「撃滅掃討」聖女塾~婚約破棄を仲間の協力のもと、やり返す令嬢の話
「注目!聖女塾塾長、聖女王様、お言葉をどうぞ!」
「うむ。我は聖なる女王、聖女の中の聖女、聖女王!我等はとらわれの王子様を助けられるくらい強くならなければならない!・・・」
・・・私はアメリア、中規模の商会の跡取り娘でございます。
今は聖女塾塾生、三等聖女です。三年制で、一年生が三等で、三年生が、一等の冠がつくのでございます。
私の母は早くに亡くなり、お父様は船で外国に商談に行っていましたが、船が難破したと報告がきましたの。
私が悲嘆に暮れていると、伯父夫婦と従姉妹が乗り込んできて、後見人だと言って家に住み着き、家政を取り仕切るようになりました。
私は、今年、貴族学園に入学する予定でしたが、私に、ほんのわずかな聖魔法の適正があるので、無理矢理全寮制の聖女塾に、伯父夫婦によって、入れられましたの。
とても、学費が安いと評判ですわ。
それなのに、従姉妹は貴族学園に通っていますの。
酷くないですか?シクシク。
この聖女塾はとても、おかしいのです。
例えば、
「おい、聖女王、お前の暴虐許しておけない。転生勇者、マサル・ヤマダがたたき切ってやるわ」
「うむ」
・・・聖女なのに、塾長を、聖剣を持った勇者さんや高位冒険者グループが討伐に来るのです。
「勇者の聖剣を受けてみろーー、とりゃー」
「ふん。貧弱、貧弱、それで我にまたがって腰をふるつもりか?出直せ!」
「聖女パンチ!」
「ギャアアアアアアアーーーーー」
「「「さすが、塾長だぜ!」」」
勇者さんが吹っ飛ばされていきましたの・・・
朝礼の後は
「おりゃー、聖女正拳突き千回、初め!」
「おりゃー!」「おりゃー!」・・・・
「聖女メイスの乱れ打ち千回、初め!」
「おりゃー!」「おりゃー!」・・・・
軽く、聖女正拳突き、メイス、ガントレットを練習した後、聖女道学、女神教典などを座学で学習いたしますの。
勿論、祈りの時間もございますが
「おりゃ、今日は女神様へのお祈りは、丸太の上でやるぞ!」
不安定な丸太の上に乗り、落ちないように、祈るのです。
心なしか女神様の像が怒っているようでございます。
「キャ」
私は丸太から落ちてしまいましたわ
「おりゃーアメリア、『キャ』とは何だ!おんどりゃーだろ」
「お・・おんどりゃー」
「はん、お前、お嬢様か?」
・・・はい、お嬢様ですとは答えられませんわ。
もう、やめたい。逃げ出したいと思いますが、くじけてはいけません。
私も商会の跡取り娘。
婚約者のロバート様と結ばれるために頑張らなければなりませんわ!
☆☆☆
・・・今日は、私の班は、孤児院への慰問の日、久しぶりに外に出られるから嬉しいわ。
しかし、同輩たちや上級生の目がギラギラしてますの。
「ウヒヒヒヒ、久しぶりに男と話せる!男の職員いたら、ゲットだぜ!」
「ヒヒ、孤児院に慰問に来ている貴族の男と鉢合わせしないかな。ヒヒ」
・・・まあ、何て、不純な・・悲しいですわ。
でも、私だけでも、孤児たちに絵本を読んで差し上げたいわ。
と思っていたら、他の学院の方と鉢合わせをしましたの。
その名は
「オホホホホホホホ~、ここの孤児院の慰問は、私たち、黒薔薇女学院が、受けましてよ。聖女塾さんたちは尻尾を巻いて逃げなさい!」
「んだ、おんどりゃー、慰問に来ている貴公子は俺たちのものだぞ!悪役令嬢学院は去れ!」
「「「まあ、エレガントでなくってよ!」」」
・・・まあ、大変、孤児たちに被害がでたらと思って、孤児たちを探したら、孤児が私の手をとって、奥の部屋に連れていかれましたの。
「お姉ちゃん。危ないから早くこっち!」
私は孤児たちに連れられて、孤児院の奥まで避難しましたの。
「おんどりゃー、表に出ろ!」
「オホホホホホホ~私らとやり合うなんて100年はやくてよ。表で決着をつけるわ!」
・・・
「お姉ちゃん大丈夫?」
「お姉ちゃん、聖女塾の人でしょう。何であんな目がギラギラしたところに入ったの?」
「ウグ、グスン、これにはわけがあって・・・」
「お姉ちゃん、泣かないで、いま、トムが絵本持って来るから、これ読んで落ち着いて」
・・・アメリアは、孤児たちに慰められる結果になった。
「あのね。聞いて、私の父が、船で難破し・・ごめんなさい!貴方たちは孤児なのに」
「良いって、良いって、お姉ちゃんみたいな聖女っぽい人、久しぶりだから新鮮だよ!」
「私、お姉ちゃんの髪すかしてあげる!」
