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同居人の女の子達は肉食乙女  作者: トン之助
第二章 関係構築編
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思いと想いと重い関係【皇さつき】

 

 1日の出来事を振り返る。


 リラックスした時や1人の時にその日あった事を思い出しながら物思いにふける。頭の中を整理して今後の行動の優先事項や方針をおぼろげながらに決める。


 そんな私は最近始めたルーティーンを行う為に、パラパラと白いページが目立つ日記帳をめくる。



 ○月✕日

 今日も翔馬の言葉で濡れた。


「ふむ、書き出しはこんなものでいいだろう」



 きっと本人が見たら目を点にするか発狂しそうだが気にしない。私の思っている事を言葉にしろと言ったのは彼なのだから。きっといつか届けてみせる。


 そして静かにページを閉じて、服を脱ぎ捨て、今日溜まったアレコレを発散させようとした時に扉から音が聞こえた。



 コンコンッ


 おや? この時間に部屋を尋ねてくるのは誰だろう


「開いてるぞ」


 ガチャ


「失礼するわね……さつ」

「やっぱりソフィアか。どうしたのだこんな時間に?」


「それはこっちのセリフよさつき」


 入ってきたのは最近の私の先生であるソフィア嬢。しかし、私の姿を見るとものすごくため息を吐いて項垂れている。


「なに、ナニをしようと思ってな! どうだ一緒に?」

「ナニをしようとしてたら普通入っていいとは言わないわ」


 まぁ日記を書きつつ昼間の事を思い出したらちょっとやっとくか! と思ったまでさ。


「入ってきたのがショーマだったらどうするのよ?」

「同じ事を言うだろうな!」


「…張り倒されるわよ?」

「それもまたいい!」


「ふふふっ。やっぱりドMね」


 いつまでもそこに立たせるのも申し訳ないのでイスに腰掛けてもらった。



「さつきの部屋ってなんかいい感じね」

「今度は褒め殺しプレイか……はぁ、はぁ」


「純粋に褒めてるのよ! なんかこう木の温もりがいい感じがいいわね」


 ソフィアは私の部屋をまじまじと見ながらそんな感想を呟く。


「ふむ、私もそう思う。暖かい感じが気に入ってるのだ」

「ワタシ的には、ロウソクとかムチとかあるイメージだったけど」


「それは葉月の部屋にあると思うぞ」

「あははは! 確かにそうね」


 とりわけソフィアは何か話があって尋ねたわけではなく、寝る前の私との談笑が最近の日課になっていると教えてくれた。


「今日は何して遊んだの?」


「むむ。遊んではいないぞ? まず翔馬とじゃんけんでジュースの取りを合いして、資料整理して、商店街でお団子食べて、一緒にお風呂入って……アレ?めっちゃ遊んでる」


「ふふっ……さつきが楽しそうで良かったわ」


 笑う彼女は年下なのだが、ハーフという事もあり少し大人びて見えた。だからこそ私も今日改めて気付いた、自分の正直な気持ちを伝える。


「なぁソフィア」

「なによ改まって? まさか今更ワタシに敬語使えって言うの? ムリよムリ」


 彼女は手をブンブン振りながら無理のムリ〜なんてお茶目に口を動かす。


「いやそうじゃなくて。いやむしろ皆に敬語使われたら寒気がするからやめてくれ」

「じゃあなによ? まさかナニを手伝えってんじゃ」


 話を聞かないソフィアを前に、私は初めて実感した。


 いつもの私は相当めんどくさい女なのだと。だからこそ、その冗談を断ち切る為の一言を彼女にぶつける。


「私は翔馬が好きだ!」


 おふざけもエロも封印して真実を彼女に話す。ここ最近、彼女が色々悩んでいた事は知っている。だからこそ真正面からぶつかる。


「知ってるわ」



 彼女もまた真剣な表情を見せる。銀に輝く髪がより一層光を増した気がした。


「ここにいる皆が、ショーマの事を本気で好きっていうのも知ってる。もちろんさつきも」

「あぁ」


 ニヤリと笑う彼女は高らかに宣言する。そしてその顔を見て私も同じ笑みを浮かべる。


「「だから、負けない!」」



 お互いの思いを知って、想い人へ思いを馳せる。その重みを理解した者達をきっとこう呼ぶのだろう……



 『ライバル』

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