注意を払いながら立ち上がる。危険はないようだ。
「帰ってきたぞっ」
思わず大声を発してしまう。
ここは俺の故郷、ノーマン王国にあるダンジョンの中だ。ヒュドラに追われて転移陣に飲み込まれたダンジョンの下層。そことほとんど変わらない位置に戻って来られたようだ。
「ここがリードの生まれ故郷か」
ウーコンも落ち着いたのか立ち上がって周りを見回していた。
「何か薄暗い所だな」
「まあ、そりゃあダンジョンの中だからな」
ダンジョンのこのフロアは内部が巨大な空間になっていて、天井は数十メートル上にある。この場所の天井や壁面にはヒカリゴケが生えていて暗闇ではないが、明るくもない。
「だんじょん?洞窟ってことか。随分でかい洞窟だな」
「ああ、ここはかなり下層なんだが、上の方はもっと狭いフロアもあるな」
「で、とりあえずここを出るのか」
「そうだな。ウーコンに雲を出してもらえれば早く上の階に行けるだろうが、まずはモンスターを少し倒してからにするか。ウーコンもここのモンスターと戦ってみたいだろ」
「ああ、それは面白そうだな」
俺達はてくてくと歩きながら上に向かう階段のある方向に移動する。途中に出てくるモンスターを退治していく算段だ。
まあ、俺一人でも大抵のモンスターは何とかなるし、ウーコンが居れば鬼に金棒だ。慌てることもないし、俺達がのんびり進んでいると前方に気配を感じた。
「ん、何か居るか」
「そうだな、ここらだとそこそこのモンスターが出るが、大きそうだな。オーガあたりかな」
ガサガサっと藪をかき分けて巨体が姿を現した。当たりだ。読み通りのオーガの単体だった。身長は2メートル余り、がっちりした体躯で、顔もでかい。表情の読めない細い目をしていて、額には二本のツノが生えている。
「グガーッ」
軽く威嚇してくる。オーガは好戦的なモンスターなので、まあ、襲ってくるな。ウーコンの肩慣らしに丁度いいくらいだろう。右手にはでかい棍棒を持っている。こいつは皮膚が固くて、割と斬りにくいんだよな。まあ、ウーコンなら余裕で殴り殺しそうだが。