「お姉ちゃん。私のお手玉見て、元気出して」
「ほら、僕は逆立ちをするから、これ見て、笑って!」
「グスン、グスン、有難う」
・・・アメリアは孤児たちに慰められた。
その姿を二人の人物が物陰から見ていた。
聖女塾塾長、聖女王
と
黒薔薇女学院長、ブラックローズ夫人
「オ~ホホホホホ、聖女王、新しい慰問ですわね。期待の新人ですわね。今回はうちらの負けね」
「我は聖女の中の聖女、聖女王である!」
☆☆☆孤児院前の道路
孤児院前では、一触即発の雰囲気であった。
「ホホホホホホホ~~妹たち、ファイヤーボールの準備よ!」
「「「お姉様、畏まりましたわ!」」」
「おい、お前ら、聖魔法をぶっぱなすぞ!その後、近接戦闘!メイス準備!」
「「「おう、ガッテンだ!」」」
「ヒデェ市街戦が始まるぞ!騎士団に報告だ」
群衆が、逃げ惑う中、二人が割って入ってきた。
「貴方たち、エレガントでなくってよ!黒薔薇の舞!」
「ブラックローズ夫人!」
黒い薔薇の花びらが幻影魔法で現れ、黒薔薇女学院の生徒たちを席巻する。
「「「キャーー、溺れますわ!」」」
一方、聖女塾は
「我は聖女王、聖女の中の聖女!聖女パンチ!」
「「「塾長!」」」
地面をつき、地震で聖女塾塾生が転がる。
「「「ギャアアアアアアーーー」」」
両陣営は市街戦を回避した。
☆☆☆数ヶ月後
あれから、私は孤児院への慰問団長に指名されました。
とても嬉しいのです。
「キャー誰か助けて!」
「ヒヒヒ、誰も来ないぜ!」
「ルンルンルン!あら、川向こうで、ゴロツキさんたちが、町娘さんに無体しているわね。よいっと」
「ちょっと、皆様、無体はやめて下さいませ!」
「「「何だ!」」」
「あの聖女、木場で、川に浮かんでいる丸太の上を歩いてきやがるぞ!聖女塾の者だ。逃げろーーー」
アメリアは知らずのうちにすっかり聖女塾に馴染んでいた。
「有難うございます」
「いいえ、女神様のお導きですわ」
・・・
しかし、その日はやって来た。
☆☆☆聖女塾面会室
聖女王立ち会いの下、面会は行われた。
「ワシはアメリアの後見人のゴールデンリバーだ」
「ロバートです」
「・・ロバート様、お久しぶりですわ(ポ)」
「アメリア、ロバート君との婚約は破棄だ!お前はローガイ卿の後妻に入れ!」
「ええ、そんな。バカな。80過ぎの老人ではないですか?ロバート様!」
「アメリア、ご免。もう、君の従姉妹マロディと真実の愛に目覚めた。わかってくれるね」
「いやですわ。グスン」
「アメリア、我がままを言うな。家のためだ。家はマロディが継ぐことに決定だ。お前は聖女塾を退学して嫁入りだ」
「グスン、グスン、そんな~」
「明日に迎えの馬車を寄越す。直接ローガイ卿の元に行くのだ。宜しく頼みますよ。塾長殿」
伯父は金貨の入った袋を聖女王に渡した。
聖女王は
「・・・・・・・」
無言であった。
☆☆☆その日の夜
「グスン、グスン、荷物なんてありませんわ。着の身着のままで来たのですから、政略結婚は仕方ないのかもしれませんが、グスン、グスン」
悲嘆に暮れていると、鐘が鳴った。
カンカンカンカン!三等聖女集合!三等聖女集合、メイス、ガントレットを持参、おやつは持参可!
「おい、アメリアも来いって、塾長の命令だぞ!」
「へ、私も?」
夜中に集まられた聖女学生たちに、三等聖女筆頭ロザリーが、状況説明をする。
「同志たちよ。よぉ~く聞くのです。塾長命令なのです。これから、勇者捜索行軍を行うのです!目標はアメリアの家なのです。アメリアの家に勇者殿がいる可能性が大なのです!」
「「「「オオオオオオオッ久しぶりだぜ!」」」
「塾長、お言葉なのです!」
「我は聖なる女王、聖女の中の聖女王!」
「「「シャアアアアアアアア」」」
勇者捜索行軍、聖女に認められた特権である。文字通り勇者を探す旅である。
「え、え、私の家に勇者様が?」
戸惑うのは無理ない。入ったばかりでは状況が頭で理解出来ない。
簡単に言うと、勇者捜索の名を借りた粛正である。
「聖女塾塾歌、斉唱なのです!」
「「「私の前に孤児がいる。右も左も孤児だらけ。魔物をぬっころし孤児を守る~これぞ聖女の本懐だ!♪」」」
・・・
☆☆☆アメリアの実家
「ヌハハッハハ、アメリア泣いておったぞ!」
「まあ、ロバート様と結ばれるのね!」
「ええ、旦那様、これでこの家は正式に私らのものね」
「マロディ、早く結婚したいね」
ドドドドドドドドド!
「何じゃ、地響きがしておるぞ!」
「会頭!大変です!聖女の大群が、門の前に!」
「「「な、なにーー」」」
・・・
「聞くのです!聖女法25条に基づき捜索するのです。この家に勇者殿がいる可能性が高いのです!邪魔する者はぬっ殺すのです!」
「待て、塾長に金貨を渡しただろう?」
「我は聖女の中の聖女、聖女王である!」
「な、何を言っている!」
「かかるのです!」
「聖女パンチ!」
「ギャアアー、パンチ一発で用心棒5人吹っ飛んだぞ!」
「「「オンドリャー、オンドリャー」」」
「畜生、こうなったら、逃げるぞ!」
伯父夫婦、ロバート、マロディは家の外に逃げだそうとしたが、
家の周りに、黒薔薇女学院の生徒たちがいた。
「オホホホホホホ~逃げるのって、エレガントでなくってよ。妹達、風魔法で、あの方々を家の中に押し込みなさい!」
「「「「はい、ブラックローズ夫人」」」
「ギャアアアーーーー、風魔法で、飛ばされて家の中に戻っていく!」
・・・
「ヒヒヒヒィ~塾長殿、勇者捜索していたら、隠し帳簿を見つけたのです!商業ギルドに嘘の報告をして、税金を誤魔化していたのです!
聖女の義務として、犯罪者を逮捕するのです!」
と筆頭聖女ロザリーが報告する。
「うむ。我は聖女の中の聖女、聖女王である!アメリアを呼べ!」
「おう、アメリア、こっちだ!」
学友に連れられて来られたアメリアは4人の前に立つ。
「あ、アメリア、やり直そう、また、婚約を結ぼう。だから、逮捕はやめてくれ!」
「ちょ、とロバート何をいうのよ!」
「アメリア、バカなことはやめさせなさい!」
「ええい、あの金貨はこういうことをしないように、賄賂で渡したのだ。このデカ女、何故、無視をする!」
「我は聖女王である」
「ご、誤魔化すな!」
アメリアはグッと拳を握り、下を向きながら、腹の底から声を出した。
「皆様、バカですわ。聖女正拳突きを食らいなさいですわ!オラ、オラ、オラ、おふさげはほどほどにして下さいませ!」
「「「「ギャアアアアアアアーーーー」」」」
「「「良いぞ、アメリア、その調子だ!」」」
「はあ、はあ、はあ、次は聖女キックですわ!」
「グハ、アア、もう、やめてーーー家は返すから・・・・」
「おふざけはやめてくださいまし、オラ、オラ、オラ、オンドリャーーーーーですわ!」
ドシ、ドシ!ボキと骨が折れる音が響いた。
「「キャアアアア、何で女の私たちまで!」」
その時、ブラックローズ夫人とヒゲがボウボウの男が現れた。
「アメリア様、エレガントに貴女のお父様が門のところにいましてよ。連れて参りましたの」
「ア、アメリア、何をしている!」
「お父様、ご無事だったの?」
「ああ、船が難破した後、無人島に漂着して、通りがかった船に助けられたが・・何故、弟夫婦とロバート君とマロディ嬢にストンピングキックしている。おい、耳から黄色い液体が出ているぞ!」
「お父様――――――――――――ウワーーーーーン」
☆☆☆聖女塾の門の前
「アメリア、本当にいいのか。今からでも貴族学園に編入可能だぞ」
「いいえ。お父様、私は素敵な仲間たちが出来ましたの。ここで聖女の道を極めますわ。聖女の道は全てに通じますの」
「そ、そうなのか?本当にそうなのか?」
父は疑問に思ったが、物陰から、美青年が現れた。
「あの、実は孤児院で貴女を見かけて、私はホーリ伯爵家のカーターです。是非、お嬢様と婚約を!」
「まあ、キャ」
「な、何と!あの貿易港を持つ貴族だと!」
聖女塾、何故か、良縁に恵まれ、卒業生は各界で活躍をする淑女を輩出したと云う。
最後までお読み頂き有難うございました。
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